雑排水と汚水の違いとその重要性

雑排水と汚水の違いとその重要性

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雑排水と汚水の違い

雑排水と汚水の基本的な分類
🚿
雑排水

台所・風呂・洗濯機などし尿を含まない排水

🚽
汚水

トイレ排水などし尿を含む排水

📋
法的区分

建築基準法により明確に区別された排水種別

雑排水の定義と特徴

雑排水とは、住宅や建物内で発生する生活排水のうち、し尿を含まない排水を指します 。具体的には、台所のシンク、洗面台、浴室、洗濯機などから排出される排水が該当し、これらは食物残渣、石鹸、洗剤、油脂などの汚濁物質を含んでいます 。
参考)汚水・雑排水の違いとは

 

雑排水の特徴として、水溶性の汚れが中心であることが挙げられ、管内での固着や詰まりが比較的発生しにくいとされています 。しかし、油脂や食物残渣が蓄積すると配管の閉塞や悪臭の原因となるため、適切な維持管理が必要です 。建築物衛生法では、雑排水槽について6か月に1度の定期清掃が義務付けられており、清掃完了後の作業報告書作成も必要です 。
参考)排水槽/雑排水槽/汚水槽とは?設置基準から維持管理まで徹底解…

 

排水量の観点から見ると、一般家庭から排出される排水の過半数は雑排水が占めており、建築設計においては雑排水系統の適切な計画が重要な要素となります 。特に高層建築物や地下階を有する建物では、重力だけでは下水道への排出が困難なため、排水ポンプによる圧送システムが必要となることが多いです 。
参考)排水と汚水は違うもの?排水にはどんな種類がある?【矢野】

 

汚水の分類と管理方法

汚水は、トイレの水洗から排出される排水を指し、し尿と便を含む排水として定義されています 。建築基準法施行令においても、汚水と雑排水は明確に区分され、それぞれに異なる設備基準が適用されます 。
参考)ビルの給排水設備と法律 整備の基準・点検に関するルールを解説…

 

汚水の特性として、主に水溶性の汚れで構成されているため、管内で固まって詰まりが発生することは通常少ないとされています 。ただし、日常清掃が適切に行われていないトイレでは、尿石が固着して配管に影響を与える可能性があります 。
汚水槽の設置基準については、建築基準法に基づく技術基準が定められており、耐水性材料の使用、漏水防止対策、適切な勾配の確保などが求められます 。特に特定建築物においては、汚水槽についても6か月に1度の定期清掃が法的に義務付けられており、建物オーナーは適切な維持管理体制を構築する必要があります 。
参考)汚水槽・雑排水槽について href="https://www.sougou-gfm.co.jp/business/bm/osen/" target="_blank">https://www.sougou-gfm.co.jp/business/bm/osen/amp;#8211; 総合施設管理

 

建築基準法における排水設備の基準

建築基準法では、排水設備を「建築設備」として位置付け、建築確認および完了検査の対象として規制しています 。建築基準法施行令129条の2の4において、給排水設備の設置・構造に関する詳細な基準が定められており、これらの基準を満たさなければ建築確認が下りません 。
分流式の公共下水道における排水設備では、汚水と雨水を分離して排除する構造とすることが法的に義務付けられています 。排水管の内径については条例で定められており、排除すべき下水を支障なく流下させることができる寸法を確保する必要があります 。
参考)https://www.city.komaki.aichi.jp/material/files/group/43/53046388.pdf

 

建築基準法施行令16条で定められる安全上・防火上・衛生上特に重要な建築物については、給排水設備を含む建築設備につき、毎年1回建築士等による調査を実施し、その結果を特定行政庁へ報告することが義務付けられています 。多くのビルがこの調査・報告義務の対象となるため、建築業従事者は定期的な給排水設備の点検体制を理解しておく必要があります 。

分流式と合流式の排水システム

日本の下水道システムには、「分流式」と「合流式」の2つの方式があり、それぞれ異なる排水処理の特徴を持ちます 。分流式は汚水と雨水を別々の管渠で流す方式で、家庭や工場から出る汚水は全て下水処理施設に運ばれ、処理された後に公共用水域に放流されます 。
参考)芦屋市/合流式と分流式

 

合流式は汚水と雨水を同じ一本の管渠で流す方式で、1つの下水道管で済むため早く安く工事ができる利点があります 。しかし、台風等で豪雨が発生すると、処理能力を超えた下水が未処理のまま川や海に放流されてしまう問題があります 。
参考)合流式下水道と分流式下水道/大津市

 

宅内の排水設備においても、合流式では汚水と雨水を別系統で配管し、取付桝で合流させて公共下水道管に排除する必要があります 。分流式では汚水と雨水を完全分離し、汚水は公共下水道管(汚水管)へ、雨水は開渠の側溝や雨水集水桝へ排除することが求められます 。建築物内の排水設備では、雨水は必ず単独で排水し、汚水管や雑排水管と接続してはならないという重要な規則があります 。
参考)ペアで覚える建築士 No.65(分流方式) : TAC建築士…

 

雑排水槽と汚水槽の設置・維持管理の実務ポイント

雑排水槽と汚水槽の設置において、建築業従事者が注意すべき実務的なポイントがいくつかあります 。まず、設置場所については保守点検が容易に行える場所を選定し、複数のポンプ(予備ポンプ含む)を設置することが推奨されます 。
参考)https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/gesui/Checklist

 

ポンプの選定基準では、排水の種類(汚水、雑排水、汚物)と容量に適したものを選択する必要があり、屋外の汚水ますへの適切な接続も重要な要素です 。特に地下階に設置された水まわり設備からの排水処理では、重力排水が困難なため、ポンプによる圧送システムの設計が不可欠となります 。
維持管理面では、建築物衛生法に基づく定期清掃が重要な義務となっています 。排水槽の清掃頻度は6か月以内ごとに1回とされており、清掃完了後には必ず作業報告書を作成する必要があります 。
現代的な排水ソリューションとして、従来の排水槽に代わる排水圧送ポンプユニットという選択肢も検討されています 。これらのシステムは設置スペースの削減、維持管理コストの低減、衛生環境の向上などのメリットがあり、特に新築物件での採用が増加している傾向があります 。