

イモネジ規格は主にJIS B1177(日本工業規格)とISO 4026(国際標準化機構規格)によって定められており、六角穴付き止めねじの形状・寸法・品質要件を規定しています。
JIS B1177-2007の規格詳細
ISO 4026規格との互換性
JIS規格とISO規格は、ねじのサイズ(d)、ピッチ(P)、六角穴(S)の大きさが完全に一致しており、JIS規格はISO規格に合わせて制定されています。これにより国際的な部品調達において規格の統一性が確保されています。
| ねじの呼び | ピッチ(P) | 六角穴(S) |
|---|---|---|
| M1.6 | 0.35 | 0.7 |
| M2 | 0.4 | 0.9 |
| M3 | 0.5 | 1.5 |
| M4 | 0.7 | 2 |
| M5 | 0.8 | 2.5 |
| M6 | 1 | 3 |
| M8 | 1.25 | 4 |
| M10 | 1.5 | 5 |
イモネジ規格では先端形状によって4つのタイプが規定されており、それぞれ異なる締結特性と用途があります。
🔹 平先(Flat Point)
🔹 とがり先(Cone Point)
🔹 棒先(Dog Point)
🔹 くぼみ先(Cup Point)
イモネジ規格では、ねじの呼び径に対応した六角穴のサイズが厳密に規定されており、適切な工具選択が締結品質に直結します。
標準サイズ対応表(JIS B1177準拠)
| ねじの呼び | 六角穴の呼び(mm) | 使用工具(六角レンチ) | 呼び長さ範囲(mm) |
|---|---|---|---|
| M1.6 | 0.7 | 0.7mm | 2~8 |
| M2 | 0.9 | 0.9mm | 2~10 |
| M3 | 1.5 | 1.5mm | 3~16 |
| M4 | 2 | 2mm | 4~20 |
| M5 | 2.5 | 2.5mm | 5~25 |
| M6 | 3 | 3mm | 6~30 |
| M8 | 4 | 4mm | 8~40 |
| M10 | 5 | 5mm | 6~50 |
六角穴精度の重要性
六角穴の寸法精度は±0.05mm以内で管理されており、工具とのがたつきを最小限に抑えることで、締付トルクの正確な伝達と六角穴の摩耗防止を実現しています。
特殊サイズへの対応
標準規格外のサイズについても、M1.4からM24を超える大径まで製作可能であり、特に建築用途では現場の要求に応じたカスタムサイズの需要が増加傾向にあります。
建築現場でのイモネジ規格選択では、構造部材の特性、環境条件、施工性を総合的に判断する必要があります。
🏗️ 構造用鋼材への適用
🔩 コンクリート関連工事
⚡ 設備工事での特殊用途
建築設備工事では、配管支持金具や電気設備の固定において、従来は一般的でなかった独自の使用法が確立されています。例えば、天井裏の狭小空間では、通常のボルト・ナット締結が困難なため、M6のイモネジを支持材に直接締め込む工法が採用されています。
この手法では、支持材に下穴を開け、イモネジのねじ切り効果を利用して確実な固定を実現。特に空調ダクトの支持において、±2mm以内の位置精度を維持しながら、1本あたり500N以上の支持力を発揮することが実証されています。
🌡️ 環境対応と材質選択
イモネジ規格の強度設計では、軸力、せん断力、引張強さを考慮した総合的な評価が必要であり、建築基準法に準拠した安全率の設定が重要です。
基本強度計算式
材質別強度特性
| 材質分類 | 引張強さ(N/mm²) | 降伏点(N/mm²) | 安全率 |
|---|---|---|---|
| SCM435 | 900以上 | 700以上 | 4.0 |
| SUS304 | 520以上 | 205以上 | 3.5 |
| SUS316 | 520以上 | 205以上 | 3.5 |
| A286 | 965以上 | 550以上 | 4.5 |
実用荷重での安全性確保
建築現場での実際の使用では、静的荷重に対して安全率3.0以上、動的荷重(風荷重、地震荷重)に対して安全率4.0以上を確保することが推奨されています。
M8のイモネジ(SCM435製)の場合、理論破断荷重が約25kNに対し、許容荷重を6.25kN以下に設定することで、長期間にわたる安全性を担保できます。
締付トルク管理基準
適正な締付トルクは、ねじの降伏点の70%相当として設定し、トルクレンチによる管理を実施します。
この管理により、ねじ山の損傷を防ぎつつ、必要な軸力を確保できます。
建築現場での品質管理では、初回締付後24時間経過時点での再締付確認を実施し、初期緩みによる軸力低下を防止する作業手順が確立されています。