

浸透性シーラー材は、下地内部に浸み込ませて脆弱層を固め、上塗りの吸い込みムラを抑えることに主眼が置かれた下塗り材です。一方でプライマーは、塗布面に連続した塗膜を形成し、上塗り塗料との密着性や防錆など特定機能を付与する「接着橋」として設計されている点が大きな違いになります。
現場ではシーラーとプライマーがほぼ同義で扱われるケースもありますが、浸透型か造膜型か、水性か油性かによって浸透深さや乾燥時間、臭気、適用下地が大きく変わるため、製品カタログの「用途」と「適用下地」を確認したうえで使い分けることが重要です。特に劣化の激しいモルタル外壁やALCでは、油性系の浸透性シーラー材を選ぶことで、チョーキング層をまとめて固め、上塗りの早期剥離リスクを抑えられます。
浸透性シーラー材が想定している代表的な下地は、モルタル、コンクリート、ALC、押出成形セメント板、けい酸カルシウム板など吸水性の高いセメント系建材で、日本ペイントの「ファイン浸透シーラー透明・ホワイト」などもこれらを主要な適用下地としています。これらの下地は素地の含水率や既存塗膜の劣化度によって吸い込み量が大きく変わるため、ウエスでの擦りテストや試験塗りで「まだ粉が出るか」「ツヤが出るか」を確認し、必要に応じて2回塗りで吸い込みを止めることが求められます。
JIS A 6909が規定する外装薄塗材・複層塗材の下塗り材では、透水性や付着性、温冷繰返し後の異常の有無などが性能項目として挙げられており、このレベルを満たしている浸透性シーラー材を使うことで、雨水の侵入抑制と塗膜の長期耐久性を確保できます。吸い込みムラを放置すると、上塗りのツヤムラだけでなく、塗膜厚の不足によるひび割れ追従性低下や炭酸ガスの浸入増加につながるため、下塗り段階での「吸い込み管理」は外壁の寿命を左右する作業と言えます。
白華(エフロレッセンス)は、コンクリートやモルタル中の可溶性成分が水によって表面に移動し、乾燥とともに白い結晶として析出する現象で、放置すると塗料の密着を阻害し膨れや早期剥離の原因になります。白華が残存したまま浸透性シーラー材を塗布すると、白華層そのものを固めてしまい、見た目には一時的に安定しても、内部で水分移動が続けば再度膨れ・剥離が生じるため、「高圧洗浄・ブラッシング→必要に応じた酸洗い→十分な乾燥→白華の再発確認」のステップを踏んだうえで下塗りに入る必要があります。
白華には新築後1〜3年に出やすい初期乾燥型の比較的安全なタイプと、ひび割れやシーリング劣化部から継続的に水が侵入する再発型があり、後者では浸透性シーラー材だけでの対処は不十分で、防水形複層塗材やシーリング打ち替えを含めた「水の経路の遮断」がセットで求められます。白華が筋状に現れている場合は、その筋が内部クラックや目地劣化位置と対応していることが多いため、そのラインに沿ってひび割れ補修と浸透性シーラー材の重点塗布を行うことで、後の上塗り膨れをかなり抑制できます。
JIS A 6909「建築用仕上塗材」では、複層塗材E・RE・Si、防水形外装薄塗材E、防水形複層塗材Eなどの仕上げシステムごとに、下塗り材の透水性、付着性、耐水性、耐衝撃性、温冷繰返し性などの性能が定められており、浸透性シーラー材はこれらの要求を満たす前提でシステム組みに採用されます。例えばファイン浸透シーラーは、JIS A 6909に規定される複層塗材REの下塗り材としての性能を満たすことが社内試験で確認されており、透水性B法で一定以下の値をクリアすることで「雨水の侵入を許さない下塗り」として設計されていることが分かります。
実務上は、JISマークの有無そのものよりも「想定している仕上げシステム」と「上塗り適合性」の記載が重要で、弱溶剤系反応硬化形シーラーであっても、強溶剤型上塗りとの組み合わせが禁止されているケースがあります。カタログの「適用上塗り」「上塗り適合性」欄で、シリコン系・フッ素系・無機系のどこまで対応か、屋根にも使えるか、ホワイトタイプと透明タイプで適用が異ならないかを確認し、システム全体での保証条件を満たすように選定することが、クレーム時の説明責任を果たすうえでも外せないポイントです。
浸透性シーラー材は「よく染み込んでいれば安心」というイメージが先行しがちですが、極端な多孔質下地では浸透し過ぎにより内部で樹脂濃度が薄まり、表層に十分な結合力を形成できないケースがあります。そのため、塗布量を増やすだけでなく、1回目を軽く浸透させてから2回目で表層をまとめる「二段階固化」を意識し、ローラーの転がり感が変わるポイントを職人同士で共有しておくと、仕上がりのバラつきを減らせます。
また、JIS A 6909の温冷繰返し試験は24時間水浸し後などの条件で異常がないことを確認するものですが、現場では日射・風・夜露が加わることで、カタログ値以上のストレスが下地にかかります。特に昼夜の温度差が大きい山間部や海風を受ける沿岸部では、浸透性シーラー材の塗布後に十分な乾燥時間を取らずに上塗りへ進むと、内部水分の膨張による微細な膨れが数年後に顕在化することがあり、地域気候に合わせた「実質の乾燥時間設定」を社内標準として持つことが、長期的なクレーム削減に直結します。さらに、ホルムアルデヒド放散等級F☆☆☆☆を取得した浸透性シーラー材を選べば、室内側のけい酸カルシウム板や石膏ボードにも安心して使えるため、外装・内装をまたいだ材料統一による在庫圧縮という、現場とは別軸のメリットも見込めます。
浸透性シーラー材とプライマーの役割やJISの位置づけ、白華との関係性を詳しく解説している外壁塗装会社の技術コラムです(シーラーとプライマーの基本的な違いの参考)。
下塗り塗料(シーラー、プライマー、フィラー)の違いと重要性
JIS A 6909の原文を公開しているサイトで、透水性・耐衝撃性・温冷繰返しなど下塗りに関係する性能項目の詳細を確認できます(JIS A 6909の選定と注意点の参考)。
JIS A 6909:2014 建築用仕上塗材
白華(エフロレッセンス)の発生メカニズムと塗装への影響、除去・再発防止策を整理した技術解説です(白華と剥離トラブルの参考)。

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