住宅建築において、使用する材料や工法により、その耐震性や耐火性、快適性が大きく影響を受けます。特に、日本の戸建住宅では木造建築が70%と、その多くが木造です。その中でも、「木造軸組工法」と「枠組壁工法(2×4工法)」はよく知られていますが、それぞれの違いについて理解していますか?
枠組壁工法とツーバイフォー工法の基本はなんでしょうか?
枠組壁工法は、「壁」をつくり、その壁を組み合わせて家をつくりあげる工法です。一方、2×4工法(ツーバイフォー)とは、2インチ×4インチの角材で作られた枠材に、パネルを緊結させて壁や床を作る工法となります。つまり、枠組壁工法は「面」で支えているイメージで、その壁を配置することで、高い耐震性と耐火性の備わった家を短期間で完成させることが出来ます。
工法による耐震性の違いはあるんでしょうか?
木造軸組工法は、枠組壁工法に比べて耐力壁の量が少なくなるため、耐震性が低くなる傾向にあります。しかし、今では木造軸組工法でも面材を増やし耐力壁の量を多くした工法があり、枠組壁工法より耐震性が高くなることもあります。
結果的に一番大事なのは、きちんと構造計算や耐震シミュレーションなどが行われているかどうかなのです。また、そもそも「木造より鉄骨造や鉄筋コンクリート造の方が耐震性に優れている」と思っている方は多いのではないでしょうか。しかしながら、木造は木特有の柔らかさで地震の揺れを逃がしやすいという特徴があります。住宅の重量が大きいほど揺れも大きくなりますが、木造は鉄よりも軽いため揺れ自体も少なく済みます。
一般に思い浮かべる「木造」と言う言葉、それが実は「木造軸組工法」のことだとご存知でしょうか?
この工法は、日本の伝統的な木工法を発展させたもので、「在来工法」とも呼ばれています。特徴的なのは、柱と梁によって建物を支えることです。
具体的には、コンクリートの基礎の上に柱を立て、その柱に梁を組み合わせてフレーム状の骨組みを作り、その骨組みに壁や屋根を取り付けて建築します。この特性から、「線で支える」という表現もされています。また、柱と梁で作られた枠の中に、「筋交い」と呼ばれるX字状の材料を入れることで補強します。この「筋交い」により、建物の耐震性を高めることができます。
自由度の高さが魅力
木造軸組工法の最大の魅力は、設計の自由度が高いことです。全体が柱と梁で構成されているため、壁を設ける箇所を自由に選ぶことができます。これにより、様々な間取りに対応することが可能となります。この自由度の高さは、特に間取りにこだわりがある方にとって、大変魅力的なポイントとなります。
木造軸組工法の注意点
しかし、注意すべき点もあります。それは、建築の現場には木材の取り扱いに長けた経験者が必要で、施工する職人の技術によって完成の質にバラつきが出ることです。
なので、木造の家を建てるときは、依頼する職人の腕次第で、当たり外れが出てくるんですね。
木造軸組工法は、日本の伝統的な工法を発展させたもので、設計の自由度の高さが魅力である反面、職人によって仕上がり品質の差が大きいという点は気をつけておきましょう。
木造枠組壁工法は、デメリットも存在します。
まず、開口部を大きくしづらいという点があります。壁を形成する枠材は、建物の重さを支える重要な役割を果たしています。そのため、大きな窓やドアなどの開口部を設けることは難しいのです。建築物のデザインに制約がかかるんですね。
結果、間取りの自由度が低いという点がデメリットになります。壁自体が建物の自重を支えているため、壁全体を取り払うことができず、リノベーションに制約が生じます。
次に、湿度が高くなりがちというデメリットも挙げられます。木造枠組壁工法は気密性が高いため、内外の温度差が大きくなりやすく、結露が生じやすいのです。結果として湿度が高くなり、カビやダニの発生につながる可能性があります。
そのため、シロアリ対策と腐朽対策が必須であることです。木材を主材料とするため、結露による含水率上昇が腐朽やシロアリ被害をもたらす恐れがあります。これに対する対策として、結露対策や防蟻材の定期的な注入が必要となります。
最後に、耐震性能の問題です。木造軸組工法の家は地震力により菱形に変形しやすい傾向があります。これを防ぐため、建築基準法では補強金物の使用や、筋交い(斜め材)の追加等が義務付けられています。
ツーバイフォーってよく聞くけど、実際どういうこと?
ツーバイフォーとは、木材の規格の一つで、その名前は木口の厚さが2インチ、幅が4インチであることからきています。また、これらの規格化された木材と合板を用いて作られる枠組み壁工法のことを通称でツーバイフォー工法と呼んでいます。
しかし、実際にはツーバイフォー材の寸法は、製材前の状態で2インチ×4インチではなく、乾燥・製材済みの状態では一般的に38mm×89mmとなります。このような規格化された寸法があることで、建築現場では作業の効率化が図られています。
ツーバイフォー工法はアメリカ発祥の工法で、日本では1974年に国土交通省により認可されました。この工法は、壁・床・天井にパネル化した木材を使用することから、一般的には耐震・耐火・気密・断熱などの性能が高いとされています。
また、ツーバイフォー工法には、壁内の寸法が89mmと限られているため、断熱材が厚く入れられないという難点があります。そのため、壁や床の枠材をツーバイフォー材からツーバイシックス材(38mm×140mm)に変更することで、壁内の寸法を約1.6倍にすることができ、より厚い断熱材を使用することが可能となります。これにより、断熱性能だけでなく、耐震性能や遮音性能も大幅に向上します。
このように、ツーバイフォーとは一見単なる木材の規格と思われがちですが、その背後には建築技術の進化と効率化の歴史があります。