
塩ビ管の差し込み寸法は、VP(厚肉管)とVU(薄肉管)で大きく異なります。建設現場での適切な管材選定には、これらの規格別寸法を正確に把握することが不可欠です11。
VP管(厚肉管)の主要差し込み寸法
呼び径(mm) | 外径(mm) | 厚さ(mm) | 概略内径(mm) |
---|---|---|---|
13 | 18 | 2.2 | 13 |
20 | 26 | 2.7 | 20 |
25 | 32 | 3.1 | 25 |
40 | 48 | 3.6 | 40 |
50 | 60 | 4.1 | 51 |
75 | 89 | 5.5 | 77 |
100 | 114 | 6.6 | 100 |
VU管(薄肉管)の主要差し込み寸法
呼び径(mm) | 外径(mm) | 厚さ(mm) | 概略内径(mm) |
---|---|---|---|
40 | 48 | 1.8 | 44 |
50 | 60 | 1.8 | 56 |
65 | 76 | 2.2 | 71 |
75 | 89 | 2.7 | 83 |
100 | 114 | 3.1 | 107 |
VP管は耐圧性に優れ、給水・給湯配管に適用される一方、VU管は軽量で排水・通気配管に多用されます。外径は同一でも肉厚が異なるため、継手選定時には必ず規格を確認する必要があります。
継手の種類によって差し込み長さが変わることは、施工精度に直結する重要なポイントです。特にソケット継手では、呼び径ごとに標準化された差し込み長さが規定されています。
ソケット継手の差し込み長さ一覧
特殊継手の差し込み寸法
TS(耐熱)継手とHITS(耐衝撃)継手では、通常のソケットと異なる寸法体系を採用しています。
これらの継手は、呼び径13mmから150mmまでの豊富なラインナップを揃えており、用途に応じた選択が可能です。特に呼び径200mm以上の大口径では、継手の種類によって差し込み寸法が異なる場合があるため注意が必要です。
JIS K6741:2007に基づく塩ビ管の寸法許容差は、施工品質を左右する重要な基準です。外径許容差は呼び径によって段階的に設定されており、小径管ほど厳密な管理が要求されます。
外径許容差の基準値
厚さ許容差と内径への影響
管の厚さ許容差は+側に制限がなく、最小厚さのみが規定されています。これは耐圧性能を確保しつつ、製造工程での品質バラツキを許容する設計思想によるものです。
許容差の理解は、現場での検品作業において極めて重要です。特に差し込み接合では、管端の真円度や表面粗さも接合強度に影響するため、目視確認と併せて寸法測定を実施することが推奨されます。
実際の施工現場では、理論値通りの差し込み寸法を確保することが品質管理の基本となります11。特に継手受口長さの測定と管差し込み標線の記入は、接合部の信頼性を確保する重要な工程です。
差し込み標線の記入方法
温度による寸法変化への対応
塩ビ管は温度変化による線膨張が発生するため、施工時の環境温度を考慮した差し込み調整が必要です。
接着剤塗布と差し込み作業
接着剤の塗布は管端から差し込み長さの2/3程度まで行い、継手内面には全面塗布を実施します。差し込み後は30秒程度保持し、接着剤の初期硬化を待つことが重要です。
精密な差し込み寸法管理には、適切な測定器具の選定が不可欠です。現場で使用される測定ツールには、それぞれ特徴と適用範囲があります。
ノギス(キャリパー)の選択基準
呼び径100mm以下の小径管測定には150mmノギス、それ以上の大径管には300mmノギスの使用が適切です。
専用測定治具の活用
管材メーカー各社では、差し込み寸法専用の測定治具を提供しています。これらの治具は以下の特徴を持ちます。
3D測定器による品質検査
大規模プロジェクトでは、3Dスキャナーを用いた寸法検査も導入されています。この方法により、以下の利点が得られます。
測定器具の定期校正も重要な管理項目です。年1回以上の校正実施により、測定精度の維持を図ることが品質保証の基本となります。
現場での効率的な測定作業には、測定手順の標準化と作業者教育が欠かせません。特に差し込み標線の記入は、後工程での作業効率に直結するため、統一した記入方法の確立が重要です。