
硬質塩化ビニル管の規格は、JIS K6741:2007に基づいて標準化されており、建築現場では主にVP管とVU管の2種類が使用されています。
VP管(水道用硬質塩化ビニル管)の特徴
VU管(硬質塩化ビニル管)の特徴
実際の現場では、VP管は水道メーターから建物内への給水ライン、VU管は洗面台やキッチンからの排水ラインに使い分けられています。この使い分けを理解することで、適切な材料選定と工期短縮が実現できます。
JIS K6741:2007に規定された塩ビ管の寸法表は、建築現場での正確な配管設計に不可欠な情報源です。
VP管の主要寸法(抜粋)
呼び径(mm) | 外径(mm) | 厚さ(mm) | 内径(mm) | 重量(kg/m) |
---|---|---|---|---|
50 | 60 | 4.1 | 51 | 1.122 |
65 | 76 | 4.1 | 67 | 1.445 |
75 | 89 | 5.5 | 77 | 2.202 |
100 | 114 | 6.6 | 100 | 3.409 |
125 | 140 | 7.0 | 125 | 4.464 |
150 | 165 | 8.9 | 146 | 6.701 |
VU管の主要寸法(抜粋)
呼び径(mm) | 外径(mm) | 厚さ(mm) | 内径(mm) | 重量(kg/m) |
---|---|---|---|---|
50 | 60 | 1.8 | 56 | 0.521 |
65 | 76 | 2.2 | 71 | 0.825 |
75 | 89 | 2.7 | 83 | 1.159 |
100 | 114 | 3.1 | 107 | 1.737 |
125 | 140 | 4.1 | 131 | 2.739 |
注目すべきは、同じ呼び径でもVP管とVU管では内径が異なることです。例えば呼び径50mmの場合、VP管の内径は51mmですが、VU管は56mmとなり、流量計算に影響を与えます。
現場での材料発注時には、これらの詳細寸法を確認して、継手や接続部材の適合性を事前に検証することが重要です。
建築現場における塩ビ管の選定では、単純な呼び径だけでなく、実際の流量や設置条件を考慮した寸法計算が必要です。
インチサイズとの対照表
インチサイズ | 呼び径(mm) | VP管外径(mm) | 用途例 |
---|---|---|---|
1 1/2 B | 40 | 48 | 洗面排水 |
2 B | 50 | 60 | 台所排水 |
2 1/2 B | 65 | 76 | 浴室排水 |
3 B | 75 | 89 | 建物排水本管 |
4 B | 100 | 114 | 共用排水幹線 |
流量計算における内径の重要性
実際の配管設計では、外径ではなく内径での流量計算が必要です。例えば、VP50とVU50では。
この違いにより、同じ呼び径でも流量に約20%の差が生じるため、用途に応じた適切な選択が求められます。
設置環境による選定基準
地中埋設の場合はVP管の耐久性、屋内配管ではVU管の施工性とコストを重視した選定が一般的です。また、凍結の可能性がある地域では、HI管(耐衝撃性硬質塩化ビニル管)の採用も検討されています。
JIS規格に定められた塩ビ管の許容差は、現場での接続作業に直接影響する重要な要素です。
外径許容差の規格値
厚さ許容差による影響
VP管の厚さ許容差は+0.8mm~+2.8mmとなっており、この範囲内での変動は接続部の密着性に影響します。特に大口径の配管では、継手との嵌合具合を現場で確認する作業が重要です。
施工時の実用的なチェックポイント
現場での経験則として、外径の許容差が大きい大口径管では、継手の選定時に余裕を持った寸法設定が推奨されています。また、配管の熱膨張を考慮して、長距離配管では伸縮継手の設置間隔も寸法計算に含める必要があります。
塩ビ管における呼び径と実際の寸法の違いは、建築現場でのトラブルの原因となりやすい重要なポイントです。
呼び径と実寸法の関係性
多くの建築従事者が混同しやすいのが、呼び径と実際の外径・内径の違いです。例えば。
この数値の違いは、配管スペースの計算や躯体開口部の設計に直接影響するため、設計段階での正確な把握が必須です。
現場でのトラブル回避策
実際の現場では「70φのドレンはありますか?」という質問が頻繁にありますが、呼び径70mmの塩ビ管は存在しません。正しくは65mm→75mmとなるため、事前の規格確認が重要です。
特殊サイズへの対応
VP管では350mm~800mmの大口径も製造されていますが、これらは特殊用途向けのため、一般的な建築現場での使用頻度は低くなっています。ただし、大型施設や工場建築では必要となる場合があるため、規格表の全容を把握しておくことが重要です。
継手との適合性確認
呼び径が同じでも、VP管とVU管では肉厚が異なるため、専用継手の使用が必要です。特にTS継手(接着継手)とHITS継手(耐衝撃性接着継手)では、対応する管種が限定されるため、材料発注時の注意が必要です。
建築現場での効率的な作業進行のためには、これらの規格知識を活用した事前準備と、現場での適切な材料確認作業が不可欠といえます。