M6ナット寸法一覧と建築現場規格別選定ガイド

M6ナット寸法一覧と建築現場規格別選定ガイド

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M6ナット寸法一覧規格

M6ナット基本情報
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基本寸法

二面幅10mm、高さ5mm、ピッチ1.0mmが標準規格

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種類別特徴

1種・2種・3種それぞれの用途と構造的違い

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選定基準

建築現場での適切なナット選びのポイント

M6ナット基本寸法JIS規格詳細

M6ナットの寸法は、JIS B 1181:2014で厳密に規定されています。建築現場で最も頻繁に使用されるM6ナットの基本寸法は以下の通りです。

 

M6ナット標準寸法一覧

  • 二面幅(s):10.0mm(基準寸法)
  • 高さ(m):5.0mm(1種・2種)
  • 3種高さ(m1):3.6mm
  • ピッチ(P):1.0mm
  • 対角距離(e):約11.5mm
  • 座面直径(dw):約9.8mm

これらの寸法は、建築現場での締付け作業において重要な基準となります。特に二面幅の10mmは、10mmスパナやレンチの選定基準となるため、作業効率に直結します。

 

許容差についても規格で定められており、二面幅では0~-0.6mm、高さでは0~-0.48mmの範囲で製造されています。この許容差を理解することで、部品の互換性や組み立て精度を適切に管理できます。

 

M6ナットのねじ山ピッチ1.0mmは、並目ねじの標準規格です。細目ねじの場合はピッチが異なりますが、建築現場では並目ねじが一般的に使用されています。

 

M6ナット種類別特徴と用途

M6ナットには、JIS規格により1種、2種、3種の3つのタイプが規定されており、それぞれ異なる特徴と用途があります。

 

1種ナット(片面面取り)

  • 特徴:片側(表面側)のみに面取り加工
  • 高さ:5.0mm
  • 用途:固定用途で取り外しが想定されない箇所
  • メリット:座面が大きく高い締付けトルクが可能
  • 注意点:取り付け方向に指定があり、面取り側をボルト側に向ける

2種ナット(両面面取り)

  • 特徴:両側面に面取り加工
  • 高さ:5.0mm(1種と同じ)
  • 用途:取り外しの可能性がある一般的な締結
  • メリット:表裏がなく作業性が良い
  • 適用:最も汎用的で建築現場の標準

3種ナット(低ナット)

  • 特徴:両面面取りで高さが低い
  • 高さ:3.6mm
  • 用途:スペースが限られた箇所
  • メリット:省スペース設計
  • 注意点:ねじの噛み合いが少なく、高トルク不適

建築現場では、構造部材の接合には主に2種ナットが使用され、設備配管の取り付けには3種ナットが選択されることが多いです。

 

M6ナット選定基準と適用場面

建築現場でのM6ナット選定では、用途と環境条件を十分に考慮する必要があります。適切な選定により、構造安全性と作業効率の両立が可能になります。

 

荷重条件による選定

  • 高荷重箇所:1種ナット(座面積大)
  • 中荷重箇所:2種ナット(標準)
  • 軽荷重箇所:3種ナット(省スペース)

取り外し頻度による選定

  • 固定接合:1種ナット
  • 定期点検箇所:2種ナット
  • 頻繁取り外し:2種ナット(作業性重視)

空間制約による選定

  • 十分な空間:1種・2種ナット
  • 制限空間:3種ナット
  • 工具アクセス性:二面幅10mmを考慮

建築現場では、特に鉄骨工事において、M6ナットは副部材の取り付けや設備配管の固定に多用されます。この際、風荷重や地震荷重を考慮した適切な締付けトルクの設定が重要です。

 

M6ボルトとの組み合わせでは、一般的に8.8級ボルトとの組み合わせが標準的で、締付けトルクは約15-20N·mが目安となります。ただし、使用する材質や表面処理により調整が必要です。

 

M6ナット施工時注意点と品質管理

M6ナットの施工では、適切な手順と品質管理が構造安全性に直結します。建築現場での実際の施工において注意すべきポイントを詳しく解説します。

 

締付け手順と工具選定

  • 工具選択:10mmスパナまたはソケットレンチ
  • 予備締め:手締め程度で位置決め
  • 本締め:規定トルクでの機械締め
  • 確認作業:締付け完了後の目視・触診確認

品質管理チェックポイント

  • ねじ山の損傷確認
  • 座面の平坦性確認
  • 規定トルクでの締付け確認
  • 緩み止め処理の確認

建築現場では、M6ナットの不適切な施工により構造安全性に影響を与える事例が報告されています。特に、1種ナットの取り付け方向間違いや、規定トルク不足による緩みが問題となっています。

 

よくある施工ミス

  • 1種ナットの向き間違い
  • 異なる種類のナット混用
  • 不適切な締付けトルク
  • 座面の汚れや異物の未除去

これらのミスを防ぐため、作業前の材料確認と作業手順の徹底が重要です。また、定期的な締付け状態の点検により、長期的な構造安全性を確保できます。

 

M6ナット材質・表面処理と耐久性評価

建築現場におけるM6ナットの選定では、基本寸法だけでなく材質と表面処理の選択が長期的な性能に大きく影響します。この視点は、多くの技術者が見落としがちな重要なポイントです。

 

標準材質の特性比較

  • SS400(一般構造用鋼材):汎用性高、コスト低
  • S45C(機械構造用炭素鋼):強度高、精密加工向け
  • SUS304(ステンレス鋼):耐食性高、高コスト
  • SCM435(クロムモリブデン鋼):高強度、特殊用途

表面処理による性能差

  • 生地(無処理):最低コスト、屋内専用
  • 電気亜鉛めっき:標準的耐食性、屋外可
  • 溶融亜鉛めっき:高耐食性、長期屋外
  • クロメート処理:中程度耐食性、美観良

建築現場での実際の選定では、環境条件と要求性能のバランスが重要です。例えば、屋外露出部では溶融亜鉛めっき品、屋内の一般部位では電気亜鉛めっき品が適しています。

 

耐久性に影響する要因

  • 温度変化による熱膨張・収縮
  • 湿度変化による腐食進行
  • 荷重変動による疲労
  • 化学物質による材質劣化

特に注目すべきは、M6ナットの材質選択が全体システムの耐久性に与える影響です。異種金属接触による電食や、材質の線膨張係数差による応力集中など、設計段階での検討が必要な要素が多数存在します。

 

最近の建築現場では、環境負荷軽減の観点から、再利用可能な高品質ナットの採用も検討されています。初期コストは高くなりますが、ライフサイクルコストでは優位となる場合があります。

 

M6ナットの適切な選定と施工により、建築物の長期的な安全性と経済性を両立できます。規格寸法の理解に加え、材質・表面処理・施工方法の総合的な検討が、品質の高い建築工事の実現につながります。

 

JIS規格に関する詳細情報
ミスミ技術情報:六角ナット規格詳細
建築金物の選定基準
NBK:六角ナット技術資料