

光沢度が60度で70GUを超えても、同じ角度で測り続けると正確な仕上がり判定ができず、後からクレームになります。
光沢度とは、物体の表面に光を当てたとき、正反射(鏡のように一定方向へ返る光)の程度を数値化したものです。人の目が「ツヤがある」「ツヤがない」と判断する感覚を、定量的に扱えるようにした指標といえます。
その単位が「GU」、すなわち Gloss Unit(グロスユニット)です。光沢の測定値は、試料の表面で反射する光の量を、基準値(よく磨かれたガラス面)と相対的に比較して表した値で、このGUという単位で示されます。つまりGUは「ガラス面との相対比」です。
基準となるのは、屈折率1.567の黒色ガラス平面です。JIS K 5600-4-7(塗料一般試験方法 鏡面光沢度)およびJIS Z 8741では、この黒色ガラス平面の光沢度を 100GU(または100%) と定めています。そのため、完全に艶のない表面(光が全く反射しない状態)は0GU、基準ガラス相当の高光沢面が100GUという目安になります。
ここで建築業に携わる方が知っておくべき重要な点があります。GUは100を超えることがあるということです。これは一般的に「100が最大値」と思われがちですが、実際には塗膜や金属の表面が非常に高い光沢を持つ場合、60°の測定で100GUを超える値が出ることがあります。JIS K 5600-4-7の参考表でも、屈折率1.57以上の素材では100GUを超える数値が示されています。意外ですね。
建築現場での実務では、外壁塗料の仕上がり確認、鋼橋塗装の品質チェック、床材や内装仕上げ材の艶管理など、光沢度の測定が必要な場面は多岐にわたります。GUという単位の本質を理解しておくことは、現場でのトラブル回避に直結する知識です。
| 光沢分類 | 60°測定の目安(GU) | 建築での例 |
|---|---|---|
| 高光沢 | 70超 | 艶あり外壁塗料・鏡面金属仕上げ |
| 中光沢 | 10〜70 | 標準的な内外壁塗装・タイル |
| 低光沢(つや消し) | 10未満 | 艶消し塗料・マット床材 |
参考:GUという単位と測定原理の詳細(JIS規格対応の解説)
光沢度とは?光沢の基準や角度、単位 – 株式会社レックス(JIS規格に基づく光沢度の基礎知識が整理されている)
光沢度を測定する際、「どの角度で測るか」は数値の意味を大きく左右します。角度が違えば同じ塗面でも出てくるGU値が変わるため、現場での比較・判定を行うには角度の統一が必要不可欠です。
JIS規格(JIS Z 8741、JIS K 5600-4-7)では、測定角度として 20°・45°・60°・75°・85° の5種類が規定されています。そのなかで特に建築・塗装の分野で広く使われるのは 20°・60°・85° の3角度です。それぞれの特徴は次のとおりです。
- 60° :最も汎用性が高く、あらゆる塗膜に対応できる標準角度。建築塗装の品質検査ではまず60°で測定するのが基本です。
- 20° :高光沢面(60°測定で70GU超)の細かな差異を判別するための角度。自動車塗装や鏡面仕上げ金属にも使われます。
- 85° :低光沢・つや消し面(60°測定で10GU未満)の微妙な差を検出するための角度。マット塗装や一部の床材仕上げに適します。
測定角度の選び方には、明確な手順があります。まず60°で測定し、その結果をもとに最適角度を判断します。測定結果が10〜70GUなら60°のままで問題ありません。70GUを超えるなら20°に切り替えると精度が上がります。10GU未満の場合は85°に変更してより正確な値を得ます。これが基本です。
ここで注意すべきことがあります。実際の外壁塗装の完成検査では、60°固定で測定しているケースが多いですが、高光沢仕上げの場合に60°のままで測定すると本来の差異が数値に表れにくくなります。たとえばグロス値90GUと95GUの違いは60°測定では判別しづらくなりますが、20°に切り替えると明確に区別できます。こうした測定角度の選択ミスは、施主への説明や仕様書との照合でトラブルになることもあります。
なお、測定記録の際はJIS規定により 測定角度・使用した光沢計のメーカー名と型式 を明記することが原則とされています。単にGU値だけを記録しても、後から「何度で測ったのか」が分からなくなり、比較検討ができなくなります。現場での記録フォームに角度欄を追加しておくと安心です。
| 測定角度 | 適した光沢レベル(60°基準) | 建築での主な用途 |
|---|---|---|
| 20° | 70GU超(高光沢) | 金属部材の鏡面仕上げ・高光沢外壁 |
| 60° | 10〜70GU(中光沢) | 一般的な外壁・内壁・屋根塗装の標準検査 |
| 85° | 10GU未満(低光沢) | つや消し仕上げ・マット床材・艶消し塗料の管理 |
参考:測定角度の選び方と光沢計の使い方
適切な測定角度を選ぶ – Elcometer 480(GUの定義と測定角度の選び方を体系的に解説)
建築の外壁塗装現場では、光沢度(GU)を使った艶の分類が実務的な判断軸になっています。塗料メーカーや施工仕様書でも、この分類に基づいた記述が多く見られます。
外壁塗料の艶は一般的に5段階で分類されます。測定は60°の光沢計を使用し、グロス値(GU)で表されます。
- 🔆 艶あり:グロス値70GU以上。光が強く反射し、新築直後のような光沢感がある。
- 🔆 7分艶:グロス値55〜65GU前後。艶ありより少し控えめで、上品な光沢。
- 🔆 5分艶:グロス値30〜40GU前後。半光沢で、艶ありとつや消しの中間的な印象。
- 🔆 3分艶:グロス値10〜20GU前後。かなり艶が抑えられ、落ち着いた仕上がり。
- 🔆 艶消し(つや消し):グロス値5GU以下。ほぼ光沢なし、マットな質感。
ここでよくある誤解があります。「7分艶だからグロス値70%程度」と計算してしまうことです。これは間違いです。7分艶の実際のグロス値は55〜65GU前後であり、3分艶も「30%」ではなく10〜20GUにとどまります。名称と数値の感覚的なズレを放置しておくと、発注時の仕様確認で混乱が生じます。これが条件です。
また、艶あり塗料と艶消し塗料では耐久性にも差があります。艶あり塗料は塗膜の表面が滑らかに仕上がるため、汚れが付きにくく、紫外線や雨水による塗膜劣化が進みにくい傾向にあります。一方、艶消し塗料は艶消し剤によって表面に微細な凹凸ができているため、汚れが溜まりやすく、同グレードの塗料で比べると耐候性で艶あり塗料に劣ることが多いとされています。
この耐久性の違いを数値で示すと、たとえばウレタン塗料の促進耐候性試験では、光沢保持率が80%を下回るまでの時間が、艶あり品と艶消し品で大きく異なるケースがあります。施主への説明や塗料選定の場面で、「艶ありのほうが長持ちする理由」としてGU基準の話を活用できます。これは使えそうです。
参考:艶の5段階分類とグロス値の対応
「艶あり」と「艶消し」の違い メリットとデメリットを解説 – わたる塗装(グロス値5段階の分類と特徴が詳しく紹介されている)
GUは塗りたての仕上げ確認だけでなく、経年後の塗膜劣化を数値で判定するためにも使われます。その指標が「光沢保持率」です。
光沢保持率とは、新たに塗装した直後の光沢度(GU)を基準(100%)として、経年劣化後の光沢度が何%まで保たれているかを示す値です。計算式は次のとおりです。
$$\text{光沢保持率 (\%)} = \frac{\text{劣化後の光沢度 (GU)}}{\text{初期光沢度 (GU)}} \times 100$$
JIS A 6909(建築用仕上塗材)では、耐候性の最高区分である「耐候形1種」の基準として 光沢保持率80% が設定されています。つまり、塗膜が劣化していく過程で光沢度が初期値の80%を下回ったとき、劣化が始まっていると判断されます。
具体的なイメージを持つために数字を見てみます。初期のグロス値が85GUの外壁塗装があったとして、数年後に測定したら68GUになっていたとします。このとき光沢保持率は「68 ÷ 85 × 100 ≒ 80%」となり、ちょうど劣化判定のラインに達したことになります。この段階が塗り替えの検討開始目安です。
ただし、光沢保持率80%はあくまでも「劣化の始まりを示すライン」であり、目視でのチョーキング(白亜化)や退色が顕著になるのはもう少し後です。この点を誤解して「80%以下になったらすぐ再塗装必須」と施主に説明すると、過剰なメンテナンス提案になる場合があります。正確には「80%を切ったら劣化が進み始めているサインとして、今後の計画的塗り替えを検討する時期」という伝え方が適切です。
塗料グレード別の光沢保持率の目安も把握しておくと現場で役立ちます。ウレタン塗料では10年経過で光沢保持率が40〜70%程度まで落ちるケースもある一方、フッ素樹脂塗料は25〜30年経過でも80%以上を維持できるものがあります。光沢度計(グロスメーター)を使った経年変化の記録があれば、次の塗り替え時期を数値で裏付けた提案ができます。
光沢度を現場で測定する機器については、HORIBAのグロスチェッカーIGシリーズやElcometer 480のような市販のハンディタイプ光沢計が広く使われています。測定角度(60°/20°)の切り替えができるもの、ワンタッチ校正に対応しているもの、測定データを最大254回分保存できるものなど、機能に差があります。レンタルにも対応している機器があるため、必要な場面だけ使う場合は購入よりコストを抑えられます。
参考:光沢保持率と塗膜劣化の関係
光沢保持率 トソウペディア – AP ONLINE(光沢保持率の定義と80%ラインの意味が詳しく解説されている)
光沢度の基本知識は広まってきていますが、実際の建築現場では測定方法や数値の解釈にミスが起きやすいポイントがいくつかあります。ここでは現場目線で整理します。
ミス①:角度を固定したまま比較してしまう
最もよくあるのが、測定角度を変えずに異なる種類の仕上げ材を比較するケースです。高光沢面を60°で測り続けると数値の差が小さく見えてしまい、「同じくらいの艶」と判断してしまいます。実際には20°に切り替えると大きな差がある場合もあります。つまり角度の固定がミスにつながります。
ミス②:測定記録に角度を記載しない
「グロス値85でした」という記録だけでは、後から確認したとき何度で測ったかが分かりません。JIS規格でも測定角度・メーカー名・型式の記載が原則とされています。この記録がないと、竣工後の品質保証や再測定時に比較が成立しなくなります。記録の書式を統一することが条件です。
ミス③:測定面の状態を確認していない
光沢度計は平滑な面でないと正確な測定ができません。測定対象の面に水滴・砂埃・傷がある状態で計測すると数値がばらつきます。JIS K 5600-4-7でも「読み取り値の幅が10単位以上、または平均値の20%以上になった場合は試験板を無効とする」とされているほど、面の状態は数値に影響します。測定前に測定面を確認するだけで精度が大きく変わります。
ミス④:「5分艶を指示したのにGU値が一致しない」というトラブル
施主や設計側から「5分艶で仕上げてほしい」という指示があった場合、5分艶のGU値が30〜40GUであることを相互に確認しておかないとトラブルになります。名称だけでは解釈にブレが出ることがあるため、仕様書には「60°測定でGU値●●〜●●」と数値での記載を徹底することが有効です。
ミス⑤:校正を定期的に行っていない
光沢計は定期的な校正(ゼロ点・スパンの確認)が必要です。校正を怠ると基準値からのズレが蓄積し、実際よりも高い・低い数値が出続けます。JQA(日本品質保証機構)などの第三者機関では、光沢計の校正サービスが提供されており、0GU〜2000GU・3角度対応の校正が可能です。年に1回を目安に点検することが推奨されています。
光沢度の測定結果を「なんとなく確認する」だけでなく、正しい手順と記録方法を徹底することが、品質管理の精度向上とクレーム防止につながります。これが原則です。
| ミスのパターン | 起きやすいシーン | 回避策 |
|---|---|---|
| 角度の固定ミス | 高光沢塗装の仕上げ確認 | 60°で測定後、70GU超なら20°に切替 |
| 角度の記録漏れ | 竣工検査・品質台帳の記入 | 測定記録フォームに「測定角度欄」を追加 |
| 測定面の汚れ・凹凸 | 外壁・床面の計測 | 測定前に面の状態を目視確認してから測定 |
| 艶名称とGU値のズレ | 施主・設計との仕様すり合わせ | 仕様書にGU数値範囲を明記する |
| 光沢計の校正不足 | 長期使用している計測器の使用 | 年1回程度の第三者校正を実施 |
参考:光沢計の校正サービス
光沢計の校正 – JQA 日本品質保証機構(光沢計の校正範囲・対応角度・手続き方法が掲載されている)

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