

テクスチャー補修材は「表面を埋める材料」ではありますが、実務上は下地処理が8割です。塗膜の浮き・粉化・油分・レイタンス等が残ったまま厚付けしても、数か月〜数年で“補修部だけ”が先に割れたり縁切れしやすくなります。下地面の突起物や硬化不良部分、汚れ等をブラシ・サンダー等で除去し、必要に応じて高圧洗浄で清掃する流れは、下地調整塗材の一般的な考え方として整理されています。
また、下地の吸水が強い(またはムラが大きい)と、補修材の水分を下地が奪って「表面だけ急乾き→内部の水和不足→強度不足」になり、テクスチャー(柄)を付けても耐久性が落ちることがあります。JIS A 6916(建築用下地調整塗材)は、仕上塗材・塗料・タイル等の下地調整のための材料を対象にした規格で、下地調整の位置付けを理解するうえで基礎になります。
参考)JISA6916:2014 建築用下地調整塗材
現場で最低限そろえたいチェックは次のとおりです(“作業”というより“検査”としてルーチン化すると手戻りが減ります)。
参考:下地清掃(突起物・硬化不良・汚れ除去)など、下地調整塗材の一般的な施工手順
https://machiken-pro.jp/shop/pages/column003.aspx
外壁の既存柄(テクスチャー)を残しながらクラックを処理する考え方として、「切らずに貼って追従させる」タイプの工法が存在します。例えばTNC工法(テクスチャー・ノン・カット工法)は、下地処理→プライマー塗布→テープ貼付→コート塗布といった工程で整理され、既存の柄合わせ(テクスチャーの再現)をローラー等で行う記載があります。
この系統の発想が示唆するのは、「割れを硬い充填材で止める」よりも、「割れが動いても表層の連続性を保つ」方向で設計する場面があるという点です。特に外壁塗装面のクラックでは、Uカットなどの切削が難しい(粉じん・騒音・近隣配慮・意匠)現場もあり、工程を組み替えることで施工性と仕上がりを両立しやすくなります。
参考)外壁塗装面のひび割れ補修『テクスチャー・ノン・カット工法』 …
一方で、ノンカット系は万能ではありません。下地側に“強度不足”や“浮き”があると、追従させる以前に下地が剥がれてしまうため、結局は下地処理に戻ります。そこでテクスチャー補修材の役割を整理すると、次のように分けると判断が早くなります。
参考:外壁ひび割れ補修の工程(下地処理→プライマー→テープ→コート)という考え方の資料
外壁塗装面のひび割れ補修『テクスチャー・ノン・カット工法』 …
テクスチャー補修材の失敗で多いのが、表面が乾いたので次工程へ進めてしまい、後で“痩せ・割れ・ベタつき・密着不良”が出るケースです。塗装分野では、指触乾燥(触ってもベタつかない)と、塗膜内部まで硬化が進む段階は別で、重ね塗りのタイミングを誤ると不具合が起こりやすいという整理がされています。
さらに、乾燥時間は塗料や材料の種類だけでなく、気温・湿度・塗布量などで変動するため、メーカーの仕様書・技術資料に従うことが基本だとされています。
参考)失敗しない塗装の重ね塗り!プロが教える塗料選びと正しい施工手…
この考え方はテクスチャー補修材にもそのまま当てはまり、特に“厚付け”や“深い欠損”を一発で埋めた場合に、内部の乾きが遅れて不具合の原因になりがちです。
現場向けの実務ポイントは次のとおりです。
参考:重ね塗りは「下地処理」と「乾燥時間の管理」が重要、仕様書に従うべきという整理
失敗しない塗装の重ね塗り!プロが教える塗料選びと正しい施工手…
テクスチャー補修材だけで全てのクラックに対応しようとすると、再発や段差の原因になります。クラック補修材の選定では、クラックの種類(ヘアークラックか、構造クラックか)と幅が重要で、ヘアークラックには微弾性フィラーやシーリング材、構造クラックにはエポキシ樹脂やポリマーセメント等が選ばれる、といった整理があります。
「テクスチャー補修材=仕上げ側」「クラック補修材=構造側(または挙動対応)」と役割分担すると、判断がブレにくくなります。例えば、ポリマーセメントモルタルはセメントにポリマー材を配合し、接着力や曲げ強度を高めてひび割れを抑える目的で使われる、という説明があります。
参考)ひび割れ補修工の充てん工法とは?
また、注入系(エポキシ樹脂注入など)は、ひび割れ・浮き等の状況に応じて工法が整理されており、欠損の場合は充填工法を使うといった区分も示されています。
参考)【クラック補修】エポキシ樹脂注入工法とは?改修方法や特徴など…
現場での“選定ミス”を減らす簡易ルール例です(最終判断は仕様・設計・メーカー推奨に合わせてください)。
参考:クラックの種類・幅で補修材(微弾性/シーリング/エポキシ/ポリマーセメント等)が変わるという整理
https://gaiheki-madoguchi.com/articles/3492
検索上位では「ひび割れ補修」「施工手順」「乾燥時間」といった話題が中心になりがちですが、実務でクレームに直結しやすいのは“柄そのもの”より「光の当たり方で出る段差(面のうねり)」です。下地が凹凸なままだと仕上がりに影響し、継ぎ目の浮きなど不具合につながるため、下地を平坦に整える重要性が示されています。
つまり、柄合わせ以前に「面が合っているか」を管理しないと、近くで見たら柄は似ているのに、遠目で補修跡だけが四角く“浮いて見える”現象が起きます。
段差管理のコツは、道具・工程というより「検査のやり方」に寄せると安定します。
この“段差優先”の発想は、テクスチャー補修材が得意な「表面の演出」を最大化するための土台になります。結果として、補修跡の“見え方”が安定し、再手直しの確率も下げやすくなります。

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