シルト粘土違い透水性と粒径の分類

シルト粘土違い透水性と粒径の分類

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シルトと粘土の違い

シルトと粘土の基本的な違い
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粒径による明確な分類

シルトは0.074~0.005mm、粘土は0.005mm以下と粒子の大きさで区別されます

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透水性の特徴

両者とも透水性が低く不透水層を構成しますが、粘土のほうがより水を通しにくい性質があります

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建築における扱い

どちらも細粒分として粘性土に分類され、圧密沈下のリスクに注意が必要です

シルトと粘土は、建築業において地盤の性質を判断する上で非常に重要な土粒子の分類です。両者の最も基本的な違いは粒径にあり、シルトは0.074~0.005mm(または0.075~0.005mm)の粒径を持つ土粒子、粘土は0.005mm(または0.004mm)以下の粒径を持つ土粒子と定義されています。つまり、粘土のほうがシルトよりも細かい粒子で構成されているのです。
参考)https://archifrom.com/2025/01/01/%E7%A4%AB%E3%81%A8%E7%A0%82%E3%81%A8%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%88%E3%81%A8%E7%B2%98%E5%9C%9F%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%A7%A3%E8%AA%AC/

土粒子は細かい方から粘土、シルト、砂、礫(レキ)という順に分類され、シルトや粘土のように粒径が細かい土粒子を「細粒分」、砂や礫のような大きな粒径の土粒子を「粗粒分」と呼びます。建築実務においては、粒径0.075mm以上(石・礫・砂)を「砂質土」、0.075mm以下(シルト・粘土)を「粘性土」として扱うのが一般的です。
参考)https://media.suke-dachi.jp/glossary/material/silt/

シルトの粒径と定義

シルトは砂よりも微細で粘土よりも粗い粒径を持つ土粒子で、具体的には0.074~0.005mm程度の粒径範囲に該当します。この粒径は肉眼では細かすぎて粒子を区別しにくく、見た目では砂と粘土の中間のような性質を持っています。
参考)https://toumaswitch.com/9caencjm1r/

地質学的には、泥(粒径が1/16mm以下のもの)の中で、粘土(粒径が1/256mm以下)より粒が大きく粗いものをシルトと定義しており、「微砂」とも呼ばれます。シルトは水や氷、風などによって運ばれ堆積した塵のような堆積物で、一般的に石英や長石などの鉱物を起源としています。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%88

現場での見分け方としては、乾燥すると小麦粉のような感触となり、濡れると滑らかな泥になって手のひらで形を作ることができます。しかし粘性があまりなく、こねていると粉末状になりさらりとした印象を与えるのが特徴です。河川が運んできた粒子が粘土を伴って海や沼の中に静かに堆積したもので、水につけて水中で洗うとすみやかに手から落ちます。
参考)http://ntooffice.blog21.fc2.com/blog-entry-1502.html

粘土の粒径と特性

粘土は土粒子の中で最も細かく、通常0.005mm(5μm)未満、または0.004mm以下の粒径を持つ極めて微細な天然土壌物質です。この粒子は、岩石が化学的に分解され、微細な粒子となったもので、粘土鉱物を含んでいます。
参考)https://note.com/0karakouzou/n/n2fefc13a791a

粘土の細かい粒子が土壌の凝集力を高めており、湿った状態でも乾いた状態でも容易にくっつき、粘着性のある質感を形成します。現場での見分け方として、粘性が強くこねていると団子のように固まり、乾燥させたものに舌をつけると吸い付く感じがするという特徴があります。​
河川が運んできた粒子が海や沼の中に静かに堆積したもので、水につけて水中で洗うと石鹸のようにぬるぬるしてなかなか取れません。粘土質の土は砂やシルトと比較すると、かなりの量の水を保持することができ、水に触れると膨張し、乾くと収縮する性質があります。​

シルトと粘土の透水性の違い

透水性(水の通しやすさ)は土粒子の大きさや配列に大きく影響され、一般的に粒子が大きいほど間隙も大きくなるため水が通りやすくなります。シルトと粘土はどちらも透水性が低く、粒子間の隙間が非常に小さいため、ほとんど水を通さない不透水層を構成します。
参考)https://www.ysgiken.co.jp/%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%83%BB%E7%A0%82%E3%83%BB%E7%B2%98%E5%9C%9F%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%88%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E/

粘土は粒子が細かく粘着力があり不透水層を構成する代表的な土質で、含水量が多く、また水分が抜けにくく、良化するのに時間がかかります。一方、シルトは粘土ほど粒子が細かくはないものの、やはり不透水層を構成し、粘着力はあまりありません。​
このため、ダムや堤防など水を止める構造物では粘土質の土が使われることが多く、透水性は粒度分布にも影響されます。不均等な粒度分布を持つ土は、均等な粒度分布を持つ土よりも透水性が低くなる傾向があり、これは小さな粒子が大きな粒子の間の隙間を埋めることで水の通り道が狭くなるためです。
参考)https://left-h.co.jp/glossary/ta-line/%E5%9C%9F%E7%B2%92%E5%AD%90/

シルトは水はけが悪いので、いったん水を含むとなかなか抜けず強度が低下し、含水飽和状態のままで締固め施工をすると転圧機械による締固めが困難な状態になります。造成工事では、乾燥した状態で搬入し、盛土後に締固めするのが基本ですが、このような状態で盛土を続けても地盤強度の低下や含水による軟弱化により、締固めによる効果はほとんど得られません。​

シルトと粘土の圧密沈下特性

透水性の低いシルトや粘土は、外部から圧力を受けてもすぐに圧縮せず、長い時間をかけて圧縮される特性があります。これが「圧密沈下」と呼ばれる現象で、飽和状態にある透水性の低い粘土やシルトに特有の問題です。
参考)https://www.kg-net2005.jp/study/saigai-to-taisaku/jibanchinka.html

盛土等の荷重が作用した場合、軟弱な粘土層やシルト層は、かなり深部まで圧密の影響を受けるため沈下量が多くなります。圧密沈下は粘土やシルトの地盤で起こりやすく、建築物を建てる際には特に注意が必要です。
参考)https://jibanchosa-tokyo.info/column/ground-type/

事前の圧密沈下対策としては、粘土層にセメント等を混ぜて沈下しない性状に変える方法、地盤上に載せるものを軽いものにする方法、粘土層の下にある沈下しない固い土層に杭を打ちその上に建物を載せる方法、家や道路をつくる前に沈下させてしまう方法などが一般的です。戸建て住宅の場合は、地盤のセメント改良や小口径杭、基礎の工夫(べた基礎等)が主体となります。​

シルトと粘土の現場での判別方法

現場では土質試験を行わずにその場で判断を迫られることが多く、粘土やシルトを区別するための実践的な方法が必要です。粘土とシルトの判別には、触感や水との反応、こねた時の状態などを観察します。​
粘土の見分け方として、水につけて水中で洗うと石鹸のようにぬるぬるしてなかなか取れず、粘性が強くこねていると団子のように固まる特徴があります。サンプルを手で割った割り口がベタッとしてよくこねたように見えるのが淡水成で、細かく粒立ったきめ細かいビスケットの破断面のように見えるのが海成です。​
一方、シルトは水につけて水中で洗うとすみやかに手から落ち、粘性があまりなくこねていると粉末状になりさらりとした印象を与えます。乾いた固まりは粘着性をもちますが、指で押すと簡単につぶれる特徴があります。​
土質名には「粘土質シルト」や「砂混じり粘土」という名称が使われ、「質」は混入率が15%~50%未満、「混じり」は混入率が5%~15%未満を意味します。例えば粘土質シルトでは、粘土が15~50%未満の混入率でシルトが50~85%の混入率となります。
参考)https://www.niigata-geo.or.jp/documents/doc07.html

シルトと粘土の地盤改良工法

シルトや粘土を含む軟弱地盤の上に建築物を建てる場合には、地盤改良が必要になります。建築の構造計算の実務上、シルトは「粘性土」と同等の扱いで、土の性質は粘土層と似ています。
参考)http://kentiku-kouzou.jp/kisokouzou-siruto.html

粘性土に適した地盤改良工法としては、深層混合処理工法鋼管杭工法が有効で、将来的なリスク回避には鋼管杭工法がおすすめされています。「柱状地盤改良工法」は小・中規模建築物向けの地盤改良工法として広く使われています。
参考)https://solidcube.gr.jp/column/kouhou/ground_improvement_construction_method_suitable/

シルトは柔らかいので、地山の状態であっても多くはN値が3以下の軟弱地盤となります。N値とは地盤の強度を表す指標で、通常N値が5以上であれば安心して建物を建てることができると判断されますが、粘性土の場合はN値20以上が良質な地盤と判断されます。
参考)https://step-chousa.com/news/624/

シルトはパワーショベルなどのバケットに付着しやすく、空隙の多い状態になりやすい性質があります。また沿岸の護岸工事においては、シルトは周辺に水質汚濁の影響を与える原因にもなるため、シルトフェンスと呼ばれる幕を周辺一帯に張り巡らす措置が講じられることがあります。​
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