

VP用接着剤をHIVP管に使うと、数年後に継手が抜けて床下浸水になります。
耐衝撃性塩化ビニル管(HIVP)の正式名称は「水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管」で、JIS K 6742に規定されています。「HI」は「High Impact(ハイインパクト)」の頭文字で、読んで字のごとく衝撃への強さが最大の特長です。
通常のVP管は硬質ポリ塩化ビニル樹脂だけで作られているのに対し、HIVP管はそこにABSやMBS、EVA、アクリルゴム、塩素化ポリエチレンといった耐衝撃性改良剤を5〜20%程度混合しています。この改良剤の粒子が衝撃エネルギーを吸収し、管に粘り強さを加えることで破損を防ぎます。衝撃強さはVP管の3〜5倍に達します。
つまりVP管より格段に割れにくいということですね。
外見上の最大の違いは「色」です。VP管が灰色(グレー)なのに対し、HIVP管は灰青色(濃い紺色)をしています。現場で一目見ただけで種別を判別できるのは、施工ミスを防ぐうえで非常に重要です。
| 項目 | VP管 | HIVP管 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 水道用硬質ポリ塩化ビニル管 | 水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管 |
| 規格 | JIS K 6742 | JIS K 6742 |
| 色 | 灰色(グレー) | 灰青色(濃い紺色) |
| 衝撃強さ | 基準値 | VP管の約3〜5倍 |
| 比重 | 1.43 | 1.40 |
| 引張強さ | 45MPa以上 | 40MPa以上 |
| 使用温度上限 | 60℃未満 | 60℃未満 |
| 主な用途 | 一般給水・排水 | 寒冷地・耐震・給水配管 |
なお、引張強さに関してはVP管のほうがわずかに高い数値(45MPa以上)を示すのは、意外な点のひとつです。HIVP管(40MPa以上)は、改良剤を混ぜた分だけ引張強さが若干低下しています。衝撃への粘り強さと引張強さは、厳密には別の性能指標です。これは覚えておく価値があります。
主な用途は、水道施設の配水管や建築設備の給水管、そして寒冷地での埋設配管などです。外部からの衝撃を受けやすい掘削・他工事が並行する現場や、低温時に管が脆くなりやすい環境で、VP管に代わって採用されます。
参考:JIS K 6742水道用硬質ポリ塩化ビニル管の規格詳細、HIVP管の仕様については塩化ビニル管・継手協会(PPFA)の公式ページでも確認できます。
HIVP管の「耐衝撃性」という名称から、あらゆる環境に強いと思い込んでしまいがちです。しかし実際には、熱と紫外線に対しては非常に弱いという弱点があります。これが数多くの現場トラブルの根本原因になっています。
まず温度についてです。HIVP管もVP管も、使用温度の上限は同じで、給水管として常時圧力がかかる場合の耐熱温度は5℃〜35℃の範囲に限定されます。排水管として流体を流す場合でも最大60℃程度が限界です。60℃を超えると軟化・変形が始まり、管としての機能を失います。
熱には弱いということです。
給湯配管(お湯が流れる配管)に誤ってHIVP管を使用することは絶対に避けなければなりません。給湯配管には最高使用温度90℃に対応したHT管(HTVP管)を選ぶのが原則です。現場では「どうせ給水管と見た目が似ているし、どちらでも大丈夫だろう」と判断してしまうケースが報告されていますが、これは大きなリスクを生みます。
次に紫外線の問題です。塩ビ材料全般に共通する弱点として、太陽光に含まれる紫外線(UV)を長時間受けると、分子鎖が切断されて樹脂が脆化・変色します。屋外に10年以上露出配管されたHIVP管では、表面が白く粉を吹いたように劣化し、衝撃を加えるとパリッと割れてしまうほど脆くなった事例が報告されています。
屋外露出配管には対策が必須です。
具体的には、「防護カバー(保温材・断熱材の被覆)を取り付ける」か「耐候性塗料(水性用塗料)で塗装する」ことで紫外線劣化を大幅に遅らせることができます。また積水化学工業の「エスロンUVストロング」のように、屋外配管用として耐候性を強化した専用の塩ビ管製品も存在します。長期露出が想定される箇所では、こうした製品の採用も検討してみてください。
なお、紫外線対策に油性塗料を使うのは厳禁です。塩ビ管は有機溶剤に侵されるため、油性塗料を直接塗ると表面が溶けてひび割れが起きる恐れがあります。塗装するなら必ず水性用塗料を選んでください。
参考:屋外露出配管における塩ビ管の紫外線劣化メカニズムと具体的な対策については、積水化学工業のエスロンタイムズで詳しく解説されています。