
型枠足場の寸法規格は、歴史的経緯によりインチサイズとメーターサイズの2種類が併存しています。枠組足場が当初アメリカから輸入されたため、最初はインチ規格が主流でした。その後、国内でメーター規格の足場が開発され、現在では両方の規格が市場に流通しています。
インチサイズの主要寸法
メーターサイズの主要寸法
注意すべき点は、同じ枠組足場でも規格が異なる部材を混在させて使用することはできないことです。見た目では区別が困難なため、実際に寸法を計測して確認する必要があります。調達時には必ず規格を統一し、部材管理を徹底することが重要です。
通常、600枠や900枠と呼ばれるサイズは、この部分の小口(こぐち)のサイズを指しています。1スパン、2スパンという単位は長さ方向を示す単位で、基本は1800mmですが、それより短い部材を使用する場合でも同じスパン単位を使用します。
建枠は型枠足場の基本構造体であり、標準的な高さは1.8メートルや2メートルが採用されています。建枠の幅は通常1メートルで、作業員が安全に通行できるスペースが確保されています。
標準建枠の寸法仕様(インチサイズ)
品番 | 幅(mm) | 高さ(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|
A-4064 | 1219 | 1700 | 20.5 |
A-4055B | 1219 | 1700 | 15.6 |
A-3055A | 914 | 1700 | 13.6 |
調整枠の寸法仕様(インチサイズ)
品番 | 幅(mm) | 高さ(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|
A-405 | 1219 | 1524 | 16.7 |
A-304T | 914 | 914 | 13.5 |
A-402T | 1219 | 610 | 12.5 |
A-417 | 610 | 490 | 9.1 |
メーターサイズ建枠の主要仕様
品番 | 幅(mm) | 高さ(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|
VF-1219 | 1200 | 1900 | 22.9 |
VF-1217 | 1200 | 1700 | 18.0 |
VF-0917 | 900 | 1700 | 15.7 |
調整枠は高さが490mm、914mm、1219mm、1524mmの種類があり、幅は610mm、914mm、1219mmの3種類が基本となっています。調整枠は最下段でも使用可能で、地面の不陸や高さ調整に重要な役割を果たします。
建枠で20種、足場板で10種程度の種類から組み合わせができるため、様々な高さに対応が可能です。設置時は基本的に工具は不要ですが、部材によってはラチェットなどを使用することもあります。
布板(鋼製足場板)は作業員の安全な作業面を確保する重要な部材です。布板の幅は約0.9メートルから1メートル、長さは一般的に2メートルや3メートルの規格が多く用いられており、足場内での作業の快適さと安全性を考慮して決められています。
鋼製足場板(幅500mm)の寸法仕様
品番 | 長さ(mm) | 幅(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|
FSHR-1805R | 1829 | 500 | 15.0 |
FSHR-1505R | 1524 | 500 | 13.0 |
FSHR-1205R | 1219 | 500 | 11.0 |
FSHR-905R | 914 | 500 | 10.0 |
FSHR-605R | 610 | 500 | 7.5 |
鋼製足場板(幅240mm)の寸法仕様
品番 | 長さ(mm) | 幅(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|
FSHR-1802R | 1829 | 240 | 8.5 |
FSHR-1502R | 1524 | 240 | 7.5 |
FSHR-1202R | 1219 | 240 | 6.5 |
FSHR-902R | 914 | 240 | 5.5 |
枠幅に応じた布板の組み合わせは以下の通りです。
ジャッキベースの寸法仕様
ジャッキベース(支台)は地面の不均衡を補正し、足場全体の安定性を確保する重要な部材です。調整可能な高さを持ち、通常は30センチから1メートル程度の範囲内で高さを調整できます。
品番 | タイプ | 調整範囲(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|
JP-45 | 標準ジャッキベース | 345 | 2.7 |
FUJ-35 | 自在ジャッキベース | 350 | 5.6 |
自在ジャッキベースは方向調整も可能で、傾斜地での設置に適しています。標準的な調整範囲は345~350mm程度ですが、特殊用途向けにより大きな調整範囲を持つ製品も存在します。
筋交(ブレス)は作業員の落下防止や足場のぐらつき防止のため、枠組足場には必ず設置される部材です。それぞれの枠と足場板に対応する約20種類が存在し、適切な選定が安全性確保の鍵となります。
筋交の適合寸法一覧(インチサイズ)
品番 | 適合スパン幅(mm) | 建枠高さ(mm) | 全長(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|---|
FX-1812P | 1829 | 1700 | 2198 | 4.0 |
FX-1809P | 1829 | 1219 | 2045 | 3.7 |
FX-1512P | 1524 | 1700 | 1952 | 3.6 |
FX-1212P | 1219 | 1700 | 1724 | 3.2 |
FX-909P | 914 | 1219 | 1293 | 2.4 |
FX-606P | 610 | 914 | 863 | 1.7 |
スパン別適合筋交の選定表
建枠高さ | 1829mm | 1524mm | 1219mm | 914mm | 610mm |
---|---|---|---|---|---|
H1700用 | FX-1812P | FX-1512P | FX-1212P | FX-1209P | FX-1206P |
H1219用 | FX-1809P | FX-1509P | FX-1209P | FX-909P | FX-906P |
H914用 | FX-1806P | FX-1506P | FX-1206P | FX-906P | FX-606P |
H490用 | FX-1802P | FX-1502P | FX-1202P | FX-902P | FX-602P |
連結ピンの仕様
品番 | タイプ | 重量(kg) |
---|---|---|
PNR-3Z | オートジョイントタイプ | 0.5 |
PN-YA | Yタイプ(アームロックレス) | 0.6 |
連結ピンは建枠同士を確実に接続するための部材で、オートジョイントタイプは作業効率を重視した設計、Yタイプは確実な固定を重視した設計となっています。現場の作業条件や安全要件に応じて適切なタイプを選定することが重要です。
筋交の選定時は、建枠の高さとスパン幅の組み合わせを正確に把握し、対応する品番を選択する必要があります。不適切な筋交の使用は足場の安定性を損ない、重大な事故につながる可能性があります。
型枠足場の選定と寸法管理は、安全性確保と作業効率向上の両面で極めて重要です。労働安全衛生法に基づく安全基準を満たしながら、現場条件に最適な仕様を選定する必要があります。
寸法管理の重要ポイント
🔸 規格統一の徹底
インチサイズとメーターサイズの混在は絶対に避けなければなりません。部材調達時には規格を明確に指定し、現場での受入検査で寸法を実測確認することが必要です。特に中古部材を使用する場合は、規格の確認を怠らないよう注意が必要です。
🔸 積載荷重と寸法の関係
枠組式型枠支保工に用いる建枠は、標準枠(幅900~1219mm)を使用し、拡幅枠や簡易枠等は使用しません。建枠を支保工に用いる場合、建枠の横架材には所定の荷重制限があります。
🔸 高さ調整の限界値
ジャッキベースの調整範囲は通常30~100cm程度ですが、過度な調整は安定性を損ないます。地盤の不陸が大きい場合は、整地による対応も併せて検討する必要があります。
安全基準との適合性
型枠足場設置時の安全基準では、以下の寸法要件が定められています。
これらの基準を満たすためには、建枠幅、布板寸法、手すり部材の適切な組み合わせが不可欠です。特に狭小地での作業では、最小限の幅で安全基準を満たす仕様の検討が重要となります。
コスト最適化のための寸法選定
部材の重量は運搬コストや作業効率に直結します。例えば、建枠VF-1219(22.9kg)と建枠A-4055B(15.6kg)では7kg以上の差があり、大量使用時にはクレーン能力や作業時間に大きく影響します。
また、標準的な寸法の部材ほど汎用性が高く、他現場での転用も容易です。特殊寸法の部材は初期コストが高く、在庫管理も複雑になるため、標準規格での対応可能性を十分検討することが重要です。
現場条件、安全要件、コスト、工期を総合的に評価し、最適な寸法仕様を選定することで、安全で効率的な型枠足場システムを構築できます。定期的な寸法チェックと部材管理により、長期にわたって安定した性能を維持することが可能です。