
抵抗膜方式は、測定媒体の圧力変化をダイアフラムに取り付けた歪みゲージの電気抵抗の変化によって測定する方式です。この方式では、金属抵抗素子、セラミック抵抗素子、ピエゾ抵抗素子などが素子として用いられます。
参考)圧力センサの種類と用途
金属抵抗素子には、セラミック抵抗素子に比べて高い圧力範囲を測定でき、耐久性にも優れている特徴があります。一方、ピエゾ抵抗素子には、金属抵抗素子よりも小さな圧力変化を測定できる特徴があるので、低い圧力範囲で用いられます。建築現場では、耐久性と幅広い圧力測定が求められるため、金属抵抗素子を使用した抵抗膜方式が多く採用されています。
MEMS技術を使った圧力センサーでは、シリコンダイアフラムに拡散されたホイートストン ブリッジが主要な設計特徴となっており、このブリッジからの出力の変化は加えられる圧力の変化に対応します。お客様がより高い圧力範囲を必要とする場合、センサーは増加した圧力に対応するためにより厚いダイアフラムを必要とし、逆に低圧を測定する場合は薄いダイアフラムで十分です。
参考)MEMS ピエゾ抵抗圧力センサーの使用法と機能を理解する -…
静電容量式圧力センサーは、圧力によるコンデンサーの静電容量の変化を利用して圧力を測定する仕組みです。基本構造は、2枚の導電性プレート(電極)が向かい合った状態で配置され、その間に圧力を受ける可動ダイアフラムが挟まれています。
参考)圧力センサーとは?仕組みや種類、用途、注意点と対策
圧力が加わると、ダイアフラムが変形し、電極間の距離が変わります。この距離の変化により、コンデンサーの静電容量が変化します。静電容量は電極間の距離、電極の面積、および間にある絶縁体の特性によって決まるため、圧力による距離変化が直接的に容量変化として現れます。
センサーが検出した静電容量の変化を、電気回路で電圧や電流の変化として変換します。抵抗膜方式に比べると高感度で100Pa以下の微小な圧力変化を測定できる一方で、70MPaくらいまでの幅広い圧力を測定できます。しかし、材料や接合・シールなどの制約があり、用途が限定されることがあります。
圧電素子方式圧力センサーは、特定の材料(圧電材料)が持つ「圧電効果」を利用して圧力を測定する仕組みです。圧電効果とは、機械的な力や圧力が材料に加わると、その内部で電荷が発生する現象を指します。
センサーの基本構造は、圧電材料(例:セラミックや水晶)が電極に挟まれており、外部から圧力が加わると圧電材料がわずかに変形します。この変形によって材料内部に電荷が発生し、その量は加わった圧力の大きさに比例します。
圧電素子方式は、特に瞬間的な圧力変化(動的圧力)の測定に適しています。例えば、振動や衝撃などの一時的な圧力を高い精度で検出できます。一方で、静的圧力の測定には向いておらず、一定時間が経過すると信号が減衰する特性があります。この特性から、建築現場では動的な圧力変化を監視する用途に使われることが多くあります。
MEMS圧力センサーは、量産された最初の微小電気機械デバイス(MEMS)の一部であり、今日、さまざまなアプリケーション向けにさまざまなタイプ(相対圧力測定または絶対圧力測定など)が存在します。MEMS圧力センサの基本的な動作原理は、物理的な負荷と圧力をアナログ電気信号に変換することにあります。
参考)MEMS圧力センサーの3D表面特性評価 - Polytec
圧力の変化により圧力センサのメンブレンは形状を変え、電気電圧信号はメンブレンのたわみに比例します。MEMSを使った圧力センサーは主に、感圧素子としてピエゾ抵抗素子を使った「ピエゾ抵抗式」と電極による静電容量の変化を検出する「静電容量方式」があり、どちらもダイヤフラムと呼ばれる薄膜のたわみによって圧力を測定します。
参考)圧力センサー
MEMSを使った圧力センサーは量産性に優れており、小型で消費電力を抑えられるため、スマートフォンなどのモバイル機器を中心に広く活用されています。また、微小な圧力変化にも素早く反応できるという特性もあり、微弱な圧力を正確に測定する必要がある医療機器などにも搭載されています。建築現場においても、その小型性と高精度を活かして、狭い場所での圧力監視に利用されるケースが増えています。
建設業界でも、圧力センサは用いられています。油圧ジャッキの圧力測定では、建築現場で使われる油圧ジャッキの油圧を監視・管理する目的で圧力センサが使われます。また、トンネル掘削用のシールドマシンの圧力制御にも使われています。
建設業界で用いる圧力センサーのおすすめは、Honeywell社の「MIPシリーズ」です。「MIPシリーズ」は、コンパクトなステンレス構造で密封されたメディア分離型圧カセンサで、水、潤滑油、冷媒、圧縮空気、ディーゼルオイル、エンジンオイル、ブレキオイル、冷却水、排気ガス、化学物質、食品、飲料、02/N2/C02/N20ガスなどの、幅広い媒体の圧力測定に対応可能です。
油圧ジャッキは、「パスカルの原理」と呼ばれる物理法則を利用しています。密閉されたシリンダー内に油を送り込むことで、液体の圧力を均一に伝達し、小さな入力力を大きな出力力へと増幅します。この油圧システムの圧力を正確に監視することで、安全な作業環境を確保できます。
参考)建設用油圧ジャッキとは?その仕組みと選び方を解説
山岳トンネル工事では、覆工施工継ぎ目の浮き・剥落防止システムとして、小型圧力計と硬質ゴムを組み合わせた隙間・圧力検出センサーがオーバーラップに数か所設置されます。このように、建築現場では目的に応じて適切な圧力センサー種類を選定することが重要です。
参考)[技術コラム]圧力センサの選定方法|現役エンジニアが教える用…
圧力センサの種類と用途について詳しい説明があります(クローネ公式サイト)
まずは、圧力検出したい流体に適合した圧力センサのシリーズを選定していきます。圧力センサは大きく分けると「気体用」と「液体用」とにシリーズがわかれていることが多いです。というのも液体用では「耐腐食性」が圧力センサに求められる傾向にあるため、気体用などで使用されるシリーズの圧力センサでは故障するリスクがあるためです。
デジタル圧力計を選ぶときには、主に以下のようなスペックを確認する必要があります:
参考)デジタル圧力計の選び方とおすすめの商品紹介
圧力測定範囲としては、10Pa程度の小さな圧力を上限とするものから、100MPa以上の大きな圧力を上限とするものまでさまざまです。一般的には、想定される圧力の2倍くらいをレンジの目安にします。たとえば、0.3MPaくらいの圧力を計測するのであれば、0.6MPaがレンジの最大値の目安になります。
用途によっては測定精度の高さも重要になります。精度は0.25%程度のものから、0.025%程度のものまでさまざまで、機器の校正のような高い精度が要求される場面では、より精度の高いものを選ぶ必要があります。
圧力センサの選定方法について現役エンジニアによる解説(イケキン公式サイト)
圧力センサーは使い続けるうちに誤差が生じます。これを放置すると、誤ったデータに基づいた制御や判断が行われるリスクがあります。対策ポイントとして、年1回以上の定期校正をルール化することが推奨されています。
参考)圧力センサーとは?仕組み・種類・用途から注意点と対策までわか…
工場内で対応できない場合は、専門業者にメンテナンス委託することが効果的です。また、校正履歴のデジタル管理(トレーサビリティ対応)を行うことで、品質管理の透明性を高めることができます。
誤差の要因は、センサー自体の精度不足だけではありません。設置場所の圧力波動や流体の特性、配管の形状など、周辺要素の影響も大きいです。対策ポイントとして、メーカーの仕様書を精読し誤差範囲を理解することが重要です。
圧力センサーの主な故障には、圧力が上がっても送信機が上がらないケースがあります。この場合、まず圧力ポートに漏れや詰まりがないかを確認する必要があります。コンプレッサーの圧力スイッチの異常では、空気漏れの音がするなどの前兆サインがあります。
参考)コンプレッサーの圧力スイッチが故障するとどうなる?原因を詳し…
コンプレッサーのエアの充填が満タンの状態でシューッという音を探します。機械が稼働中は危険ですし音がうるさいので、始業前や終業後に行うのがよいでしょう。水や液体洗剤を少しかけてみると、エア漏れしている箇所に泡ができるので判断しやすいでしょう。
圧力センサーの注意点と対策について詳しい解説(オトコギ公式サイト)
圧力センサの選択には、各センサに対応する3種類の圧力があることを考慮する必要があります。測定した圧力の表示方法には、絶対真空を基準にした「絶対圧」と大気圧を基準にした「ゲージ圧」がありますが、一般的に圧力センサーはゲージ圧を測定します。
参考)圧力センサー
ガラスに穴がない場合、シリコンとガラスの間の空間が絶対圧力ゼロを表すため、絶対センサーとして知られています。一方、ガラスに通気口を作るための穴が開いている場合は、さまざまな圧力用途に対応できるゲージ圧センサーとして機能します。
工業用圧力センサの一般的な使用例としては、以下のようなものがあります:
参考)https://jp.rs-online.com/web/content/discovery/ideas-and-advice/pressure-sensors-guide
水処理業界では、容器やタンクなどの底に設置した圧力センサで変換される電気信号を用いて静止流体の液面高さを測定できます。水処理業界で用いる圧力センサーのおすすめは、クローネの「KDM30シリーズ」です。「KDM30シリーズ」は、フレキシブルディスプレイ機構を採用していて、広範囲の条件で表示部を見やすい角度に調整でき、測定者や施工者の手間や負担を軽減することが可能です。
このように、圧力センサー種類は測定タイプによって適切なものを選定することで、建築現場での安全性と作業効率を向上させることができます。