

赤外線調査の資格は「民間資格だから誰でも名乗れる」と思っていたら、定期報告書に記名できず100万円以下の罰金対象になることがあります。
建築基準法第12条に基づく定期報告制度(いわゆる「12条点検」)では、特定建築物の外壁調査を一定の資格者が実施し、その結果を特定行政庁に報告することが義務付けられています。竣工または外壁改修から10年が経過した特定建築物は、全面打診または同等以上の精度を持つ赤外線調査が必要とされています。
ここで重要なのが「誰が調査を実施・報告できるか」という資格の問題です。定期報告書に署名・記名できるのは、一級建築士・二級建築士・特定建築物調査員に限られています。赤外線調査自体に固有の国家資格は存在しませんが、報告の主体は必ずこの3つの資格のいずれかを持つ者でなければなりません。つまり資格が条件です。
赤外線調査の現場では、機器の操作や画像解析を専門業者が担うケースも多いですが、最終的な報告責任は有資格者にあります。報告を怠った場合や虚偽の報告をした場合、建築基準法第101条に基づき100万円以下の罰金が科せられます。痛いですね。調査を外注していても、法的責任から逃れられない点は必ず押さえておきましょう。
2022年4月1日には建築基準法施行規則が改正され、ドローンを搭載した赤外線調査が定期報告の正式な調査手法として認められました。これにより、足場を組まずにドローンで外壁全面を調査できるようになり、コストや工期の削減が大きく進んでいます。
参考:定期報告制度における外壁のタイル等の調査について(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000161.html
建築業の現場で赤外線調査を実務として扱う際に、最も広く取得されている民間資格が「赤外線建物診断技能師」です。一般社団法人「街と暮らし環境再生機構(TERS)」が制度を運営しており、2010年の創設以来、多くの技術者が取得しています。一般財団法人職業技能振興会(FOS)が試験を実施しています。
この資格の大きな特徴は「受験資格がない」という点です。建築士でなくても、実務経験がなくても受験できます。試験は選択式・記述式で120分、合格基準は7割以上の正答率です。難易度は「やや易しい」とされており、研修受講者の合格率は約90%に達しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催団体 | 一般財団法人 職業技能振興会(FOS) |
| 受験資格 | なし(誰でも受験可能) |
| 受験料 | 13,000円(税込)/再受験8,500円 |
| 試験時間 | 120分(選択式・記述式) |
| 合格基準 | 7割以上の正答 |
| 認定登録料 | 2,000円 |
| 更新 | 2年ごとに更新(更新料5,000円) |
独学用の市販テキストがないため、公式の研修(受講料30,800円程度)を受けてから試験に挑む方法が一般的です。研修を受講すれば1日の学習でも十分に合格を狙えるレベルです。
ひとつ注意が必要な点があります。この資格は2年ごとの更新制となっており、期限内に更新手続きをしないと自動的に資格登録が失効します。失効後は「赤外線建物診断技能師」の名称を名乗ることができなくなります。取得して満足してしまいがちですが、更新忘れには十分注意しましょう。
参考:赤外線建物診断技能師の概要(一般財団法人 職業技能振興会FOS)
https://fos.or.jp/shikaku/stg/
赤外線建物診断技能師以外にも、現場で活用できる資格があります。代表的なものが「ITC赤外線サーモグラファー」と「赤外線建物診断アドバイザー」の2つです。
ITC赤外線サーモグラファーは、赤外線サーモグラフィ機器メーカーとして世界的に知られるFLIR(フリアーシステムズ)が提供する資格で、ISO18436-7に準拠した国際標準のカリキュラムが特徴です。これは使えそうです。資格にはレベル1・レベル2があり、レベル1は入門的な熱画像の解析技術から電磁スペクトルの理解までをカバーします。レベル2はより高度な定量的解析や機器の設定・応用が求められます。
受講費用はレベル1で約5日間・受講料198,000円(税別)程度と高額ですが、国際的な通用性があり、入札要件として求められるケースもあります。特に公共工事や大規模建物の調査を受注したい業者にとって、取得する価値は高い資格です。
一方、「赤外線建物診断アドバイザー」は、赤外線建物診断技能師に比べてより入門的な位置づけです。雨漏りや断熱不良などの簡易診断を自分で行いつつ、詳細な調査が必要な場合は赤外線建物診断技能師に委託するための知識を身につける資格となっています。講座受講費用は13,200円(税込)程度とリーズナブルです。
| 資格名 | 主催 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ITC赤外線サーモグラファー Lv.1 | FLIR(フリアーシステムズ) | 約198,000円(税別)/5日間 | ISO国際規格準拠、入札要件で求められることも |
| ITC赤外線サーモグラファー Lv.2 | FLIR | Lv.1取得後に受講 | 高度な定量解析・応用技術 |
| 赤外線建物診断アドバイザー | TERS | 約13,200円(税込) | 簡易診断の入門資格、詳細調査は技能師へ委託 |
どの資格が自分の業務に合っているかを判断するには、まず「定期報告の報告者になるのか」「外壁調査を実務で担うのか」「発注側として業者の技術力を評価したいのか」といった目的を明確にするのが近道です。
参考:赤外線建物診断アドバイザーの概要(住宅新報web)
https://www.jutaku-s.com/fudousan-koko/qualification/detail4/
2022年の法改正以降、ドローンによる赤外線外壁調査が定期報告の正式手法として認められたことで、「ドローン操縦の国家資格」と「赤外線調査の民間資格」を組み合わせて持つ技術者の価値が急速に高まっています。
ドローンの国家資格である「無人航空機操縦者技能証明」には、一等・二等の2種類があります。二等無人航空機操縦士は無人地帯での目視外飛行(レベル3)まで対応し、多くの外壁調査案件をカバーできます。一等無人航空機操縦士を取得するとレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が可能となり、都市部の高層ビルや複合施設での調査にも対応できる幅が広がります。
| 資格 | 取得費用目安 | 外壁調査での活用場面 |
|---|---|---|
| 二等無人航空機操縦士 | 15万〜40万円(スクール費込) | 無人地帯・一般的な外壁調査 |
| 一等無人航空機操縦士 | 50万〜80万円(スクール費込) | 有人地帯・都市部の高層建物 |
| 赤外線建物診断技能師 | 約4〜6万円(研修+受験料) | 外壁診断・報告書補助 |
ドローンの民間資格については、2025年12月より飛行許可申請の簡略化措置が廃止されています。現在は国家資格である無人航空機操縦者技能証明を取得しておくことが事実上のスタンダードとなっています。つまり民間資格だけでは不十分です。
ドローンと赤外線の両方の知識を持つ技術者は、今後ますます希少価値が上がると見られています。特に、特定建築物の定期報告案件を受注している建設・調査会社では、この2つの資格を組み合わせて持つ担当者が業務の中心を担うケースが増えています。外壁調査の実務を担当している方であれば、キャリアアップの観点からも検討する価値は十分にあります。
参考:ドローン点検に資格は必要?取得しておきたい資格の種類と活用メリット(Drone Frontier)
https://www.drone-frontier.co.jp/column/2026/01/09/ドローン点検に資格は必要/
資格を取得して終わり、と思っている建築業従事者は少なくありません。しかし、赤外線調査に関わる資格と法制度は継続的に変化しており、適切にアップデートしていく必要があります。
まず「赤外線建物診断技能師」は2年ごとの更新制度があり、更新料は5,000円です。更新期限を過ぎた場合は自動失効となり、以後この名称を名乗ることができなくなります。一見些細なことに見えますが、入札要件や業者登録の証明書類として資格証を提出する場面では、有効期限切れが致命的なミスになることもあります。更新期限の管理が条件です。
次に法制度の変化への対応です。2024年6月には建築基準法第12条に基づく定期報告制度の告示が改正され、2025年7月1日から施行されています。調査項目の重複解消や調査合理化が図られており、特定建築物調査の内容に変更が生じています。この改正をキャッチアップしないまま従来の方法で報告書を作成すると、報告内容の不備として指摘される可能性があります。
実務上のポイントとして、以下の点を定期的に確認する習慣をつけることをおすすめします。
- 🗓️ 資格証の有効期限:赤外線建物診断技能師は2年ごと、取得日を手帳やリマインダーに登録しておく
- 📢 国土交通省の告示・ガイドライン改正:特に定期報告制度の告示変更は実務に直結する
- 🚁 ドローン関連の規制動向:航空法・電波法の改正で飛行条件が変わる場合がある
- 📋 特定行政庁ごとの運用差:同じ告示でも自治体によって運用が異なる場合がある
法律の改正情報を素早くキャッチするためには、国土交通省の公式サイトや日本赤外線サーモグラフィ協会のセミナー情報を定期的にチェックするのが効率的です。日本赤外線サーモグラフィ協会では、法改正の最新動向や赤外線調査の基礎知識を習得できるセミナーを継続的に開催しています。
参考:一般社団法人 日本赤外線サーモグラフィ協会
https://www.thermography.or.jp/
参考:建築基準法第12条定期報告改正ポイント(2024年告示改正・2025年施行)
https://skytechnos.net/news/post-1005/

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