イモネジ規格基準から先端形状選び方固定用途

イモネジ規格基準から先端形状選び方固定用途

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イモネジ規格基準と形状詳細

イモネジ規格の基本概要
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JIS B1177規格

日本工業規格によるM1.6~M24の六角穴付き止めねじの標準規格

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ISO 4026規格

国際標準化機構による六角穴付き止めねじの世界共通規格

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先端形状分類

平先・とがり先・棒先・くぼみ先の4種類による用途別選択

イモネジ規格のJIS B1177とISO 4026基準詳細

イモネジ規格は主にJIS B1177(日本工業規格)とISO 4026(国際標準化機構規格)によって定められており、六角穴付き止めねじの形状・寸法・品質要件を規定しています。
JIS B1177-2007の規格詳細

  • 適用範囲:ねじの呼びがM1.6~M24
  • 部品等級:A級の六角穴付き止めねじに適用
  • 不完全ねじ部:u<2P(ピッチの2倍未満)
  • 六角穴の口元:わずかな丸み又は面取り可

ISO 4026規格との互換性
JIS規格とISO規格は、ねじのサイズ(d)、ピッチ(P)、六角穴(S)の大きさが完全に一致しており、JIS規格はISO規格に合わせて制定されています。これにより国際的な部品調達において規格の統一性が確保されています。

ねじの呼び ピッチ(P) 六角穴(S)
M1.6 0.35 0.7
M2 0.4 0.9
M3 0.5 1.5
M4 0.7 2
M5 0.8 2.5
M6 1 3
M8 1.25 4
M10 1.5 5

イモネジ規格の先端形状4種類と特性分析

イモネジ規格では先端形状によって4つのタイプが規定されており、それぞれ異なる締結特性と用途があります。
🔹 平先(Flat Point)

  • 特徴:先端が完全に平面状
  • 適用場面:繰り返し使用する箇所、対象物を傷つけたくない場合
  • 接触面積:最大の面接触により分散荷重を実現
  • 締結力:中程度だが安定性が高い

🔹 とがり先(Cone Point)

  • 特徴:円錐状の尖った先端(90°または120°の角度)
  • 適用場面:永久固定、緩み防止が重要な箇所
  • 食い込み力:最も強力で確実な固定が可能
  • 注意点:相手材への損傷リスクあり

🔹 棒先(Dog Point)

  • 特徴:ねじ径の約半分の長さの円筒部を持つ
  • 適用場面:位置決め、キーの代替、軸方向の位置決め
  • 精度:高精度な位置決めが可能
  • 強度:せん断力に対して高い抵抗力

🔹 くぼみ先(Cup Point)

  • 特徴:先端が凹状にくぼんだ形状
  • 適用場面:一般的な固定作業、最も汎用的
  • バランス:適度な固定力と取り外し易さを両立
  • 普及率:イモネジの中で最も多く使用される標準形状

イモネジ規格サイズと六角穴対応表

イモネジ規格では、ねじの呼び径に対応した六角穴のサイズが厳密に規定されており、適切な工具選択が締結品質に直結します。
標準サイズ対応表(JIS B1177準拠)

ねじの呼び 六角穴の呼び(mm) 使用工具(六角レンチ) 呼び長さ範囲(mm)
M1.6 0.7 0.7mm 2~8
M2 0.9 0.9mm 2~10
M3 1.5 1.5mm 3~16
M4 2 2mm 4~20
M5 2.5 2.5mm 5~25
M6 3 3mm 6~30
M8 4 4mm 8~40
M10 5 5mm 6~50

六角穴精度の重要性
六角穴の寸法精度は±0.05mm以内で管理されており、工具とのがたつきを最小限に抑えることで、締付トルクの正確な伝達と六角穴の摩耗防止を実現しています。
特殊サイズへの対応
標準規格外のサイズについても、M1.4からM24を超える大径まで製作可能であり、特に建築用途では現場の要求に応じたカスタムサイズの需要が増加傾向にあります。

イモネジ規格の建築現場における実用的選択基準

建築現場でのイモネジ規格選択では、構造部材の特性、環境条件、施工性を総合的に判断する必要があります。
🏗️ 構造用鋼材への適用

  • H形鋼の接合部:M8~M12のくぼみ先を使用
  • 角パイプの位置決め:M6のとがり先で確実固定
  • 鉄骨建方時の仮締結:M10の平先で繰り返し使用に対応

🔩 コンクリート関連工事

  • 型枠固定金具:ステンレス製M8くぼみ先で腐食対策
  • 埋込金物の位置調整:M6棒先で精密な位置決め実施
  • プレキャスト部材:M10平先で表面損傷を防止

⚡ 設備工事での特殊用途
建築設備工事では、配管支持金具や電気設備の固定において、従来は一般的でなかった独自の使用法が確立されています。例えば、天井裏の狭小空間では、通常のボルト・ナット締結が困難なため、M6のイモネジを支持材に直接締め込む工法が採用されています。

 

この手法では、支持材に下穴を開け、イモネジのねじ切り効果を利用して確実な固定を実現。特に空調ダクトの支持において、±2mm以内の位置精度を維持しながら、1本あたり500N以上の支持力を発揮することが実証されています。

 

🌡️ 環境対応と材質選択

  • 屋外使用:SUS316製で塩害対策を実施
  • 高温環境:耐熱鋼材質で200℃まで対応可能
  • 化学工場:ハステロイ製で特殊ガス環境に適用

イモネジ規格による強度計算と安全率設定方法

イモネジ規格の強度設計では、軸力、せん断力、引張強さを考慮した総合的な評価が必要であり、建築基準法に準拠した安全率の設定が重要です。
基本強度計算式

  • 軸方向引張強さ:Ft = π × (d-0.938P)² × σt / 4
  • せん断強さ:Fs = π × d² × τs / 4
  • ここで、d:ねじの呼び径、P:ピッチ、σt:引張強さ、τs:せん断強さ

材質別強度特性

材質分類 引張強さ(N/mm²) 降伏点(N/mm²) 安全率
SCM435 900以上 700以上 4.0
SUS304 520以上 205以上 3.5
SUS316 520以上 205以上 3.5
A286 965以上 550以上 4.5

実用荷重での安全性確保
建築現場での実際の使用では、静的荷重に対して安全率3.0以上、動的荷重(風荷重、地震荷重)に対して安全率4.0以上を確保することが推奨されています。

 

M8のイモネジ(SCM435製)の場合、理論破断荷重が約25kNに対し、許容荷重を6.25kN以下に設定することで、長期間にわたる安全性を担保できます。

 

締付トルク管理基準
適正な締付トルクは、ねじの降伏点の70%相当として設定し、トルクレンチによる管理を実施します。

  • M6:8~12 N・m
  • M8:18~25 N・m
  • M10:35~50 N・m
  • M12:60~85 N・m

この管理により、ねじ山の損傷を防ぎつつ、必要な軸力を確保できます。
建築現場での品質管理では、初回締付後24時間経過時点での再締付確認を実施し、初期緩みによる軸力低下を防止する作業手順が確立されています。