ルーフィングシートの役割と種類で屋根防水

ルーフィングシートの役割と種類で屋根防水

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ルーフィングシートの役割と種類

ルーフィングシートの基本情報
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防水の要

屋根材の下に敷く防水シートで、雨漏りから家を守る重要な役割を担っています

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耐用年数

種類によって10〜50年と差があり、適切なメンテナンスが必要です

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二次防水

屋根材(一次防水)と合わせて二段構えで住宅を雨水から守ります

ルーフィングシートの基本的な役割と機能

ルーフィングシートとは、屋根を構成する重要な部分の一つで、下地木材(野地板)の上に直接張り付ける防水機能を持ったシートのことです。「下葺き材」や「アスファルトルーフィング」とも呼ばれ、屋根の防水において非常に重要な役割を担っています。

 

屋根の構造は基本的に3層構造になっており、最も外側が瓦やスレート、ガルバリウム鋼板などの屋根材、中間にルーフィングシート、そして内側に野地板という構成です。この中で防水の役割を担うのは、屋根材(一次防水)とルーフィングシート(二次防水)の2層です。

 

実は、屋根材は完全な防水構造ではなく、パーツ同士の隙間から雨水が内部に入り込む構造になっています。これは意図的なもので、屋根内部の換気を促し、湿気が籠もるのを防ぐためです。そのため、屋根材の下にルーフィングシートを敷くことで、侵入した雨水が野地板に染み込まないようにし、外部へ排出する役割を果たしています。

 

もしルーフィングシートがなければ、雨水はすぐに下地木材に染み込み、短期間で雨漏りを引き起こしてしまうでしょう。つまり、ルーフィングシートは目立たない存在ですが、住宅を雨から守る「屋根の下の力持ち」と言えるのです。

 

ルーフィングシートの種類とそれぞれの特徴

ルーフィングシートには様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。主な種類とその特徴を詳しく見ていきましょう。

 

  1. アスファルトルーフィング
    • 特徴:厚みのあるダンボールにアスファルトを染み込ませたもの
    • メリット:普及率が高く、非常に安価
    • デメリット:破れやすく、耐久性が低い(約10年)
    • 用途:一般住宅で最も使用頻度が高い
  2. 改質アスファルトルーフィング(ゴムアスルーフィング)
    • 特徴:アスファルトに合成ゴムや合成樹脂を混ぜたもの
    • メリット:耐流動性・耐摩耗性・耐剥離性・付着性などの性能が向上
    • デメリット:アスファルトルーフィングより高価
    • 耐用年数:約20年
  3. 透湿防水ルーフィング
    • 特徴:湿気を通す機能が加わった防水シート
    • メリット:屋根内部の結露を防ぎ、高温多湿な日本の住宅に適している
    • デメリット:費用が高い
    • 耐用年数:約50年と非常に長い
  4. 高分子系ルーフィング
    • 特徴:アスファルトの代わりに塩化ビニルや合成ゴムなどを原料とするシート
    • メリット:軽量で伸縮性が高い、用途に応じた機能(遮熱性など)を付加できる
    • デメリット:平面下地にしか施工できない場合がある、紫外線で劣化しやすい
  5. 粘着層付改質アスファルトルーフィング
    • 特徴:改質アスファルトの裏面が粘着シートになっている
    • メリット:釘穴からの漏水を防ぎ、より高い防水性能を発揮
    • デメリット:透湿性がなく、価格が高い

これらの種類から選ぶ際は、住宅の立地条件や気候、予算、求める耐久性などを考慮することが重要です。特に日本の高温多湿な気候を考えると、透湿性のあるルーフィングシートが結露防止の観点から推奨されることが多いです。

 

ルーフィングシートの施工方法と注意点

ルーフィングシートの施工方法は主に2種類あります。それぞれの方法と施工時の注意点について解説します。

 

1. タッカー留め
タッカー留めは、大きなホッチキスのような建築道具(タッカー)を使って、ルーフィングシートを野地板に固定する方法です。

 

施工手順。

  1. ルーフィングシートを屋根の角に合わせ、上角1ヵ所をタッカーで留める
  2. 角に合わせながらシートを広げていく(たわませすぎないよう注意)
  3. 100mm程度の間隔で垂木の上に流れ方向にタッカーで留めていく
  4. 屋根の端まで敷いたら、折り目をつけてカッターでカットする
  5. シート同士が重なる部分は100mm以上重ねて敷く

この方法では、タッカーでシートに穴を開けることになりますが、時間の経過とともに太陽熱でルーフィングの一部が溶け、穴を塞いでくれます。ただし、タッカーの留め方が深すぎても浅すぎても雨漏りの原因となるため、高い技術が必要です。

 

2. 粘着型の貼り付け
粘着層付きのルーフィングシートを使用する場合は、シールのように野地板に直接貼り付けます。

 

メリット。

  • 穴を開けずに施工できるため、漏水の心配が少ない
  • 防水性能がタッカー留めよりも高い
  • 穴の広がりや破れに発展する危険がないため、長持ちする

施工時の注意点

  1. 天候への配慮:雨の日の施工は避ける。また、雨上がりの翌日も野地板が完全に乾燥していない場合は施工を避けるべき。

     

  2. 野地板の状態確認:野地板が湿っている状態でルーフィングシートを張ると、シートと野地板の間に湿気がこもり、不具合の原因となる。

     

  3. 施工後の雨対策:ルーフィングシート施工後、屋根材を葺く前に強い雨に当たると、継ぎ目から雨水が入り込み、野地板を湿らせる恐れがある。

     

  4. 細かな破損への対応:施工中に生じた小さな穴やキズも、将来の雨漏りにつながる可能性があるため、確実に対処する必要がある。

     

  5. 重ね代の確保:ルーフィングシート同士の重なり部分は、最低でも100mm以上確保することが重要。

     

適切な施工方法と注意点を守ることで、ルーフィングシートの性能を最大限に発揮させ、住宅を長期間雨漏りから守ることができます。

 

ルーフィングシートのメンテナンス時期と方法

ルーフィングシートは屋根材の下に隠れているため、普段目にする機会がなく、劣化や破損に気づきにくいという特徴があります。そのため、計画的なメンテナンスが非常に重要です。

 

最適なメンテナンス時期
ルーフィングシートは種類によって耐用年数が異なりますが、一般的には約10年に1度のメンテナンスが推奨されています。特に一般住宅で多く使用されているアスファルトルーフィングの耐用年数は約10〜15年です。

 

新築時にルーフィングシートまで指定することはほとんどないため、多くの住宅ではアスファルトルーフィングが使用されていると考えられます。したがって、新築から10年以上経過している場合は、専門業者にルーフィングの状況を確認してもらうことをお勧めします。

 

劣化のサイン
ルーフィングシートの劣化は外からは見えにくいですが、以下のような症状が現れた場合は、ルーフィングシートの劣化が疑われます。

  • 小さな雨漏りが発生した
  • 屋根裏や天井にシミができた
  • 屋根材の下から水が染み出している
  • 屋根裏の木材が湿っている

メンテナンス方法
ルーフィングシートのメンテナンスは基本的に「張り替え」となります。以下の手順で行われます。

  1. 既存の屋根材を撤去する
  2. 古いルーフィングシートを剥がす
  3. 野地板の状態を確認し、必要に応じて補修する
  4. 新しいルーフィングシートを施工する
  5. 屋根材を再設置する

この作業は専門知識と技術が必要なため、DIYではなく専門業者に依頼することをお勧めします。

 

メンテナンスコスト
ルーフィングシートのメンテナンスコストは、屋根の面積や使用するルーフィングシートの種類、屋根材の種類などによって異なります。一般的な住宅の場合、ルーフィングシートの材料費は以下のような目安になります。

  • アスファルトルーフィング:1本(約18㎡施工可能)あたり約3,500円〜5,500円
  • 改質アスファルトルーフィング:1本あたり約4,800円〜10,000円
  • 遮熱性ルーフィングシート:1本あたり約12,000円前後

これに施工費が加わるため、総コストはさらに高くなります。しかし、雨漏りによる住宅の損傷や修理費用を考えると、適切なタイミングでのメンテナンスは長期的に見て経済的です。

 

ルーフィングシートと外壁塗装の関係性

外壁塗装を検討している方にとって、ルーフィングシートと外壁塗装の関係性を理解することは非常に重要です。両者は一見関係がないように思えますが、住宅の防水システム全体を考えると密接に関連しています。

 

外壁塗装だけでは雨漏りは解決しない
よくある誤解として、「外壁塗装をすれば雨漏りが解決する」というものがあります。しかし、雨漏りの多くは屋根からの浸水が原因であり、特にルーフィングシートの劣化や破損によるものが少なくありません。外壁塗装は確かに外壁からの浸水を防ぐ効果がありますが、屋根からの雨漏りには対応できません。

 

外壁塗装工事と同時に屋根点検を行うメリット
外壁塗装工事を行う際には、同時に屋根の点検も行うことをお勧めします。その理由は以下の通りです。

  1. 足場の共有による費用削減:外壁塗装では足場を組みますが、この足場を屋根点検や修理にも利用できるため、別々に工事するよりも費用を抑えられます。

     

  2. 総合的な防水対策:外壁と屋根は住宅の防水システムの両輪です。両方を同時にチェックすることで、住宅全体の防水性能を向上させることができます。

     

  3. 劣化の早期発見:外壁塗装のタイミング(7〜10年周期)は、ルーフィングシートのメンテナンス推奨時期(約10年)とほぼ一致します。同時に点検することで、劣化を早期に発見できます。

     

外壁塗装業者の選び方
外壁塗装を依頼する際は、屋根工事にも精通した業者を選ぶことが重要です。以下のポイントをチェックしましょう。

  • 屋根工事の実績があるか
  • ルーフィングシートの種類や特性について詳しい知識を持っているか
  • 屋根の点検・診断サービスを提供しているか
  • 外壁だけでなく、屋根も含めた総合的な防水提案ができるか

外壁塗装工事前の屋根点検チェックリスト
外壁塗装を依頼する前に、以下の点を業者に確認しておくと良いでしょう。

  • 屋根材の状態(割れ、ずれ、欠損など)
  • 屋根の防水性能
  • ルーフィングシートの種類と状態
  • 雨漏りの兆候の有無
  • 屋根裏の結露状況

外壁塗装と屋根工事を同時に行うことで、住宅全体の防水性能を向上させ、将来的な雨漏りリスクを大幅に減らすことができます。特に築10年以上経過している住宅では、ルーフィングシートの劣化が進んでいる可能性が高いため、外壁塗装のタイミングでの点検・メンテナンスを強くお勧めします。

 

ルーフィングシートの選び方と費用対効果

ルーフィングシートは種類によって性能や価格が大きく異なります。長期的な視点で考えると、初期費用だけでなく耐久性やメンテナンス頻度も含めた費用対効果を検討することが重要です。ここでは、ルーフィングシートの選び方と費用対効果について解説します。

 

選び方のポイント

  1. 気候条件に合わせた選択
    • 高温多湿な地域:透湿性のあるルーフィングシートがおすすめ(結露防止効果)
    • 降雨量の多い地域:防水性能の高い改質アスファルトルーフィングや粘着層付きタイプ
    • 寒冷地:温度変化に強い改質アスファルトルーフィング
  2. 屋根材との相性
    • 瓦屋根:重量があるため、耐久性の高いルーフィングシートが適している
    • 金属屋根:熱膨張・収縮があるため、伸縮