平座金規格種類とJIS基準の選び方ガイド

平座金規格種類とJIS基準の選び方ガイド

記事内に広告を含む場合があります。

平座金規格とJIS基準寸法

平座金規格の概要
📐
現行3種類の規格体系

旧JIS(1963年)、ISO(1978年)、新JIS(2008年)の特徴と用途

🔧
寸法表示方法

内径×外径×厚み表記と呼び径による指定方法

材質と硬度基準

SPCC、炭素鋼、ステンレス材の特性と硬度区分

平座金の規格体系は、現在3つの主要な基準が存在しています。建築事業者が適切な平座金を選定するためには、これらの規格の違いと特徴を理解することが重要です。
現行の主要規格

  • JIS規格(JIS B 1256:1963):最も広く使用されている従来規格
  • ISO規格(JIS B 1256:1978):国際標準に準拠した規格
  • 新JIS規格(JIS B 1256:2008):現行の正式規格(流通量は限定的)

これらの規格は外径と厚みで判別が可能で、一般的には旧JIS規格を使用している業界が多い状況です。新JIS規格は硬度基準が明確化されているものの、実際の流通量はまだ少ないのが現状です。

平座金規格の種類と寸法基準

各規格の寸法基準には明確な違いがあります。平座金の寸法表示は「内径(d)×外径(D)×厚み(t)」または「呼び径(d)×外径(D)×厚み(t)」で表記されます。
規格別寸法比較(M8の例)

規格種類 内径 外径 厚み 備考
旧JIS 8.5mm 18mm 1.6mm 一般的に使用
ISO 8.4mm 17mm 1.6mm 国際基準
新JIS 9.0mm 28mm 3mm 現行正式規格

この違いにより、規格を混同すると締結部に隙間や干渉が生じる可能性があります。特に建築現場では、構造計算で想定した寸法と異なる規格を使用すると、設計強度を満たさない危険性もあります。

平座金のJIS硬度基準と材質規格

新JIS規格(JIS B 1256:2008)では、硬度基準が明確に規定されています。これは従来規格にはない特徴的な要素です。
硬度区分と材質

  • 100HV:SPCC(冷間圧延鋼板)、一般用途
  • 200HV:SPCC熱処理なし、S45C~S55C熱処理あり、SUS A2
  • 300HV:S45C~S55C熱処理品(300~370HV範囲)

💡 注目ポイント:電気亜鉛めっきを施すと硬度が若干低下する傾向があります。旧JIS規格の鉄生地硬度は約200HV程度のため、新JIS規格の200HV品とほぼ同等の性能を持ちます。
部品等級による分類

  • 等級A:高精度が要求される用途(200HV、300HV)
  • 等級C:一般用途(100HV)

この硬度基準により、使用環境に応じた適切な強度の平座金を選定できるようになりました。

 

平座金規格の選定基準と業界慣習

実際の建築現場では、規格選択に関する業界慣習があります。
業界別使用傾向

  • 建築・土木業界:旧JIS規格が主流
  • 機械工業:ISO規格の採用も多い
  • 精密機器:新JIS規格の採用検討が進む

平座金規格の選定では、以下の要素を総合的に考慮する必要があります。
🔹 構造計算との整合性:設計で想定した寸法規格の確認
🔹 調達性:現場で入手しやすい規格の選択
🔹 互換性:既存設備との規格統一
🔹 品質要求:硬度や精度の必要レベル
特に重要な点として、図面や仕様書に規格が明記されていない場合は、発注者や設計者との事前確認が不可欠です。

 

平座金規格における特殊寸法と加工品対応

標準規格以外の特殊寸法への対応も、建築事業者にとって重要な検討事項です。
特殊寸法の対応例

  • 中間サイズ:M7、M9などの標準外サイズ
  • 薄型仕様:狭小部への設置用
  • 厚型仕様:高荷重対応用
  • 大径仕様:特殊構造物用

これらの特殊仕様は、メーカーによる特注加工で対応可能な場合が多く、最小ロット数や納期の確認が重要になります。建築プロジェクトでは、特殊部材の調達リードタイムが工程に影響するため、早期の手配検討が必要です。

 

また、ステンレス製平座金では、鉄製品と比較して板厚が薄く設定される傾向があります。これは材質特性による設計上の配慮であり、耐食性を重視する用途での選択肢として重要です。

平座金規格の品質管理と検査基準

建築事業における品質管理の観点から、平座金の検査基準についても理解が必要です。

 

主要検査項目

  • 寸法精度:内径、外径、厚みの許容差確認
  • 硬度測定:新JIS規格品の硬度区分適合性
  • 表面処理:めっき厚や防錆性能の確認
  • 材質証明:ミルシートによる材料証明

💎 プロのコツ:大型建築プロジェクトでは、平座金の受入検査で抜取り検査を実施し、規格適合性を確認することが品質保証上重要です。特に構造重要部位では、全数検査を検討する場合もあります。

 

検査記録の保管も重要で、建築基準法に基づく完了検査や定期点検時に、使用部材の適合性証明として活用されます。

 

トレーサビリティの確保
現代の建築品質管理では、使用部材のトレーサビリティが重要視されています。平座金についても、製造ロット番号や材料証明書の管理により、施工後の品質保証体制を構築できます。