

エポキシ接着パテは「練る→形を作る→硬化後に削る・穴あけ・塗装」の順で考えると段取りが崩れません。一般的な2液系では、条件にもよりますが“2時間程度で穴あけやねじ山立てが可能になり、約24時間で完全硬化”とされる例があります。硬化前に無理に削ると、刃物に絡んでエッジが崩れ、見た目以上に内部の密度も落ちやすいので注意が必要です。
また、製品によって「実用強度に達する時間」と「研磨・塗装してよい時間」が分かれている点は現場で見落とされがちです。たとえば水中用のエポキシパテでは、23℃で6時間で実用強度に達しても、ヤスリがけや塗装は24時間後を推奨する例があります。仕上げ工程(塗装・シーリングの納まり)まで見据えるなら、硬化後作業の可否を仕様で必ず確認してください。
硬化のトラブルで多いのが温度条件の読み違いです。気温が16℃以下だと可使時間は伸びる一方で、5℃以下では硬化しないと明記される取扱説明書もあります。冬場の外部廊下、無暖房の倉庫、夜間工事などでは「固まる前提」で工程を組むと、翌朝までベタつきが残り、全面やり直しになり得ます。
可使時間(ポットライフ)の管理も重要です。20℃・200g使用時など条件付きで「200gを超えると発熱反応により可使時間が短くなる」と注意される資料があります。つまり、まとめて練ってバケツに寝かせるほど早く固まりやすいので、広面積を埋めるときほど“小分け練り”が安全です。
参考:温度条件(5℃以下で硬化しない)や可使時間(200g超で短くなる)、一般的な硬化目安(2時間/24時間)
https://www.esco-net.com/wcs/escort/ItemFile/EA9/EA934/EA934WC-1/EA934WC-1_MNL_JPN_PDF_OUT(01).pdf
参考:水中用の実用強度6時間(23℃)と研磨・塗装24時間(23℃)、作業は混合後30分以内
https://www.cemedine.co.jp/home/products/epoxyputty/epoxyputty_underwater.html
エポキシ接着パテの強度不足は、材料の選定ミスよりも下地処理不足で起きることが多いです。基本は「油分・グリース・ほこりを除去して乾燥」「ツルツル面はヤスリ掛けでザラザラにして接着効果を高める」という流れが推奨されています。とくに金属・タイル・硬質プラなどは、見た目がきれいでも離型剤・皮脂・ワックス分が残っていると簡単に剥がれます。
下地を粗すときのポイントは“削ること”より“アンカーを作ること”です。表面を均す目的で当てると、逆に鏡面に近づいて密着が落ちるケースがあります。サンドペーパーは番手だけでなく「当て方」も品質に直結するので、パッドや当て木で面圧を一定にし、粉を払いながら状態を確認すると失敗が減ります。
また、塩分の影響は意外と盲点です。海水などに浸かっていた表面には無機塩類が含まれることがあり、必ず表面処理をしてから使用するよう注意されています。沿岸部の屋外設備、海風が当たる手すり金物、潮が回るピットなどは「サビを落としたのに剥がれる」という現象が起きやすいため、洗浄→乾燥→粗し→脱脂の順を丁寧に踏むのが現実的です。
建築の補修でエポキシ接着パテが選ばれる理由は、充填と接着を同時にこなせる点です。多用途品では「高い耐水性と耐熱性を持ち、水回りや屋外の補修にも適する」と明記されている例があります。つまり“屋外だからシーリング材だけ”“水回りだからモルタルだけ”と決め打ちせず、欠損形状と要求強度に応じてパテ系を検討できます。
ただし、耐水=常時浸水OK、ではありません。水中・湿潤面でも硬化できるタイプがある一方で、「皮ふや飲食物が直接触れる部分には使用しない」「生物を入れる容器には使用できない」など用途制限も示されています。浴室や厨房など“水がある場所”は範囲が広いので、施工箇所が「水がかかる」だけなのか、「水に浸かる」環境なのか、さらに衛生要件があるのかを切り分けて選定する必要があります。
耐熱についても同様で、カタログ上の耐熱温度が高くても、現場では熱サイクル(加熱→冷却の繰り返し)や母材の熱膨張差で剥離することがあります。加えて、常温硬化型でも加熱養生で性能が上がるタイプが存在し、一定条件で後硬化手順が記載される例もあります。熱が絡む設備(配管近傍、機械室、排気の通り道)では、耐熱“温度”だけでなく、養生条件と施工後の熱履歴も含めて見てください。
エポキシ接着パテは万能に見えますが、「接着できないもの」を先に押さえると手戻りが激減します。水中用の製品例では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、軟質ビニール、フッ素樹脂、ゴムなどには使用できないとされています。建築現場だと、PPバンド、PEシート、フッ素系コート部材、止水ゴム、可とうホースなど“それっぽい部材”が普通に混在するため、材質確認が最優先です。
接着面積が小さい部分で十分な接着力が得られない、という注意も見逃せません。つまり、細いピン・薄板の先端・点接触のような条件では、材料性能以前に幾何学的に負けます。こうした場合は、パテで“盛る”だけでなく、食い込みを作る(欠き込み)、面積を増やす(当て板・補強板)、荷重方向を変える(受けを作る)といった建築的な納まりで勝たせるのが合理的です。
さらに、貴金属や高価格品の接着には使用しないという注意もあります。建築でも、意匠金物や高級建材は「一発勝負」になりがちなので、試験施工(端材での密着テスト)と、メーカー推奨のプライマー・表面処理の有無を確認してから本施工に入るのが安全です。
検索上位で語られやすいのは“使い方”や“硬化時間”ですが、実務で効く独自視点は「段取りで品質を作る」ことです。取扱説明書には、混合に使う容器やヘラも油分を取り除くこと、主剤を先に攪拌すること、混合比率(±2%)を確認することなどが書かれています。つまり、手が汚れている・ヘラが汚れている・目分量で混ぜる、の三重苦は、材料が良くても失敗の確率を上げます。
そこで現場の運用としては、次のように“工程を固定化”すると安定します。
意外に効く小技として、表面仕上げの“ならし”があります。水中用の例では、湿った布や水でぬらしたヘラで表面をならすときれいに仕上がるとされています。硬化前のベタつきを利用して表層を整えておくと、硬化後の研磨量が減り、粉じんも減って、安全衛生・近隣配慮の面でもメリットが出ます。