寸切ボルト規格を徹底解説！選び方から種類まで完全ガイド

寸切ボルト規格の基本知識

寸切ボルトの基本規格と特徴

寸切ボルトは頭部のない棒状のねじ部品で、建築や設備工事において重要な固定部品です。別名として全ねじ、長ねじボルト、スタッドボルトとも呼ばれます。一般的な規格は以下の通りです：
標準長さ規格

• 定尺：285mm（一部では300mm）
• メーター：1000mm
• 特寸：2000mm、3000mmなどの長尺も製造可能

通常のボルトとは異なり、製造過程で頭部を作らないため、数メートル近くの長いねじ部を製造することが可能です。これが寸切ボルトの最大の特徴であり、規格外の長さが必要な建築現場で重宝される理由です。
直径規格の範囲

• 細径：M3～M8（軽工作品用）
• 中径：M10～M24（一般建築用）
• 太径：M27～M64（重構造物用）

寸切ボルト規格における材質分類

材質による規格分類は、使用環境と耐久性を考慮した重要な選択基準です。
ステンレス系規格

• SUS304（一般用）：最も汎用的なステンレス規格
• SUS316L（耐食用）：海岸地域や化学環境向け
• SUS329J4L（高強度・高耐食）：特殊環境用
• A2-90強度保証：パシペート処理により強度向上

鉄系規格

• 普通鋼（SS400相当）：基本的な建築用途
• S45C：機械的強度が必要な箇所
• SNB7：耐熱性が要求される環境

特殊材質規格

• 黄銅：電気的絶縁性が必要な場合
• チタン：軽量化と高耐食性の両立
• 樹脂製（ポリカーボネート）：絶縁用途

興味深いことに、黄銅や樹脂材質の場合、定尺でも長さが300mmになる場合があるため、設計時には注意が必要です。

寸切ボルト規格の表面処理技術

表面処理は寸切ボルトの耐久性を大きく左右する重要な規格要素です。

 

主要な表面処理規格

• ユニクロメッキ：最も一般的な防錆処理
• 溶融亜鉛メッキ（ドブ漬け）：屋外用途向け
• パシペート処理：ステンレス表面の不動態化
• 生地（無処理）：ステンレス材での標準仕様

ユニクロメッキは建設現場で最も多用される表面処理で、コストパフォーマンスに優れています。一方、海岸地域や化学プラントでは、より高度な防食性能を持つSUS316Lの生地仕様が選択されます。
表面処理による色分け管理
現場では材質と表面処理の組み合わせを色で識別することも重要です。

• 鉄ユニクロ：銀白色
• ステンレス生地：やや青みがかった銀色
• 黄銅：金色

寸切ボルト規格の強度等級システム

建築構造物の安全性に直結する強度規格について詳しく解説します。

 

強度等級の基本概念
寸切ボルトの強度は引張強度と降伏点によって分類されます。一般的な建築用途では以下の強度等級が使用されます。

• 4.6級：一般構造用（引張強度400N/mm²）
• 8.8級：高力ボルト相当（引張強度800N/mm²）
• A2-90級：ステンレス高強度品（引張強度900N/mm²以上）

特殊強度規格の活用例
A2-90強度保証の寸切ボルトは、従来のステンレス品と比較して約1.5倍の強度を持ちます。これにより、設計上の安全率を保ちながら部材の軽量化が可能になります。
特に制震・免震構造物では、繰り返し荷重に対する疲労強度が重要となるため、SNB7やSUS329J4Lなどの特殊材質が採用されることがあります。
温度による強度変化
建築現場では温度変化による強度低下も考慮が必要です。

• 常温（20℃）：基準強度100%
• 高温（100℃）：約90%の強度維持
• 低温（-20℃）：約105%の強度向上

寸切ボルト規格の施工現場での実用性

建築現場における寸切ボルトの規格選定は、施工性と経済性の両面から検討する必要があります。

 

現場での長さ調整規格
285mmの定尺品は、現場でカットして使用することを前提とした規格です。これにより：

• 在庫管理の簡素化
• 運搬コストの削減
• 必要長さでの精密カット

一方、1000mmのメーター品は長スパンの構造物で威力を発揮します。天井吊りボルトや大型設備の固定に多用されています。
特殊加工規格の活用
現場ニーズに応じて、以下の特殊加工が規格化されています：

• 先端ニ面割加工：回転防止用
• 片ねじ・両ねじ仕様：接続部の最適化
• テーパー加工：挿入性向上

経済性を考慮した規格選択
建築プロジェクトでは、初期コストと維持管理コストの総合評価が重要です。

• 一般建築：鉄ユニクロが標準
• 重要構造物：ステンレスSUS304を採用
• 特殊環境：SUS316Lまたは特殊材質を選択

意外にも、初期コストが高いステンレス品も、メンテナンスコストを含めた長期的な視点では経済的な場合が多くあります。特に交換困難な箇所では、高品質規格の採用が推奨されます。

 

品質管理と検査規格
建築現場での品質保証には、以下の検査項目が重要です。

• 材質証明書の確認
• 寸法測定（径、長さ、ねじピッチ）
• 表面処理状態の目視確認
• 必要に応じた強度試験

これらの検査により、規格通りの性能が確保され、建築物の安全性が担保されます。

 

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