電気錠寸法一覧と取付け仕様完全ガイド

電気錠寸法一覧と取付け仕様完全ガイド

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電気錠寸法一覧と選定ポイント

電気錠寸法の重要ポイント
📏
バックセット寸法

扉の端から錠前中心までの距離で施工精度を左右

🔧
フロント寸法

扉厚に応じた適切なストライク選択が必要

配線仕様

電気錠操作器から錠前まで距離制限あり

電気錠バックセット寸法の標準規格と選定基準

電気錠のバックセット寸法は、施工の成否を左右する最重要項目です。一般的な標準寸法として、バックセット76mmが最も広く採用されており、宇都宮ロックのEUR型電気錠では標準的にこの寸法が使用されています。

 

フジキュー製AUT/AUTA型電気錠では、バックセット寸法に加えてケース深さの考慮が重要です。特に片開き扉用の場合、扉厚33~66mmの範囲で対応可能ですが、ストライクのL寸法が扉厚によって細かく設定されています。

 

  • 扉厚33~42mm:L寸法24mm(DP型)
  • 扉厚42~50mm:L寸法28mm(ER型)
  • 扉厚50~58mm:L寸法32mm(FT型)
  • 扉厚58~66mm:L寸法36mm(G型)

両開き扉の場合はさらに細分化されており、扉厚34~37mmから62~66mmまで8段階のL寸法設定があります。この詳細な寸法管理により、扉の反りや経年変化にも対応できる設計となっています。

 

バックセット寸法の選定時は、既存の穴加工との整合性も重要です。リフォーム案件では、既存のバックセット寸法に合わせて電気錠を選定することで、追加工事を最小限に抑えることができます。

 

電気錠フロント寸法と扉厚対応表の詳細解説

電気錠のフロント寸法は、取付け精度と美観性の両面で重要な役割を果たします。LIXIL製PK/PL型錠では、標準フロント幅が設定されており、M4×16皿小ネジまたはM4×20皿小ネジでの固定が基本仕様となっています。

 

宇都宮ロックEU型電気錠のフロント寸法は44mm幅で統一されており、ケース奥行109.5mmという業界標準的な設計です。このサイズ設定により、多くの扉材質に対応可能となっています。

 

扉厚対応表の活用において、意外に見落とされがちなのが「未満」と「以上」の境界値処理です。例えば扉厚42mmの場合、33~42mm未満と42~50mm以上の境界にあたるため、実測値での判断が必要です。

 

フロント寸法の選定では、以下の確認項目が重要です。

  • 扉材質(木製・金属製・樹脂製)
  • 表面仕上げ(塗装・シート貼り・無垢材
  • 扉枠との取合い寸法
  • ハンドル・サムターンとの干渉チェック

特に電気錠の場合、配線取出し部分の処理も考慮する必要があります。フジキュー製では、リード線9本(長さ250mm)が標準で付属しており、配線ルートの確保も設計段階で検討が必要です。

 

電気錠ストライク寸法の選び方と施工上の注意点

電気錠のストライク選定は、扉厚だけでなく開き方向も重要な要素です。フジキュー製電気錠では、左右勝手共通設計を採用していますが、ストライクの上側にマグネットがくるように調整が必要な場合があります。

 

LIXIL製電気錠のストライク寸法では、内開き・外開きと右勝手・左勝手の組み合わせで、受けフロントの向きが決定されます。この組み合わせを間違えると、施錠・解錠動作に支障をきたすため、図面での事前確認が不可欠です。

 

ストライク取付け時の寸法精度について、業界では±0.5mm以内の精度が求められています。特に電気錠の場合、機械式錠と異なり電気的な動作タイミングも関係するため、以下の寸法管理が重要です。

  • ストライクボックスの深さ:十分な余裕を確保
  • 配線用の切欠き:通線とブッシュの余裕として10mm程度
  • マグネット部の位置:動作不良防止のため正確な位置決め

施工時によくある失敗例として、両開き扉用と片開き扉用のストライクを間違えるケースがあります。両開き扉用はL寸法が18~32mmと片開き扉用の24~36mmより小さく設定されており、交換すると動作不良の原因となります。

 

ストライク寸法の実測では、扉の反り具合も考慮する必要があります。木製扉の場合、季節による膨張収縮で±1mm程度の変動があるため、余裕を持った寸法設定が推奨されます。

 

電気錠配線距離と電気仕様の制限事項

電気錠システムの配線距離制限は、施工計画の重要な制約条件です。パナソニック製電気錠システムでは、使用する電線の太さによって配線可能距離が異なります。

 

φ0.65mmまたは0.5mm²の電線を使用する場合。

  • 電気錠操作器~2線化変換アダプター:60m
  • 2線化変換アダプター~電気錠:10m
  • 電気錠操作器~シークレットスイッチ:50m

φ0.9mmまたは0.75mm²の電線を使用する場合も同様の距離制限があります。この制限により、建物規模や電気錠設置位置によっては、中継器の設置や配線ルートの見直しが必要になります。

 

電気錠の電源仕様では、AC100V 50/60Hzが標準で、消費電力は動作時に2回路用で60W以下、1回路用で40W以下となっています。停電バックアップ機能を持つ機種では、約8時間以内に1回の動作が可能ですが、非接触式キーシリンダーを2台接続時は約4時間に短縮されます。

 

配線施工時の注意点として、電気錠制御方式は無極性2線式(電源搬送波重畳方式)が採用されており、待機時DC12V、電気錠操作時DC24Vで動作します。この特性により、従来の極性を持つ配線とは異なる取扱いが必要です。

 

意外に見落とされがちなのが、他社インターホンとの接続制限で、距離は2m以下に制限されています。この制限により、インターホン連動システムの設計では慎重な配線計画が必要です。

 

電気錠型番別寸法比較とコスト効率最適化

電気錠の型番選定において、寸法だけでなくコスト効率も重要な判断要素です。メモリーエントリからも明らかなように、建築業界では技術仕様に基づいた詳細な比較検討が重要視されています11。

 

フジキュー製とLIXIL製、宇都宮ロック製の寸法比較では、標準的なバックセット寸法は各社とも76mm前後で統一されていますが、フロント寸法や配線仕様に違いがあります。

 

型番別の特徴比較。
フジキュー AUT/AUTA型

  • バックセット:標準寸法
  • フロント:複数サイズ対応
  • 配線:リード線9本(250mm)付属
  • 適用:通用口/非常口用

LIXIL PK/PL/EL/EM/EN型

  • バックセット:調整可能
  • フロント:M4ネジ固定仕様
  • 配線:別途配線工事必要
  • 適用:門扉・玄関用

宇都宮ロック EUR/EURP型

  • バックセット:76mm固定
  • フロント:44mm幅統一
  • ケース奥行:109.5mm
  • 適用:通電時施錠型

コスト効率の観点では、標準寸法品の採用により在庫管理コストを削減できます。特殊寸法品は納期とコストの両面でデメリットがあるため、設計段階での標準寸法への統一検討が重要です。

 

施工効率を考慮した型番選定では、配線工事の難易度も重要です。パナソニック製のような2線式システムは配線が簡素化される一方、フジキュー製のようにリード線付属品は現場での配線加工が容易という利点があります。

 

長期的なメンテナンス性も考慮すると、部品供給の安定性や技術サポート体制も型番選定の重要な要素となります。業界標準的な寸法を採用している製品ほど、将来的な交換やメンテナンスが容易になる傾向があります。