

モルタル接着増強剤は、現場での呼び名はいろいろでも、整理すると「セメント混和用ポリマー(ポリマーディスパージョン等)」を使ってモルタル側の性能を上げる材料、という位置付けになります。
つまり目的は“下地にくっつけるための小細工”だけではなく、モルタル自体の結合力・保水性・収縮挙動などを底上げして、施工後の不具合リスクを下げることです。
ここで重要なのが、使い方が大きく2系統ある点です。
例えば、メーカー資料では「混入・塗布」両方で接着力を発揮し、さらに保水性でドライアウト防止にも寄与する、という整理が明確に書かれています。
改修・補修で「既存下地に新しいモルタルをのせる」場面は、まさにこの2系統を現場条件で組み合わせるのが王道になります。
カチオンとは陽イオン(プラスの電気性質)で、下地のコンクリートやモルタルが帯びやすい性質(アニオン側)と引き合うことで、密着性を得る考え方が説明されています。
メーカー資料でも、カチオン系アクリル樹脂エマルジョンが「砂・セメントと静電気的に引き合って、下地と強く接着する」趣旨が明記されています。
この“電気的に引き合う”説明は、現場での納まりに落とすと、次のように解釈すると使い分けが楽になります。
特に改修は「下地が悪い」のではなく「下地がバラバラ」なことが多いので、カチオン系=万能、と決め打ちせず、混入と塗布の役割を分けて考えるほうが事故が減ります。takasho-kenzai.shop-pro+1
塗布工法は、単に“のり”として塗るのではなく、下地の吸水を整えてドライアウト(硬化不良)を防ぐ狙いが大きい、と解説されています。
ドライアウトは下地の急激な吸水だけでなく、直射日光や強風などで急乾燥して収縮クラックを誘発する、という現場あるあるも指摘されています。
塗布で効かせるために、段取りで効くポイントは次の通りです。
意外に見落とされがちなのは、「接着増強材=何でもシーラー代わり」ではない点です。
左官系のコラムでは、後から塗り付けるセメントモルタルの付着性が良くないことから“樹脂そのものを吸水調整剤(シーラー)としては使用されない”という注意が書かれており、材料の立ち位置を誤解しないのが重要です。
参考)https://takasho-kenzai.shop-pro.jp/?pid=130963488
下地処理・吸水調整の考え方(ドライアウトやクラックの原因整理が有用)
https://machiken-pro.jp/shop/pages/column030.aspx
配合は製品ごとに指定があるため、基本はメーカーの標準調合と使用量を守り、現場で“勝手に濃くする・薄くする”を避けるのが鉄則です。
例として、カチオン系モルタル接着増強剤の資料では、混入(樹脂モルタル等)・塗布(希釈倍率)それぞれの標準調合例と、施工面積の目安が具体的に示されています。
注意点は「材料の性能」より「使える条件」が効きます。
現場での“あるある事故”としては、下地清掃が甘いまま塗布→一見くっつくが、後日「界面でペリッ」と剥がれるパターンです。
このタイプは材料選定より前処理で決まるので、「レイタンス・油分・ゴミ除去」「前日水洗い」まで指示されている点を、仕様として現場に落とすのが効果的です。
検索上位の解説は「密着が強い」「改修に便利」で止まりがちですが、実務では“不具合が出たときに原因を切り分けられるか”が価値になります。
そこで、カチオン系左官接着増強材を使っていても起きる不具合を、原因別に分けて潰す視点を持つと、上司チェックでも説明が通りやすくなります。
よくある不具合と、疑う順番(入れ子なし)
また、意外と盲点なのが「塗布で“吸水調整”したつもりが、吸水の激しい下地に対して塗り回数が足りず、結局水を持っていかれる」ケースです。
メーカー資料には、吸水の激しい下地は希釈液を2度塗りする指示があるため、“吸水の強さ”を施工条件として見える化(散水テスト、試し塗り)するだけでも、事故率が下がります。