

造成工事の費用は工事の種類や規模、土地の状態によって大きく異なります。建築業従事者として押さえておくべき基本的な費用相場を解説します。
参考)造成工事の5種類別費用相場を解説|地域ごとの算出表付き
国税局が公開している地域別の宅地造成費用によると、整地費は1平方メートルあたり400~500円、伐採・抜根費は400~800円、地盤改良費は1,200~1,300円が標準的な相場です。土盛費は1立方メートルあたり3,700~4,600円、土止費は1平方メートルあたり35,800~49,600円となっており、地域によって価格差があります。
一般的な宅地造成では、坪単価換算で3万~10万円程度が目安とされていますが、傾斜地や地盤が軟弱な土地では費用が大幅に増加する可能性があります。
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整地工事は造成工事の中で最もシンプルな作業であり、重機を使って土地を平坦にし、転圧して踏み固めます。坪単価は1,800~2,100円程度が相場で、1平方メートルあたりでは500~800円程度です。
参考)知りたい!宅地造成工事費用の坪単価はどのくらい?
整地には「粗仕上げ」と呼ばれる大きな石などを掃いて土をならすだけの簡易的な方法から、駐車場経営などに対応したコンクリート敷設まで、土地活用の目的に応じた様々な方法があります。整地のみの場合は長くても1週間程度で完了します。
参考)【初心者向け】土地造成の基礎知識
草木の伐採は坪単価3,000~3,300円程度ですが、木の大きさや量によって変動します。特に根の深い大きな木の場合には重機を用いた伐根が必要なため、1本あたり数万円は見込んでおく必要があります。
伐採・抜根を必要とする面積が広い場合、1平方メートルあたり1,000円程度が一般的な相場となっており、草木が残っていると建物の施工やメンテナンスに支障が出たり、シロアリなどの害虫が発生する恐れがあるため、適切な処理が重要です。
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地盤改良工事は、そのままの状態では建物の基礎が不安定な場合に、必要な支持力を得るために実施される重要な工事です。もともと田畑として使われていた湿地帯などは地盤が弱い可能性が高く、地盤改良が必要となるケースが多くあります。
参考)造成工事とは?整地が必要なケースや具体的な作業の内容について…
坪単価は4,500~7,500円程度が相場ですが、工法や深さによって大きく変動するため、まずは見積もりを依頼することが重要です。1平方メートルあたりでは1,500~2,500円程度が一般的な目安となります。
地盤改良の方法には、地面の表層をセメント系の材料で固める「表層改良工法」、コンクリートの柱を打ち込んで支持力を高める「柱状改良工法」、さらに深い地盤まで到達する「鋼管杭工法」などがあります。表層改良で30~50万円程度、柱状改良になると50~100万円程度必要になるケースもあります。
参考)https://www.ieuri.com/bible/money/16673/
地盤沈下を防ぐためには地盤調査を実施し、土地の強度に問題があると判断された場合に適切な工法を選択することが不可欠です。この工程を怠ると、建物が傾いたり沈下したりする重大なリスクがあります。
参考)土地造成工事の基礎知識|工事の流れや費用相場、後悔しないため…
盛土工事は、土地が低い場所に土を入れて高さを調整し、道路と同じ高さにするための工事です。坪単価は19,500~22,500円程度が相場で、土の量や種類によって変動します。1立方メートルあたりでは6,000~15,000円程度が目安です。
参考)道路より低い土地の造成費用|盛り土の相場と安く抑えるコツ -…
盛土の費用は主に「土の購入費」「運搬費」「敷き均し・転圧費」で構成されており、土地全体の地盤を高くする必要がある場合や、建物の床面積を確保するために実施されます。高低差のある土地を均一にし、土地を道路面と同じ高さにすることで、建築計画がスムーズに進行します。
擁壁工事は盛土や切土をした場所にブロック塀やコンクリート壁などを作って土砂の流出や流入を防ぐ工事で、土留めとも呼ばれます。坪単価は18万~24万円程度と高額ですが、高さや厚さ、材質によって大きく変動します。
擁壁がないと、雨水や風で盛土が崩れたり、隣接地から土砂が流れ込んだりする可能性があるため、特に傾斜地での造成工事では必須の工事となります。1平方メートルあたり76,600円が標準的な相場で、高さが2メートルを超える擁壁の設置には許可申請が必要となるケースもあります。
参考)宅地造成等規制法や、宅地造成工事規制区域での注意点を解説|お…
造成工事にかかる期間は工事の内容や規模によって大きく異なります。整地のみの場合は長くても1週間程度で完了しますが、整地に加えて木の伐採・抜根や盛土などの工事を行う場合は、長ければ2ヶ月程度かかることもあります。
参考)造成工事 期間と費用をわかりやすく解説
工事の流れは、都道府県への工事許可申請の提出から始まり、地盤調査に着手、問題なければ整地をして造成工事を施し、最後に残土処分を行うという流れになります。東北や北陸・北海道などの雪国では、冬の時期の工事は大雪の影響で工事ができなくなり工期が長引く場合があるため、工事日程の調整が重要です。
参考)造成工事を行う際の注意点とは?
見積もりを取る際には、工事内容の明確な説明と共に、予算内で質の高い工事が行えるかを注意深く見極める必要があります。見積書には工事項目、材料費・労務費といった工事金額の内訳が記載されており、その業者の仕事の透明性を判断する重要な資料となります。
参考)工事見積書とは?概要や見方、内訳・工種別の確認ポイント、建築…
複数の業者で相見積もりを取り、適正な費用を呈示してくれる業者に依頼することが大切です。見積もりの詳細が明確に書かれている業者を選ぶことで、価格のトラブルを避けることができます。
参考)造成工事とは?費用や注意したいポイント、工事の流れを解説|不…
宅地造成工事規制区域内での造成工事には、都道府県知事の許可が必要となるケースがあります。高さが2メートルを超える切土または盛土を行う場合や、切土や盛土を行う土地の面積が500平方メートルを超える場合が主な対象です。
参考)宅地造成工事ガイド|規制区域の許可申請・費用・注意点をわかり…
無許可での工事実施に対しては3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が、是正命令違反には2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科されるため、事前の確認が極めて重要です。許可を取らずに工事を行うと、工事の中止命令や是正命令が出る可能性もあります。
許可申請の流れは、現地調査・敷地測量から始まり、計画図の作成(平面図・断面図など)、開発行為の有無の確認、必要書類を整えて役所に提出、審査・補正指示を経て許可取得という流れになります。申請提出後の審査期間は自治体により異なりますが、1~2ヶ月程度かかる場合もあるため、建築計画に影響しないよう早めに着手することが肝心です。
宅地造成等許可申請書、現況測量図・造成計画図・排水計画図、土質調査報告書(必要に応じて)などの書類が必要となり、設計段階で必ずチェックが必要です。規制区域の基準は自治体によって異なるため、地域の規制を正しく理解し遵守することがスムーズな施工には不可欠です。
参考)https://www.mlit.go.jp/toshi/web/content/001603831.pdf
国土交通省:土地造成を担う事業者向けの盛土規制法に基づく規制区域と許可申請に関する詳細資料
造成費用を節約するためには、計画的なプランニングが最も重要です。地盤調査や設計段階での精度を高めることで無駄を省き、全体の費用を抑えることができます。土地の特性を活かした造成方法の選択も重要で、傾斜地を活用した造成は平地に比べて土を削る量が少なくて済むため、費用削減につながります。
参考)「驚きの節約術!土地造成費用を賢く抑える方法」|立川市エリア…
地元業者の活用も大きな節約のポイントです。地元の業者は地域の特性をよく理解しており、効率的な施工を行うことができるため、費用対効果が高くなります。移動コストや運搬費用を削減できるため、遠方の業者に比べて総合的なコストが抑えられます。
| 節約方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 計画的なプランニング | 無駄を省き全体費用を削減 | 地盤調査や設計段階での精度が重要 |
| 地元業者の活用 | 移動・運搬コスト削減 | 複数業者の見積もり比較が必須 |
| 工事時期の調整 | 閑散期の工事で費用削減 | 雪国では冬季を避ける |
| 土地特性の活用 | 最適な工法で費用最小化 | 自然環境を考慮した設計 |
業者を選ぶ際には、費用だけで決定せず、見積もり内容の透明性や施工実績を確認し、適正な費用で高品質な施工が可能な業者を選択することがポイントです。工程管理を徹底し、無駄を省くことで期間延長による費用増加を防ぐことができます。
複数の業者を比較することで、多くの顧客が造成工事の業者選びで迷うことを避けられます。見積書の詳細が明確に記載されている業者、工事内容の説明が丁寧な業者を選ぶことで、後々のトラブルを回避できます。
参考)造成工事の業者を選ぶ時のコツとは?
造成工事業者の選び方に関する詳細ガイド:見積もり確認のポイントと信頼できる業者の見極め方