

ウレタン樹脂系接着剤は、耐水性と耐久性に優れ、キッチンや脱衣室、玄関土間、1階や地下など湿気や水がかかる可能性の高い床に適した接着剤として位置づけられています。
特に、水をほとんど吸収しない塩ビ系既存床や化粧シートフローリングなどの非吸湿性下地に重ね貼りする場合、接着不良を防ぐためにウレタン樹脂系ボンドの使用が推奨されています。
一方、居室の乾燥した環境ではアクリル樹脂系ボンドでも施工可能であり、刺激臭や価格、作業性を考慮してアクリル系を選ぶことも一般的です。
参考)床材の種類・貼る場所に合わせて床用ボンドを選ぼう!|DIYシ…
ただし、水や湿気が想定される部位にアクリル系を用いると、長期的には浮きや剥がれに繋がりやすく、特にクッションフロアの上に硬いフロアタイルを重ね貼りするような負荷の高い条件では、ウレタン樹脂系接着剤が安定した密着を維持しやすい傾向があります。aunworks+1
ウレタン樹脂系接着剤は床材だけでなく、二重床支持脚の固定や金属・コンクリート下地のフリーアクセスフロアにも採用されており、床仕上げと下地を一体で捉えた構造的な用途にも対応できる点が特徴です。
参考)接着剤|製品情報|トーヨーポリマー株式会社
このように、ウレタン樹脂系接着剤は「水」「非吸湿性下地」「構造的な拘束力」がキーワードであり、アクリル系は「居室」「臭気配慮」「作業性」がキーワードと整理すると、現場での選定判断がスムーズになります。toyopolymer+2
床用接着剤は下地の状態に大きく影響され、ウレタン樹脂系接着剤でも下地調整を怠ると性能を発揮できません。
モルタルやコンクリートなどセメント系下地では、クラックや凹凸をパテで補修し、平滑性を確保してからウレタン樹脂系接着剤を塗布することが基本で、既存塗り床のさざ波仕上げなど凹凸がある場合は特に入念な下地処理が求められます。
施工時の室温は、一般に15〜25℃が望ましく、5℃以下では接着力低下や硬化不良のおそれがあるため施工を中止するべきとされています。aunworks+1
また、床材も事前に開梱して室温に馴染ませることで寸法変化を抑え、接着剤硬化後の目隙や突き上げを防ぎやすくなります。
ウレタン樹脂系接着剤は非吸湿性下地にも対応しますが、金属系下地では防錆処理との相性に注意が必要で、溶剤形の防錆剤がウレタン系接着剤の硬化を阻害して接着力低下を招くケースが報告されています。
参考)床剤を貼る時の下地の知識と接着剤
事前にサビや油汚れを除去し、必要に応じてメーカー仕様に沿った下地処理材を選定することで、長期耐久性のばらつきを抑えることができます。toyopolymer+1
ウレタン樹脂系接着剤の床施工では、適切なオープンタイムを守ることが初期接着と長期耐久性の両方に直結します。
塗布後すぐに貼り込まず、メーカーが指定するオープンタイムを確保することで、接着層の粘着性が安定し、塗りムラや空気の巻き込みを抑えた施工が可能になります。
塗布は付属のクシ目ゴテなどで均一に行い、貼り込み後はローラーでしっかり圧着することが重要です。
特に重ね貼りや非吸湿性下地では、ローラー圧を十分にかけて接着層全体を密着させることで、後々の浮き・剥がれ・床鳴りなどのトラブル発生率を大きく抑えることができます。cemedine+1
重ね貼りでは「柔らかい床材の上に硬い床材を載せる」組み合わせは避けるべきとされ、クッションフロアの上にフロアタイルを貼ると、下地の沈み込みと硬い仕上げ材の剛性差によりクラックや剥がれが生じやすくなります。
参考)床材用接着剤特集
やむを得ず既存床を残す場合も、塩ビタイルや化粧シートフローリングなどの比較的硬い既存床に限定し、ウレタン樹脂系接着剤でしっかりと拘束することが望ましいとされています。aunworks+1
床用ウレタン樹脂系接着剤は、多くの製品が「床仕上げ施工用接着剤」としてJIS A 5536を取得しており、用途別に「耐水工法」「低温工法」「一般工法」などの適用区分が示されています。
製品仕様では、適用床材(ビニル床タイル、ビニル床シート、マーモリウムタイルなど)、適用下地(セメント系、合板、ウレタン塗り床、非吸湿性下地など)が具体的に列記されているため、図面の仕上げ仕様と照らし合わせて「床材×下地」の組み合わせで確認することが重要です。
ホルムアルデヒド放散等級については、F☆☆☆☆(5μg/m²・h以下)を取得した内装仕上げ材・接着剤が主流であり、学校環境衛生基準に適合するよう、規制6物質を原料に使用していないことまで明記した製品も存在します。
参考)一液性反応硬化形接着剤ウレタン樹脂系溶剤形|床材商品情報|田…
建物用途が住宅から教育施設、医療福祉施設へと拡大するほど、F☆☆☆☆表示の有無やJIS認証の有無は、有害物質対策とともに設計側の説明責任にも関わるため、現場担当者がラベル表記を読み解けることは大きな強みになります。contents.sangetsu+1
例えば、床暖房対応をうたうウレタン樹脂系接着剤では、拘束性が高く目隙を抑え、床鳴り防止にも寄与する特性が示されており、JIS A 5536の取得と併せて「床材用・床束用」といった用途表示がなされています。
参考)UM620
こうした情報を踏まえ、「F☆☆☆☆かどうか」「どのJISを取得しているか」「どの床材・下地・工法に対応しているか」をチェックリスト化しておくと、複数メーカーの製品を比較しながらプロジェクトごとに最適なウレタン樹脂系接着剤を選びやすくなります。toyopolymer+2
この部分の詳しいJIS区分や床材と接着剤の組み合わせ表は、メーカー総合カタログや技術資料が整理されています。床材別の推奨接着剤一覧を確認したい場合の参考になります。
サンゲツ 床材と接着剤の組合せ一覧(JIS・用途別の推奨表)
参考)https://contents.sangetsu.co.jp/doc/catalog-index/floorall16_24.pdf
床用ウレタン樹脂系接着剤は高い接着力と耐久性を持つ一方、施工条件を誤ると「性能が高すぎる」ことが裏目に出るケースがあります。
例えば、フリーアクセスフロア用のウレタン樹脂系接着剤で支持脚を強固に固定した結果、将来の設備更新時に解体やレイアウト変更が難しくなり、撤去コストが膨らむといった事例があり、初期の設計段階でライフサイクルを見据えた接着剤の選択が重要になります。
また、近年では化学的にデボンド(剥離)可能なポリウレタン系接着剤や、再利用可能なホットメルト型のポリウレタン接着剤など、将来の解体やリサイクルを想定した技術も開発されており、床用接着剤にも応用が期待されています。pmc.ncbi.nlm.nih+1
これらはまだ一般的な床施工現場には広く出回っていませんが、大型商業施設や公共施設のリニューアル周期を考えると、将来的に「外せるウレタン樹脂系接着剤」が床の標準仕様として求められる可能性があります。mdpi+1
さらに、ウレタン樹脂系接着剤は優れた耐水性ゆえに、下地側の水分トラブルを表面化させないまま進行させてしまうことがあり、コンクリートスラブの含水率管理や防水層の健全性確認を疎かにすると、数年後に床全体が浮き始めるといった形で一気に不具合が顕在化することがあります。nuk-pu+1
床材や接着剤だけに注目するのではなく、「水の通り道」を設計・施工段階で丁寧に追うことが、ウレタン樹脂系接着剤のメリットを最大限活かしながら、長期的なリスクを抑える上でのポイントとなります。nuk-pu+1