コンセントボックス寸法一覧と選定基準

コンセントボックス寸法一覧と選定基準

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コンセントボックス寸法一覧

コンセントボックス寸法の基本知識
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JIS規格による標準寸法

中形四角102mm・大形四角119mmが基本規格

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深さによる分類

浅形44mm・深形54mm・浅々形35mmの3種類

用途別選定

配線器具の種類と設置環境に応じた最適な選択

コンセントボックス基本寸法規格一覧

コンセントボックスの寸法は、JIS規格により厳格に定められています。不動産工事において最も重要な基本寸法を整理すると、以下のような分類になります。

 

アウトレットボックスの標準寸法

  • 中形四角ボックス: 102mm × 102mm
  • 大形四角ボックス: 119mm × 119mm
  • 浅形: 深さ44mm(一般的な住宅用)
  • 深形: 深さ54mm(配線が多い箇所用)
  • 浅々形: 深さ35mm(薄壁用特殊仕様)

これらの寸法は、配線器具の取付けピッチや器具本体の大きさに直接影響するため、設計段階での正確な把握が不可欠です。特に集合住宅や商業施設では、統一性を保つため事前に寸法規格を決定しておく必要があります。

 

ノックアウト穴の標準寸法
電線管接続用のノックアウト穴径も規格化されており、使用する電線管に合わせて選定します。

  • φ21.5mm(VE16・VE14用)
  • φ27.1mm(VE22用)
  • φ34.0mm(VE28用)

ノックアウト穴の数も「2つ穴」「3つ穴」という分類があり、配線の分岐や将来の増設を考慮して選択します。

 

アウトレットボックス浅形深形寸法詳細

アウトレットボックスの深さ選定は、収納する配線器具や配線数により決定されます。実際の施工現場では、以下の基準で使い分けられています。

 

浅形(44mm)の適用場面

  • 一般住宅のコンセント・スイッチ
  • 薄壁構造での標準仕様
  • 配線数が少ない単純回路
  • 改修工事での制約がある箇所

浅形ボックスは最も汎用性が高く、住宅用配線器具の大部分に対応可能です。ただし、接地極付きコンセントやアースターミナル付きコンセントを使用する場合は、配線スペースに余裕を持たせる必要があります。

 

深形(54mm)の適用場面

  • 商業施設・オフィスビル
  • 複数回路の分岐箇所
  • 接地極付き・アースターミナル付きコンセント
  • 将来の配線増設を考慮した箇所

深形ボックスは、配線作業の効率化と安全性確保の観点から、電気工事士により推奨されるケースが多くなっています。特に200V回路やアース線を含む配線では、深形の使用が実質的に必要となります。

 

浅々形(35mm)の特殊用途
メーカー独自規格として存在する浅々形は、以下の特殊な状況で使用されます。

  • 鉄骨造の薄壁パネル内
  • 既存建物の改修での空間制約
  • デザイン性を重視した露出配線

露出形スイッチボックス寸法と取付け仕様

露出形配線器具用のボックスは、埋込み型とは異なる寸法体系を持ちます。神保電気の露出形配線器具を例に、詳細な寸法仕様を確認できます。

 

1個用露出ボックスの標準寸法

  • 外形寸法: 89mm × 50mm
  • 取付けピッチ: 74mm
  • ボックス高さ: 26mm(極浅型)~38mm(標準型)
  • 器具取付け穴径: φ4.5mm

2個用露出ボックスの標準寸法

  • 外形寸法: 230mm × 50mm
  • 取付けピッチ: 31mm間隔
  • ノックアウト部配置: 上下左右4箇所
  • 適用電線管: φ14・φ16・φ22

露出形ボックスでは、電線管の接続方向により「1方出」「2方出」の選択が重要になります。電源を他の配線器具に分岐する必要がある場合は2方出を、終端の配線器具には1方出を選択するのが一般的です。

 

配線モール用ボックスの特殊寸法
配線モール工事では、専用の寸法規格が適用されます。

  • 1号モール用: ブッシング切り欠き加工
  • 2号モール用: ワンタッチ着脱式ブッシング
  • モール接続部: 21.5mm × 55mm

コンセントボックス取付け穴寸法と器具適合性

配線器具の取付けには、ボックス側の器具取付け穴寸法と器具側の取付け寸法の適合性が重要です。パナソニックのコスモシリーズワイド21を例に、詳細な取付け仕様を解説します。

 

標準的な器具取付け穴寸法

  • シングルコンセント: 39.5mm × 83.5mm
  • ダブルコンセント: 83.5mm × 39.5mm
  • トリプルコンセント: 125mm × 39.5mm
  • 器具固定ねじピッチ: 83.5mm

これらの寸法は、JIS規格により標準化されているため、異なるメーカー間での互換性が確保されています。ただし、特殊機能付きコンセント(アースターミナル付き、扉付きなど)では、追加のクリアランスが必要な場合があります。

 

取付け枠とプレートの寸法関係
配線器具の取付けでは、取付け枠とプレートの組み合わせが重要です。

  • 1連用プレート: 1~3コ用まで対応
  • 2連用プレート: 4~6コ用まで対応
  • 3連用プレート: 7~9コ用まで対応
  • 4連用プレート: 12コ用まで対応

プレート材質は、ラウンド型とスクエア型があり、それぞれホワイト・ベージュ・グレーの標準色が用意されています。

 

特殊コンセントの寸法要件
接地極付きコンセントやアースターミナル付きコンセントでは、追加の配線スペースが必要です。

  • 15A・20A兼用接地コンセント: 標準寸法+アース線スペース
  • アースターミナル付きコンセント: 端子台分の追加高さ3mm
  • 扉付きコンセント: 扉開閉クリアランス2mm

不動産業界でのコンセントボックス選定基準と施工効率化

不動産開発において、コンセントボックスの適切な選定は、施工効率と将来のメンテナンス性に大きく影響します。業界標準を超えた独自の選定基準を確立することで、競争優位性を確保できます。

 

用途別推奨寸法の体系化
住宅開発では、部屋の用途に応じて標準的なボックス寸法を決定し、設計の効率化を図ります。

  • 居住空間(LDK・寝室): 大形四角・深形を標準採用
  • 将来の家電増設に対応
  • 200V回路の追加工事を考慮
  • メンテナンス性を重視した余裕設計
  • 水回り(キッチン・洗面所): 接地極対応・防滴仕様
  • アースターミナル付きコンセント必須
  • 深形ボックスで配線余裕を確保
  • 扉付きコンセントで安全性向上
  • 収納・廊下: 浅形ボックスでコスト最適化
  • 基本的なコンセント機能のみ
  • 将来変更の可能性が低い箇所
  • 施工効率を重視した標準化

コスト効率と品質のバランス設計
MonotaROの価格調査によると、ボックスの種類により材料費に大きな差があります。不動産事業では、以下の観点でコスト最適化を図ります。

  • 標準ボックスの統一による調達コスト削減
  • 将来の改修工事費用を考慮した初期投資判断
  • 入居者満足度向上による差別化効果

施工品質の標準化システム
大規模開発では、施工品質の均一化が重要な課題となります。

  • 寸法規格の事前確定による施工ミス防止
  • 検査基準の明文化と品質管理体制構築
  • 協力業者への技術指導と品質向上支援

特に集合住宅では、住戸間での仕様統一が入居後のトラブル防止に直結するため、詳細な施工仕様書の作成が不可欠です。

 

将来対応性を考慮した設計思想
不動産の長期価値維持には、将来の技術進歩に対応できる拡張性が重要です。

  • スマートホーム機器増設への対応余裕
  • 電気自動車充電設備の将来設置可能性
  • 太陽光発電システム連携の配線準備

これらの要素を総合的に判断し、初期コストと将来価値のバランスを取った仕様決定が、不動産業界での競争力確保につながります。

 

コンセントボックスの寸法選定は、単なる技術仕様の決定ではなく、不動産価値の向上と入居者満足度の向上を実現する重要な経営判断と位置づけることで、業界での差別化が可能になります。