iso9001認証とは建設業の品質管理と経審加点の仕組み

iso9001認証とは建設業の品質管理と経審加点の仕組み

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ISO9001認証とは建設業の品質管理と経審加点の仕組み

本社だけでISO9001を取ると、経審で1点も加点されません。


この記事の3つのポイント
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ISO9001認証とは何か

品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格。製品そのものではなく「良い品質を継続的に生み出す仕組み」が認められていることの証明です。

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建設業でのメリット

経審(経営事項審査)のW点で最大10点加点。公共工事の入札で有利になり、大手ゼネコンとの取引条件を満たす可能性が高まります。

⚠️
知らないと損する落とし穴

「本社だけ取得」「1事業所だけ取得」では経審加点の対象外。認証範囲の設定を誤ると、費用をかけても加点ゼロになります。


ISO9001認証とは何か|品質マネジメントシステムの基礎知識


ISO9001認証とは、国際標準化機構(ISO)が定めた品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格のことです。ISOはスイスのジュネーブに本部を置く非政府組織で、電気・電子分野を除く産業全般の国際標準を策定しています。


誤解されやすいのですが、ISO9001は「製品そのものの品質」を保証するものではありません。「顧客が満足する品質のものを、継続的に生み出し続けるための社内体制(仕組み)」が適切に構築・運用されていることを第三者機関が認証するものです。つまり仕組みの話です。


規格の現行バージョンはISO9001:2015(2015年版)です。この版では「リスクに基づく考え方」が新たに強調され、問題が起きてから対処するのではなく、事前にリスクを予測して先手を打つことが求められるようになりました。


ISO規格の主な種類を整理すると次のとおりです。


| 規格番号 | 名称 | 目的 |
|---|---|---|
| ISO9001 | 品質マネジメントシステム(QMS) | 製品・サービスの品質向上と顧客満足 |
| ISO14001 | 環境マネジメントシステム(EMS) | 環境負荷の低減・環境リスクの管理 |
| ISO45001 | 労働安全衛生マネジメントシステム | 職場の安全・健康リスクの管理 |
| ISO27001 | 情報セキュリティマネジメントシステム | 情報資産の保護 |


建設業に特に関係が深いのは、ISO9001・ISO14001・ISO45001の3つです。建設現場では品質・環境・安全が三位一体で求められるため、これらをセットで取得する企業も増えています。


日本品質保証機構(JQA)|ISO9001の概要と認証取得の効果


ISO9001認証とは建設業でなぜ重要か|経審加点と入札への影響

建設業でISO9001認証の取得が急速に広まったのは、2000年代初頭に国土交通省が経営事項審査(経審)の加点対象としたことがきっかけでした。それ以降、公共工事の受注を目指す建設会社にとって、ISO9001は「取っておくべきもの」として定着していきます。


経審の加点がどれほど重要かというと、ISO9001単独で5点、ISO14001と合わせると最大10点がW点(社会性等)に加算されます。経審点の10点差は、規模の小さい会社ほど入札参加ランクを左右する大きな差になり得ます。


| 取得規格 | 加点数(W点) |
|---|---|
| ISO9001のみ | 5点 |
| ISO14001のみ | 5点 |
| ISO9001+ISO14001両方 | 10点 |


ここで多くの建設会社が見落としているのが、加点対象になるための条件です。ISO認証は「会社全体として、認証範囲に建設業が含まれていること」が必要です。本社だけで取得し、支店・営業所がある場合は加点されません。また、1事業所だけ取得していても加点対象外です。ただし、事業所単位の取得であっても全事業所で取得していれば、会社全体で取得しているとみなされます(出典:ワイズ公共データシステム 経営状況分析Q&A)。


ワイズ公共データシステム|経営事項審査Q&A(ISO認証の加点要件を確認できます)


経審加点以外にも、総合評価落札方式では技術評価点でもISO取得が加点要素になるケースがあります。一部の自治体では入札参加の条件にISO取得を求めることもあります。さらに、大手ゼネコンの協力会社登録で事実上ISO取得が前提条件になっているケースも珍しくありません。これが大きなメリットです。


ISO9001認証とは品質マネジメントシステムをどう構築するか|7原則とPDCAサイクル

ISO9001が要求するQMSの根幹には、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act)の考え方があります。1回うまくいけば終わりではなく、このサイクルを継続的に回し続けることが規格の本質です。


建設業でのPDCAサイクルを具体的なイメージで示すと次のとおりです。


- Plan(計画): 工事着手前に品質目標・施工計画書を策定する
- Do(実行): 計画に基づいて施工し、記録をとる
- Check(評価): 施工状況や検査結果を確認し、クレームや不具合を記録・分析する
- Act(改善): 見つかった問題点を次の現場の計画に反映させる


このサイクルが回っていない会社は多いです。


QMSを支える7つの原則も押さえておきましょう。


| 原則 | 建設業での意味 |
|---|---|
| ①顧客重視 | 施主・発注者の要求事項を正確に把握し、それ以上の品質を届ける |
| ②リーダーシップ | 経営者が品質方針を明確に示し、現場に浸透させる |
| ③人々の積極的参加 | 職人・現場スタッフ全員が品質向上に当事者として関わる |
| ④プロセスアプローチ | 設計→施工→検査→引き渡しの各工程を一連のプロセスとして管理する |
| ⑤改善 | クレームや不具合情報を次の現場改善につなげる |
| ⑥客観的事実に基づく意思決定 | 勘や経験だけでなく、データ・記録に基づいて判断する |
| ⑦関係性管理 | 下請け・協力会社を含むサプライチェーン全体で品質を管理する |


建設業は多数の協力会社・下請企業と連携する業種です。7番目の「関係性管理」の原則は、現場品質のばらつきを防ぐ上で特に重要です。ISO9001はこれが基本です。


Civil-web|ISO9001:2015の要求事項と7原則をわかりやすく解説


ISO9001認証とは取得の流れと費用|建設業での現実的な目安

ISO9001の認証取得は、準備から認証書発行まで一般的に6ヶ月〜1年程度かかります。段階的に進めるため、焦らず計画を立てることが重要です。


主なステップを順に示します。


1. 体制構築・現状分析(1〜2ヶ月): 推進チームの編成、ISO9001の要求事項と自社の現状とのギャップ分析を行います
2. 文書作成・システム構築(2〜4ヶ月): 品質方針・品質目標を策定し、品質マニュアルや業務手順書を整備します。既存の施工計画書をそのまま活用できる場合も多いです
3. 運用・内部監査(2〜3ヶ月): 実際にQMSを運用し記録を蓄積。社内の監査員が自組織をチェックする「内部監査」を実施します
4. マネジメントレビュー: 経営者がQMSの運用状況を正式にレビューし、改善方針を決定します
5. 審査・認証取得(1〜2ヶ月): 第一段階(文書審査)→第二段階(現地審査)を経て認証書が発行されます


費用の目安は次のとおりです。


| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| コンサルティング費用 | 50〜200万円(自社対応なら不要) |
| 審査費用(初回) | 50〜100万円 |
| 維持審査費用(年1回) | 20〜50万円/年 |
| 更新審査費用(3年ごと) | 40〜80万円 |


従業員50名規模の建設会社では、初年度に100〜300万円程度、維持費は年間30〜60万円程度が目安です。コストは決して安くありません。


ただし、自治体によってはISO取得費用の補助金・助成金制度を設けているところがあります。例えば東京都江東区ではISO9001取得に50万円の補助制度があります。まず所在地の都道府県・市区町村の窓口や、中小機構のJ-Net21で補助制度を確認してみることをおすすめします。


中小機構 J-Net21|ISO取得費用を補助する地方公共団体の制度について


ISO9001認証とは建設業ならではの運用成功のポイント|形骸化させない独自視点

実は建設業でISO9001が形骸化しやすい構造的な理由があります。ISO9001はもともと製造業向けに設計された規格です。製造業では同じ作業が工場内で繰り返されますが、建設業は現場が毎回異なり、職種も協力会社も変わります。そのため、製造業向けのテンプレートをそのまま流用すると、現場の実態と乖離した書類だけが増える「重いISO」になりがちです。


「ISO9001を取得したものの、現場の負担ばかり増えて、ただの書類仕事になってしまっている」という声は業界内で多く聞かれます。痛いですね。


形骸化を防ぐために有効な3つのアプローチを紹介します。


① 既存書類の活用(スリム化)


施工計画書・品質記録・工事写真など、現場ですでに作成している書類をQMSの記録として位置づけます。新たに「ISO用の書類」を作らず、現行業務に ISO の要求事項を当てはめる発想です。文書量を最小限に抑えることが原則です。


② 現場の声を取り込んだシステム構築


経営陣が一方的に作ったルールは現場で守られません。手順書や管理基準を作るときは、実際に現場で作業する職長・担当者からヒアリングを行い、「現場で実際に使えるか」を確認してから文書化します。


③ 内部監査を「摘発」ではなく「改善のヒント探し」にする


内部監査が「粗探し」「欠点の指摘」になると、現場からの反発を招きます。内部監査の目的は不適合の摘発ではなく、PDCAサイクルを正しく回すための改善点を見つけることです。「こうすればもっとうまくいく」という前向きな姿勢で実施することが大切です。


建設業に精通したISOコンサルタントに支援を依頼するのも有効な選択肢の一つです。汎用テンプレートでは対応しにくい現場ごとの業務プロセスや、工事種別ごとの施工管理体制を踏まえたシステム構築のアドバイスを受けられます。コンサル費用は50〜200万円程度かかりますが、社内工数の大幅削減と認証維持コストの低減につながるため、トータルで見ると合理的な判断になる場合があります。これは使えそうです。


ISOプロ|建設業でISO認証取得・運用を成功させるポイントと事例




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