付帯設備と付属設備の違い|建築事業者が知るべき定義と税務処理

付帯設備と付属設備の違い|建築事業者が知るべき定義と税務処理

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付帯設備と付属設備の違い

付帯設備と付属設備の主な違い
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用語の定義

付帯設備は不動産取引における設備、付属設備は税務・会計上の資産区分

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会計処理の違い

付属設備(建物附属設備)は独立した勘定科目として減価償却

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対象となる設備

給排水設備、電気設備、空調設備、防災設備など建物機能を支える設備

付帯設備の定義と範囲

付帯設備とは、建物に付属する設備全般を指し、主に不動産売買契約において使用される用語です。建物と一体になって建築物の機能の発揮を支える役割を持ちます。
参考)付帯設備とは

具体的には以下のような設備が含まれます。

不動産取引では「付帯設備表」という書類で、これらの設備の有無や状態を詳細に記載することが必須となっています。この書類は売買契約締結時に買主へ提出され、引き渡し後のトラブルを防止する重要な役割を果たします。
参考)売買契約締結時の重要書類(2)付帯設備表とは

売買契約締結時の重要書類(2)付帯設備表とは - AJRC不動産売却
付帯設備表の作成方法や記載事項について詳しく解説されています。

 

付属設備(建物附属設備)の定義と税務上の扱い

一方、付属設備は正式には「建物附属設備」と呼ばれ、税務・会計上の資産区分として使用される専門用語です。建物に付属して機能している工作物を指し、建物本体とは別の勘定科目として処理されます。
参考)【徹底解説】建物・建物付属設備・構築物の違い

建物附属設備に該当する主な設備。

  • 電気設備(照明設備、蓄電池電源設備)
  • 給排水又は衛生設備
  • ガス設備
  • 冷暖房、通風、ボイラー設備
  • 昇降機設備(エレベーター、エスカレーター
  • 消火、排煙、災害防止設備
  • 可動間仕切り(パーテーション)

税務上、建物附属設備は建物本体よりも耐用年数が短く設定されており、電気設備は15年、エレベーターは15年、エスカレーターは17年などと区分されています。この区分により、建物本体と分けて減価償却することで早期の費用計上が可能となります。
参考)内装工事費は「建物」とは限らない!建物附属設備で一括償却がで…

内装工事費は「建物」とは限らない!建物附属設備で一括償却できる - 名古屋総合税理士法人
建物と建物附属設備の適正な区分方法について、税務上のポイントが詳しく解説されています。

 

付帯設備と付属設備の会計処理における相違点

付帯設備と付属設備の最も重要な違いは、会計処理における扱い方です。​
付帯設備の会計処理
不動産取引の文脈で使用される用語であり、独立した勘定科目としては存在しません。建物の売買契約時に、物件に付属している設備の状態を明示するために用いられます。
参考)不動産売却で必要な付帯設備表とは?記載事項と記入時の注意点を…

付属設備(建物附属設備)の会計処理
税務会計上、建物本体とは別の資産区分として「建物附属設備」という独立した勘定科目で処理します。​

項目 建物本体 建物附属設備
耐用年数 最長50年 最長18年
減価償却方法 定額法 定額法(平成28年4月1日以降)
主な内容 壁、床、天井などの基本構造 電気設備、給排水設備、空調設備など

建物附属設備として区分することで、建物本体よりも短い期間で減価償却が可能となり、早期の費用計上による節税効果が期待できます。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-journal/Interior-work/

【一覧表】建物附属設備の耐用年数 - 税理士法人Accompany
建物附属設備の詳細な耐用年数一覧表と具体例が掲載されています。

 

付帯設備と建物附属設備の区分における実務上の注意点

建築事業者が特に注意すべきは、償却資産税の課税対象となるかどうかの判断です。
参考)償却資産についてさらに詳しくお知りになりたい方へ - 奈良市…

家屋(固定資産税)として評価される条件
建物附属設備が家屋として評価されるには、以下の2つの要件を満たす必要があります:
参考)償却資産税(構築物)の対象か、固定資産税(家屋)の対象か。【…

① 家屋と構造上一体であるもの
② 家屋の効用を高めるもの
これらの要件を満たす場合、建物附属設備は固定資産税の対象となり、償却資産税の対象とはなりません。
参考)建物附属設備における家屋と償却資産の違いについて

償却資産税の対象となるケース
⚠️ 自己所有建物に取り付けた設備であっても、家屋の評価に含まれない建物附属設備は償却資産として申告が必要です
参考)https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/019/187/kubun.pdf

⚠️ 賃借建物に賃借人が取り付けた建物附属設備は、償却資産税の対象となります​
実務上の重要ポイント。

  • 内装工事費を「建物」と「建物附属設備」に適正に区分することで、短期間での減価償却が可能となります​
  • 工事内容や設備の機能によって区分が決まるため、建築業者からの工事明細の入手が重要です

    参考)【一覧表】建物附属設備の耐用年数 - 福岡の税理士法人Acc…

  • 税務会計上の処理と固定資産税・償却資産税の課税区分は異なる場合があるため、両方の観点から検討が必要です​

付帯工事と付帯設備の違いに関する補足知識

建築事業者にとって、「付帯設備」と混同しやすい用語に「付帯工事」があります。
参考)附帯工事とはどのような工事?認められるための要件や具体例につ…

付帯工事の定義
付帯工事とは、建設業許可を受けた業種にかかる建設工事(主たる工事)に付随して発生する別の建設工事(従たる工事)を指します。
参考)付帯工事とは?建設業許可は不要?軽微な工事との違いや要件を解…

建設業法第4条では、「建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる」と定められています。
参考)【建設業許可】付帯工事とは?要件・意味・注意点をまとめて徹底…

付帯工事の要件
✅ 主たる工事に付随して行われる一連・一体の工事であること
参考)付帯工事と建設業許可

✅ 注文者の利便や工事の慣行等の観点から一連・一体の施工が必要とされる工事であること​
✅ 独立の使用目的に供されるものではないこと​
例えば、塗装工事業許可を受けた建設業者が外壁塗装工事を請け負う際、高所作業のための足場工事が付帯工事として認められます。付帯工事については、主たる工事の建設業許可があれば、従たる工事の許可は不要です。
参考)コラム

附帯工事とはどのような工事?認められるための要件や具体例 - 建設総合情報サイト
付帯工事の具体的な判断基準と事例について詳しく解説されています。

 

このように、「付帯設備」「付属設備(建物附属設備)」「付帯工事」は、それぞれ異なる文脈で使用される専門用語であり、建築事業者は正確に理解して使い分けることが求められます。特に税務処理や契約書類の作成においては、適切な用語選択と区分が重要となります。