受入検査コンクリートの基準と合否判定の全手順

受入検査コンクリートの基準と合否判定の全手順

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受入検査コンクリートの基準・手順・判定を完全解説

スランプ試験で規定値内でも、受入検査全体では不合格になる場合があります。


🔍 この記事の3つのポイント
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受入検査の目的と法的根拠

JIS A 5308およびJASS 5に基づいた受入検査の意義と、施工者が負う品質管理責任を解説します。

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各試験の基準値と判定方法

スランプ・空気量・塩化物含有量・圧縮強度試験それぞれの許容差と合否判定の具体的な数値を整理します。

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不合格時の対応と記録管理

受入検査で不合格となった場合の処置手順と、後工程トラブルを防ぐための記録・報告のポイントを紹介します。


受入検査コンクリートの目的と法的根拠を正しく理解する

コンクリートの受入検査は、生コン工場から搬入されたフレッシュコンクリートが、設計図書や発注仕様に定められた品質を満たしているかを確認するための工程です。単なる「慣習的な確認作業」ではなく、建設現場における品質管理の起点として法的・規格的な根拠を持つ重要な作業です。


根拠となる規格・基準として代表的なものは以下のとおりです。


- JIS A 5308(レディーミクストコンクリート):生コンクリートの品質規格の根拠となるJIS規格で、受入検査の試験方法・基準値が定義されています。


- JASS 5(鉄筋コンクリート工事):日本建築学会が定める工事標準仕様書。受入検査の実施タイミングや記録義務が詳細に記されています。


- 建設工事施工管理基準:国土交通省の管理基準であり、公共工事での検査頻度や記録の提出義務に関して定めています。


つまり受入検査の実施は任意ではありません。


特に公共工事では、受入検査記録の提出が契約上の義務となっており、記録の不備は工事代金の支払い保留や手直し指示につながることがあります。民間工事においても、施主から品質保証を求められた際に受入検査記録が証拠能力を持ちます。


「生コン工場がJIS認定を取得しているから検査は省略できる」と思っている現場担当者は少なくありません。しかし、JIS認定はあくまで工場の品質管理体制を認証したものであり、搬入された個別のコンクリートが規定値を満たしているかどうかは、現場での受入検査によってのみ確認できます。これは重要な点です。


現場で受入検査を適切に実施することで、後工程での強度不足・ひび割れ・中性化促進といったリスクを未然に防ぐことができます。これが条件です。


JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規格詳細 – 日本産業標準調査会(JISC)


受入検査コンクリートのスランプ試験・フロー試験の基準値と判定方法

スランプ試験は、フレッシュコンクリートのコンシステンシー(流動性・軟らかさ)を測定する試験です。スランプコーンにコンクリートを充填し、引き抜いた後の沈下量をcm単位で測定します。


判定の基準は指定スランプ値に対する「許容差」で決まります。


| 指定スランプ (cm) | 許容差 (cm) |
|---|---|
| 5 | ±1 |
| 8以上18以下 | ±2.5 |
| 21 | ±1.5 |


数字で見るとわかりやすいですね。


たとえば設計スランプが12cmの場合、9.5cm〜14.5cmの範囲であれば合格です。これが原則です。ただし、購入者(施工者)と生産者(生コン工場)の間で特別に合意した場合は、この許容差が変わることがあります。


スランプフロー試験は、流動性の高い高流動コンクリートや自己充填コンクリート(SCC)に適用されます。スランプコーンを引き抜いた後に広がった直径(2方向の平均値)を測定し、指定フロー値に対して±7.5cmが許容範囲とされています。これだけ覚えておけばOKです。


試験のタイミングについては、JASS 5では150m³ごと、または打設日ごとに1回以上の実施が求められています。しかし、重要度の高い部位や、搬入ロットが変わった際には随時追加で実施することが望ましいです。


スランプ試験の見落としやすいポイントがあります。試料の採取は、コンクリートを荷卸しした直後から測定開始までを5分以内、測定開始から終了までを3分以内に完了させる必要があります。時間超過は試験の有効性に影響するため、手順と時間管理を同時に把握しておくことが大切です。


コンクリート受入検査の詳細手順と試験方法の解説 – 建築技術関連情報(参考)


受入検査コンクリートの空気量・塩化物含有量の測定と合否判定

空気量試験は、フレッシュコンクリートに含まれる気泡の割合を体積パーセントで測定するものです。コンクリートの耐凍害性や施工性(ワーカビリティー)に直結するため、見た目だけでは判断できない重要な項目です。


JIS A 5308における空気量の規定値と許容差は以下のとおりです。


| コンクリートの種類 | 空気量 (%) | 許容差 (%) |
|---|---|---|
| 普通コンクリート | 4.5 | ±1.5 |
| 軽量コンクリート | 5.0 | ±1.5 |
| 舗装コンクリート | 4.5 | ±1.5 |
| 高強度コンクリート | 指定値による | ±1.5 |


厳しいところですね。


空気量が多すぎると圧縮強度が低下します。一般に空気量が1%増加するごとに、圧縮強度が約4〜6%低下するとされています。逆に空気量が少なすぎると耐凍害性が損なわれ、寒冷地での劣化が早まります。両方向のリスクがある点を理解しておく必要があります。


塩化物含有量試験は、コンクリート中の塩化物イオン濃度を測定するものです。塩化物イオンが過剰に含まれると、鉄筋の発錆・腐食を促進させ、構造耐久性を著しく低下させます。


JIS A 5308の基準では、塩化物イオン量は0.30 kg/m³以下が原則です。ただし、購入者の承認があれば0.60 kg/m³以下まで認められます。これが条件です。


試験方法は、カチオン電極法や硝酸銀滴定法が現場でよく使われます。近年は簡易型のデジタル測定器も普及しており、5分程度で現場測定できる製品も増えています。測定精度と測定速度のバランスを考慮した機器選定が実務上のポイントになります。


意外なのは、海砂を使用していなくてもセメント由来・混和剤由来の塩化物が基準値に影響することがある点です。原材料ごとの塩化物含有量を事前に把握しておくと、搬入前に予測値を計算できます。これは使えそうです。


受入検査コンクリートの圧縮強度試験における供試体採取と判定基準

圧縮強度試験は、受入検査の中で最も重要度が高い試験のひとつです。ただし他の試験と異なり、結果が出るまでに材齢28日間を要するため、搬入当日に合否を確定できない試験でもあります。


供試体の採取・管理・試験に関するJASS 5の規定は以下のとおりです。


- 採取頻度:1回の試験につき3本の円柱供試体(直径100mm×高さ200mm)を採取
- 養生方法:標準養生(温度20±2℃の水中養生)または現場水中養生
- 試験材齢:材齢28日(設計基準強度の確認)が基本。初期強度確認には材齢7日も実施
- 判定基準:3本の平均値が呼び強度の85%以上、かつ各1本の試験値が呼び強度の75%以上


数字が細かいですね。


具体的な例を挙げると、呼び強度24 N/mm²のコンクリートであれば、3本平均が20.4 N/mm²以上、かつ最低1本が18.0 N/mm²以上であれば合格です。1本でも18.0 N/mm²を下回った場合は不合格となります。


現場で見落とされやすいのが供試体の養生管理です。採取直後の供試体を日光や乾燥にさらしたまま放置すると、強度試験の結果が実際のコンクリート強度より低く出ることがあります。採取後は速やかに断熱容器や湿布で保護し、翌日以降に適切な養生場所へ移動させることが必要です。これが基本です。


また、供試体の識別ラベル(打設日・部位・ロット番号など)の記入漏れは、後から品質トレーサビリティが取れなくなる原因です。1本ずつ現場で確実にラベリングする習慣が品質管理の精度を高めます。


一般社団法人日本コンクリート工学会(JCI)は、圧縮強度試験に関するガイドラインや技術情報を公開しており、判定基準の解釈で迷った際の参照先として有用です。


日本コンクリート工学会(JCI)公式サイト – コンクリートに関する技術情報・ガイドライン


受入検査コンクリートが不合格になったときの処置手順と記録管理

受入検査で不合格が判明したとき、現場はどう動けばよいのでしょうか?


焦りと時間的プレッシャーの中でミスが起きやすい場面です。事前に対応フローを把握しておくことが損失回避につながります。


不合格時の基本対応フロー


1. 打設の即時停止:不合格の判定が出た時点で、当該ロットの打設を止める
2. 生コン工場への連絡:配合・製造ロット・出荷記録の確認を依頼
3. 施工監理者・設計者への報告:口頭だけでなく書面での報告が必須
4. 追加試験の実施:同一ロットから採取した供試体がある場合は再試験で確認
5. コアサンプル採取(打設後):すでに打設済みの部分がある場合、現場コア抜きで実強度を確認
6. 処置方針の決定:補強・解体・追加確認試験のいずれかを関係者協議で決定


対応は迅速さが条件です。


ここで現場担当者が見落としやすいのが、「不合格後に何もせず打設を続けた」という事実が記録に残ることです。検査記録・打設日報・監督日誌などが後から精査された場合、不合格後の措置が不十分であれば施工者の責任が問われます。


記録管理については、受入検査の結果をリアルタイムで記録・管理できるタブレット対応の施工管理アプリが複数登場しています(例:建設MDB、土木王、Photoruction など)。これらのアプリは試験記録を写真と紐づけてクラウド保存できるため、提出書類の作成時間を大幅に削減できます。紙管理から移行することで検索性も高まります。


不合格対応の事例として、国土交通省の工事成績評定の観点でも、不合格発生後の「処置の妥当性」が評価項目に含まれています。不合格そのものより、その後の対応の質が評価を左右することを覚えておきましょう。これは意外ですね。


国土交通省 工事成績評定の運用と品質管理関連情報 – 国土交通省技術調査


受入検査コンクリートで現場担当者が見落としがちな独自視点の管理ポイント

一般的な解説記事ではあまり触れられない、実務レベルで見落とされやすい管理ポイントがあります。


荷卸し直後の温度確認が第一の盲点です。JIS A 5308では、コンクリートの練混ぜ開始から荷卸し完了までの時間は、原則として90分以内(アジテータ車による運搬の場合)と定められています。しかし炎天下では荷卸し時点のコンクリート温度が35℃を超えることがあり、温度が高いほどスランプロスが大きく、水セメント比が見かけ上変化したような状態になります。これが問題です。


JASS 5では、練混ぜ水の一部を氷で置き換えるなどの冷却対策を講じた場合でも、搬入時のコンクリート温度は35℃以下を上限としています。温度計による荷卸し温度の実測記録は、夏季施工で特に重要な確認項目です。


試料採取位置の違いによる誤差も実務上の盲点です。アジテータ車から採取する場合、放出初期(最初の20〜30%)と放出後半(最後の20〜30%)ではスランプ値や空気量に差が出ることが報告されています。JISでは中間部分(全体の20〜80%程度)から採取することを推奨していますが、急いでいる現場では放出初期に採取してしまうケースがあります。


さらに見落とされやすいのが、再振動の可否と受入検査の関係です。コンクリートが凝結し始める前であれば再振動によって強度低下なく気泡を抜くことができますが、受入検査で規定値内と判定されたコンクリートに対して現場で加水(水を加えること)を行うと、品質保証が完全に無効になります。これは1 L程度の加水でも影響が出る点が重要で、「少しくらいなら大丈夫」という認識が施工不良の原因になります。加水は厳禁です。


これらの視点は品質管理担当者として現場をリードするうえで差別化できる知識です。国土交通省や建築学会の技術資料に加え、実際の施工事例や不具合事例を収録した「コンクリートの施工不良事例集」(土木学会刊行)などを参照することで、実務への応用力をさらに高めることができます。


公益社団法人土木学会 出版物・技術図書一覧 – 施工管理・品質管理関連資料