
建築現場でスイッチボックス1個用を選定する際、最も重要なのが寸法の把握です。標準的な1個用スイッチボックスの寸法は、長さ124mm×幅75-76mm×高さ50-51mmとなっており、この寸法は日本工業規格(JIS)に基づいて統一されています。
主要メーカーの製品寸法を比較すると以下のようになります。
パナソニック製品の寸法例
その他メーカー製品
これらの寸法は、配線器具の取付ピッチ(58mmまたは60mm)に対応しており、ミニプレート1・2コ用との組み合わせが可能です。ただし、取り付けピッチ38mmの製品には適合しないため注意が必要です。
興味深いことに、最近の薄型・フラットデザイン化により、アドバンスシリーズなどの新製品では、取付枠の垂下部の形状が従来品と異なっており、JIS規格の一部寸法規定を満足していない箇所もあります。
埋込型スイッチボックスは、壁内部に設置されるため、正確な寸法把握が施工の成否を左右します。パナソニック製の埋込型1個用スイッチボックスは、主に木造住宅での使用を前提として設計されています。
寸法の詳細分析
施工時の重要ポイントとして、壁板厚は7mm以上の確保が必要です。防気カバーを使用する場合は9mm以上が推奨されています。また、電線収納を容易にするため、取付部の奥行き42mm以上の確保も重要な設計要素となります。
鋼板製スイッチボックスの場合、電気亜鉛めっき仕上げとカチオン電着塗装仕上げの2種類があり、用途に応じて選択可能です。特に湿気の多い環境では、防錆性能の高いカチオン電着塗装仕上げが推奨されます。
施工上の注意事項
露出型スイッチボックスは、壁面に直接取り付けるタイプで、配線工事の自由度が高いのが特徴です。主に改修工事や追加工事で重宝される製品群です。
露出型の基本構造と寸法
パナソニック製露出型スイッチボックス(DM38322)の仕様。
配線モール用途での活用
プラモールとの組み合わせでは、10色のカラーバリエーションが用意されており、内装デザインとの調和が図れます。特に1~3号モールそれぞれに適合する兼用ノックアウト付きで、壁ぎわ配線に対応したサイドノックアウトも設けられています。
興味深い技術的特徴として、最新の露出型スイッチボックスには、配線器具から電源を派生させる必要性に応じて1方出・2方出を選択できる設計思想が採用されています。これにより、将来の拡張性を考慮した配線設計が可能となります。
スイッチボックス1個用の材質選択は、設置環境と耐久性要求に直結する重要な要素です。主要な材質別の特徴と寸法を詳細に比較してみましょう。
樹脂製スイッチボックス
鋼板製スイッチボックス
Zn-Al-Mg合金めっき鋼板製
材質別コスト比較
興味深いことに、材質による価格差は性能差ほど大きくありません。
この価格差を考慮すると、長期的な維持管理コストを含めた総合的な判断が重要になります。特に、交換が困難な埋込型では、初期投資を抑えるより耐久性を重視した材質選択が推奨されます。
スイッチボックス1個用の選定と施工には、多くの技術的注意点があります。特に最近の薄型化技術により、従来の施工方法では対応できないケースが増えています。
壁厚に関する制約
現在主流のアドバンスシリーズでは、壁板厚7mm以上の確保が必須となっています。これは取付枠の垂下部の形状変更によるもので、7mm未満では取付枠とボックスが干渉します。防気カバー使用時はさらに厳しく、9mm以上が必要です。
配線スペースの確保
電線収納を容易にするため、取付部の奥行き42mm以上の確保が推奨されています。これは厚み9.5mm石膏ボード+標準ボックスを想定した数値で、Φ2.0電線使用やトリプルスイッチ(3個用)の場合は深型ボックスが必要になります。
穴あけ寸法の重要性
壁の穴あけ寸法が小さいと、穴の四隅に取付枠の垂下部が当たり、入らない場合があります。また、JIS適合品以外のスイッチボックスでは、ボックスに取付枠の垂下部が当たる可能性があるため、必ずJIS適合品の使用が推奨されます。
特殊環境での対応
メーカー別の互換性問題
意外に知られていない重要な点として、メーカー間での寸法互換性の問題があります。パナソニックのアドバンスシリーズは、JIS規格の一部寸法規定を満足していない箇所があるため、他メーカーの配線器具との組み合わせで問題が生じる可能性があります。
施工現場では、事前の寸法確認と適合性チェックが不具合防止の鍵となります。特に改修工事では、既存の配線器具メーカーとの整合性確認が重要です。
パナソニックの技術資料では、施工上の注意事項が詳細に解説されており、施工前の確認資料として活用できます。