

エアー配管基本の設計で、最初に押さえるべきは「末端に均一な圧力を配る」ための考え方です。
工場のフロア配管では、全域に均一圧力を供給しやすい方式としてループ方式が一般的に採用される、と整理されています。
ループ配管のメリットは、単に「圧が落ちにくい」だけではありません。
分岐点ごとの圧力差が小さくなることで、機器側のレギュレータ調整が安定し、同じ条件の作業が再現しやすくなります。
片道配管とループ配管の差は、圧力降下の出方にも現れます。
資料では、同じ空気消費量のエア工具を2本使う例で、片道配管だと「2本で4倍の圧力降下」が起き得るのに対し、ループ配管では片道配管の4分の1に抑えられる、という説明があります。
現場のあるあるとして、設備増設で枝管が継ぎ足され、いつの間にか「片道配管の末端だらけ」になっているケースがあります。
この状態は、末端だけでなく途中の機器にも圧力変動が波及しやすく、シリンダの速度ムラやエアツールのトルク不足が「たまに起きる」不具合として出やすいので要注意です。
判断の目安(経験則)としては、次の症状が出たらループ化・リング化の検討価値が高いです。
参考:ループ配管で圧力損失を抑える考え方(圧力降下が片道の4分の1になる例)
https://www.nitto-kohki.co.jp/assets/prd/al/pdf/piping.pdf
エアー配管基本の「圧力損失」は、末端機器の性能と省エネの両方に直結します。
配管の内径が小さい、曲がりや分岐が多い、距離が長い、といった条件で圧力損失は増え、必要圧が取れずにシステム効率が下がると整理されています。
設計時にありがちなミスは「コンプレッサの吐出圧が高いから大丈夫」という発想です。
実際には、配管抵抗で末端圧が落ちれば、工具やシリンダは不足分を埋めるために余計に空気を消費しやすく、結果として電力も上がりがちです(圧力を上げるほど漏れの流量も増えやすい、という副作用もつきまといます)。
配管径を決めるときは、吐出流量・配管長・許容圧損をセットで考えます。
資料では、配管サイズ選定の手順として「コンプレッサの容量(吐出流量)を調査」「配管長を予想して圧損計算」「0.02MPa以下なら理想的(目安)」といった流れが示されています。
さらに、ループ配管では圧損を1/4で計算する、という目安も示されています。
これを現場的に言い換えると、「同じ末端性能を狙うなら、ループ化は配管径アップの代替策になりやすい」ということです(もちろん施工性・コスト・メンテ性とトレードオフ)。
配管径・圧損の検討で、見落とされやすい“意外な盲点”が継手・バルブ・カプラです。
直管の計算上は足りていても、現場で「エルボ」「チーズ」「ボールバルブ」「急速カプラ」が多用されると、相当長い配管を追加したのと同じ抵抗になることがあり、末端圧が想定より落ちます。
設備増設が多い工場では、次の運用が効きます。
エアー配管基本で、水分(ドレン)対策は「品質」と「故障率」を同時に左右する重要項目です。
配送管内では、圧送空気が膨張することで湿気が凝縮し水滴が生じやすく、さらにコンプレッサ由来の油と混ざって乳濁液化し、主管の底を流れる、と説明されています。
この乳濁液が弁やシリンダなどの機能低下を招くため、配管方法で“枝管に入れない”工夫が必要です。
ポイントとして、主管に空気の流れ方向へ傾斜(1mにつき1cm程度)をつける、枝管は主管上部から設ける、低い箇所や末端部に排水用ユニットを設ける、が挙げられています。
ここは「知っているつもり」で施工が崩れやすい箇所です。
例えば、主管の途中に“意図しない低点(たるみ)”ができると、そこがドレン溜まりになり、負荷変動のタイミングで一気に乳濁液が流れて末端機器を汚染することがあります(特に朝イチの立ち上げで起きやすい)。
現場で効くチェックリストは次の通りです。
参考:主管の傾斜(1mにつき1cm程度)・枝管の上部取り出し・低点の排水ユニットの考え方
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/maintenance/mt01/c1081.html
エアー配管基本では、配管側で異物や乳濁液をゼロにできない前提で「機器直前で守る」設計が重要になります。
配送管内には乳濁液以外にも錆や不純物があり、空気圧フィルターやルブリケーターの設置で、摩擦力の変動軽減や腐食を防ぐ必要がある、と説明されています。
設置の実務ポイントとして、空気圧機器とフィルター・ルブリケーターの距離は5m以内が推奨されています。
これを外すと、せっかくフィルタで取り切ったはずの水分・錆が、機器までの間で再び混入し、トラブルが再発しやすくなります。
また見落としがちなのが、枝管の固定と、機器へ“配管の力”を掛けないことです。
資料では、空気圧による配管からの予期せぬ力が機器に作用しないよう、枝管は独立して固定する、とされています。
意外に効くのが「振動対策=材質選定」です。
振動がある配管状態では鋼管や銅管は避け、ゴムホースやナイロンチューブなど弾性チューブを使って機器へのダメージを回避する、という考え方が示されています。
施工管理の観点では、次の“再現性のあるルール”が便利です。
エアー配管基本を“現場の再発防止”に落とすなら、乳濁液(ドレン+油)が「どこで生まれ、どこで加速し、どこで被害を出すか」を因果で把握するのが近道です。
資料では、凝縮した水滴とコンプレッサからの油が配送管内で混合され乳濁液化し、主管の底を流れる、と説明されています。
ここから一歩踏み込む独自視点として、「乳濁液は配管の温度差で急に増える」ことを現場で前提にすると、対策の精度が上がります。
例えば、冬場の外気に近い壁際・シャッター付近・屋外露出の配管は冷えやすく、同じ流量でも凝縮が増え、低点に集まりやすくなります(結果、朝イチの起動で“白っぽい水”が末端へ飛ぶ)。
次に「清掃や交換の判断が遅れると、乳濁液が“研磨剤”のように働く」点です。
乳濁液自体に錆・金属粉が混ざると、バルブやシリンダ内部の摺動部で摩耗を促進し、微妙な漏れ増加→さらに圧力不足→コンプレッサ増負荷、という悪循環に入りやすくなります。
そのため、ドレン対策は“排水するかどうか”ではなく、“排水が確実に続くか”まで設計に入れるのが実務的です。
最後に、漏れの見つけ方も“意外に差”が出ます。
エア漏れは音で探しがちですが、稼働中は騒音で埋もれるため、停止時間に区画ごとの遮断を行い、圧力の落ち方で漏れ量の大きい系統を切り分けるほうが短時間で当たりがつくことが多いです(ループ配管だと遮断設計もしやすい)。