都市ガスとは|プロパンガスとの違いや料金の仕組みと供給エリア確認方法

都市ガスとは|プロパンガスとの違いや料金の仕組みと供給エリア確認方法

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都市ガスとは何か

都市ガスの3つの特徴
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天然ガスを原料とするクリーンエネルギー

液化天然ガス(LNG)を主成分とし、メタンを中心とした環境負荷の少ないガス

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地下の導管を通じて供給される

道路下のガス管を通じて各家庭へ供給され、ボンベ設置が不要

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公共料金として規制された料金体系

経済産業省への届出が必要で、料金の透明性が確保されている

都市ガスの原料と製造過程

 

 

 

都市ガスは、天然ガスのメタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)を原料としています。原料となる天然ガスは、マイナス162℃まで冷却することで液体となり、体積が600分の1に縮小します。この特性を活かして、海外の産出国からLNGタンカーで大量に輸入され、国内のガス製造基地に貯蔵されます。
参考)https://home.tokyo-gas.co.jp/gas_power/plan/gas/feature.html

製造基地では、液化天然ガスを気化・熱量調整の工程を経て都市ガスとして製造します。天然ガスそのものは無色・無臭ですが、ガス漏れを早期発見できるよう、空気中のガス混入比率が1/5000(容量)で感知できる濃度の付臭剤が添加されています。付臭剤は人体への毒性がなく、ガスが燃焼した後には臭いが残らない特徴を持っています。
参考)https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20090316-01.html

不動産従事者として理解しておきたいのは、都市ガスが石炭や石油と比較して燃焼時のCO2発生量が少なく、環境に優しいエネルギーである点です。実際、都市ガスのCO2排出係数は2.09kg-CO2/m3であるのに対し、プロパンガス(LPガス)は5.97kg-CO2/m3と約3倍の排出量となります。この環境性能の高さは、昨今の環境意識の高い入居者にとって物件選びの重要な判断材料となります。
参考)https://fudoshiru.com/which-is-more-better-city-gas-or-propane-gas-in-real-estate-business

都市ガスの供給方法と導管システム

都市ガスは、製造基地から道路下に敷設されたガス導管(パイプライン)を通じて各家庭に供給される仕組みです。供給に使用される導管には、圧力レベルに応じて高圧管、中圧管、低圧管の3種類があり、一般家庭への引き込みは原則として低圧管から行われます。
参考)https://chintai.miyoshi.co.jp/contents/1983.html

不動産取引や開発において重要なのは、前面道路にガス本管が敷設されているかどうかの確認です。ガス導管図は各地域のガス会社のホームページやFAXで取得でき、前面道路配管の種類・口径・物件への引込管の有無を確認する必要があります。一般社団法人日本ガス協会の「ガス事業者検索サイト」を利用すれば、希望する地域の管轄ガス事業者を調べることができます。
参考)https://app.ina-gr.com/ja/archives/urban-vs-propane-gas-rental-investment-profitability-guide

都市ガス供給の最大の利点は、ボンベ設置スペースが不要でガス切れの心配がないことです。これは集合住宅の設計において、外観の美観を保ちながら有効活用できるスペースを確保できるというメリットにつながります。東京ガスの供給エリアは1都6県、大阪ガスは近畿圏を中心に展開しており、都市部を中心とした広範なエリアをカバーしています。
参考)https://oikura.jp/magazine/denki065/

都市ガスの種類と規格(13A)

日本国内で使用されている都市ガスは、7グループ13種類に分類されており、燃焼速度や発熱量に違いがあります。現在最も広く普及しているのは13Aという規格で、東京ガスや大阪ガスなど大手ガス会社の多くがこの13Aを供給しています。
参考)https://looop-denki.com/home/denkinavi/savings/gas/typesofcitygas/

13Aの発熱量は1m3あたり10,000~15,000kcalで、12Aよりも発熱効率が高い特性を持ちます。数字部分はガス1立方メートルあたりの発熱量を表し、アルファベットのA、B、Cは燃焼速度を示しており、A→B→Cの順に燃焼速度が速くなります。東京ガスが公表している13Aの組成は、メタン89.60%、エタン5.62%、プロパン3.43%、ブタン1.35%となっています。​
日本では、国が主導して各地域でバラバラだったガス種を高カロリーの13Aに統一する「熱量変更」という一大事業が進められました。この統一化により、ガス機器の互換性が向上し、引越し時の利便性も高まっています。不動産従事者としては、物件のガス種がステッカーで確認でき、13Aまたは12A・13A両用の表示があることを入居者に説明できる知識が求められます。
参考)https://fukudasetubi.tokyo/gas_shurui_12a13a/

都市ガスの安全性と防災機能

都市ガスの安全性は、その物理的特性と多層的な安全システムによって支えられています。都市ガスの主成分であるメタンは空気より軽く、漏れた場合は上方に拡散するため、換気がしやすく万が一のときも安全性が高いという特徴があります。
参考)https://www.tohogas.co.jp/nw/reasons/home/more-safety/

地震対策として、都市ガス事業者は「設備対策」「緊急対策」「復旧対策」の3本柱で対応しています。各家庭に設置されたガスメーターには地震感知機能が搭載されており、震度5相当以上の揺れを感知すると自動的にガス供給を停止します。供給エリアを細かくブロック化することで、被害状況に応じた段階的な供給停止と復旧が可能な体制が整えられています。
参考)https://www.gas.or.jp/anzen/taisaku/

ただし、不動産従事者として入居者に説明すべき注意点もあります。都市ガスは広範囲の導管ネットワークを通じて供給されるため、大規模災害時には復旧に時間を要する場合があります。東日本大震災では仙台市で完全復旧まで約50日を要した事例があり、都市部での大規模災害では復旧作業の長期化が懸念されます。一方で、プロパンガスは各戸単位での復旧が可能なため、災害復旧速度では14日~18日程度と比較的早い傾向があります。
参考)https://propane-gas.or.jp/gas-recovery-speed/

都市ガスが物件価値に与える影響

不動産市場において、都市ガス物件はプロパンガス物件と比較して明確な競争優位性を持っています。最大の要因は月々のガス料金の差で、プロパンガスは都市ガスの約1.2倍~1.8倍の料金となるため、入居者の光熱費負担が重くなります。​
賃貸物件検索サイトでは、「都市ガス」を条件設定して物件を探す入居希望者が多く、都市ガス物件は入居者に選ばれやすい傾向があります。実際、都市ガス物件は入居率や更新率の向上につながる可能性が指摘されており、物件の競争力を高める重要な要素となっています。特に単身者や学生など、光熱費を抑えたい層からの需要が高く、同条件の物件であれば都市ガス物件が優先的に選ばれる傾向があります。
参考)https://homeowner.able.co.jp/article/review-of-city-gas/

一方で、都市ガス物件のオーナーが理解すべき点として、ガス設備の修理費用や災害時の復旧費用はオーナー負担となることが挙げられます。プロパンガスの場合、設備の保守・修理をガス会社が負担するケースが多いのに対し、都市ガスでは配管やガス機器の維持管理がオーナーの責任となります。ただし、長期的な視点では、月々のガス料金が安いことによる入居者満足度の向上と、それに伴う安定した賃貸経営が実現できるため、都市ガスが有利とされています。
参考)https://www.est-21.com/info/page_892.html

都市ガスの料金体系と計算方法

都市ガスの料金は、「基本料金」と「従量料金」の2つの要素で構成されています。基本料金は月ごとのガス使用量に応じて決められた一定の料金で、ガスの使用量が少ないほど基本料金も低く設定されています。例えば東京ガスの2025年1月現在の一般契約料金では、使用量0~20m3までは基本料金759円、20m3超~80m3までは1,056円と、使用量の増加に応じて段階的に上がる仕組みです。
参考)https://chintai.miyoshi.co.jp/contents/1145.html

従量料金は「従量単価×ガス使用量」で計算され、この従量単価も使用量に応じて変動します。さらに、都市ガスの原料であるLNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)の価格変動によって毎月の単価が調整される「原料費調整制度」が適用されます。
参考)https://home.tokyo-gas.co.jp/column/gas_power/0129/

不動産従事者として入居者に説明する際のポイントは、都市ガスが公共料金として位置づけられ、料金改定には経済産業省への届出が必要という点です。これにより料金の透明性が確保され、急激な値上げが抑制される仕組みとなっています。全国的な基本料金の相場は900円から1,000円程度で、地域によって料金は異なりますが、プロパンガスと比較すると約半分程度の価格で利用できる経済的メリットがあります。
参考)https://www.aruzo.net/blog/entry-248876/

都市ガスの供給エリア確認と導管引き込み費用

不動産取引において、物件が都市ガス供給エリア内にあるかの確認は重要な調査項目です。最も確実な方法は、管轄地域の都市ガス会社に直接確認することですが、管轄会社が不明な場合は一般社団法人日本ガス協会の「ガス事業者検索サイト」が活用できます。このサイトでは、地図または県名から一般ガス導管事業者を検索でき、公式サイトや電話で供給エリアを確認できます。
参考)https://o-uccino.com/front/articles/98698

都市ガスの引き込み工事には、①本管設置工事、②引き込み管工事、③敷地内配管工事の3段階があります。前面道路にガス本管が敷設されている場合、本管工事は不要で、引き込み管工事と敷地内配管工事のみで済みます。引き込み工事費用の相場は、ガス導管を1m延長するごとに約1万円で、一般的な家屋では10m以上引き込むケースが多いため、10万~15万円程度が標準的な費用となります。
参考)https://enepi.jp/articles/2923

東京ガスが提示している標準モデルでは、新築1戸建て木造建築を念頭に置いた場合、引き込み工事費用は149,700円(税込)とされています。本管設置工事の費用は一般的にガス会社が負担しますが、規定額を超えた場合は差額を契約者が支払う必要があります。不動産開発や投資において、都市ガス導入の初期費用として10万~20万円程度を見込んでおくことで、長期的な物件価値向上と入居者満足度の向上につながります。
参考)https://looop-denki.com/home/denkinavi/savings/gas/propanegas-citygas/

都市ガスとプロパンガスの違いを物件選定に活かす

不動産従事者として、都市ガスとプロパンガスの違いを正確に理解し、顧客に説明できることが重要です。原料面では、都市ガスは液化天然ガス(LNG)のメタンが主成分であるのに対し、プロパンガスはブタンやプロパンが主成分です。熱量は都市ガスが1m3あたり約10,750kcal、プロパンガスが約24,000kcalとプロパンガスの方が高いですが、これは火力とは異なり、同じガス機器なら火力は同等です。​
供給方法の違いは物件の外観と利便性に直結します。都市ガスは地中の導管を通じて供給されるため、ボンベ設置スペースが不要で敷地を有効活用でき、ガス切れの心配もありません。一方、プロパンガスは各家庭にガスボンベを設置する必要があり、定期的なボンベ交換が必要ですが、全国どこでも利用可能という利点があります。​
料金体系では、都市ガスが公共料金として規制されているのに対し、プロパンガスは自由料金制で事業者ごとに価格が異なります。この違いにより、都市ガスは料金の透明性が高く、プロパンガスは同じ地域でも事業者によって大きな料金差が生じる可能性があります。ガス機器については、都市ガス用とプロパンガス用は互換性がないため、引越しやガス種変更時には専用機器の準備が必要です。​
参考:東京ガス「都市ガスとは?種類やメリット、プロパンガスとの違い、使用時の注意点」
https://home.tokyo-gas.co.jp/gas_power/plan/gas/feature.html
参考:一般社団法人日本ガス協会「ガス事業者検索」(供給エリアの確認に便利)
https://www.gas.or.jp/jigyosya/
参考:東京ガスネットワーク「都市ガスの種類・熱量・圧力・成分」(ガス種13Aの詳細情報)
https://www.tokyo-gas.co.jp/network/gas/shurui/index.html

 

 

 

 


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