マイクロメータ ノギス 違いと測定精度の使い分け

マイクロメータ ノギス 違いと測定精度の使い分け

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マイクロメータとノギスの違い

この記事でわかること
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測定精度の違い

マイクロメータは0.01mm~0.001mm単位、ノギスは0.05mm~0.02mm単位で測定可能です

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測定範囲と用途

マイクロメータは25mm刻みの専用測定、ノギスは多機能で幅広い測定に対応します

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アッベの原理

マイクロメータが高精度な理由は測定対象と目盛りが同軸上にある構造にあります

マイクロメータとノギスの測定精度の違い

マイクロメータとノギスの最も大きな違いは測定精度にあります。 マイクロメータは一般的なもので0.01mm(百分の1ミリメートル)単位での測定が可能で、デジタルタイプでは0.001mm単位まで読み取れるモデルも存在します。 標準タイプのマイクロメータでも、目盛りのズレ量を目視で確認することで0.001mm(1マイクロメートル)の読み取りが可能です。
参考)https://www.monotaro.com/note/readingseries/sokuteikougukisokouza/0201/

一方でノギスの最小目盛りは0.05mm~0.02mmが一般的で、デジタルノギスでも0.01mm単位の表示となります。 精度が0.01mmで十分な場合はノギスを使用し、より高精度な測定が必要な場合はマイクロメータを選択するという使い分けが現場では行われています。
参考)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10235448720

建築業の現場では部品の精密な寸法確認や品質検査において、求められる精度に応じてこれらの測定工具を使い分けることが重要です。
参考)https://www.askk.co.jp/contents/course/-measuring-tool.html

マイクロメータの測定範囲と制約

マイクロメータには測定範囲に独特の制約があります。 測定できる長さが0~25mm、25~50mm、50~75mmというように25mm刻みになっているため、実際に測りたい物の長さを事前にスケールやノギスで確認しておく必要があります。
参考)https://metoree.com/categories/5288/

この25mm刻みの制約は、マイクロメータの高精度を実現するための構造上の理由によるものです。 外測マイクロメータ、内測マイクロメータ、デプスマイクロメータといった種類があり、それぞれ測定対象に応じて選択します。
参考)https://kikaikumitate.com/post-52/

ノギスが一本で外形、内径、段差、穴の深さなど様々な寸法を測ることができるのに対し、マイクロメータは厚みの測定に特化しており、測定範囲も限定されています。 しかし、その代わりに測定精度の高さと測定の信頼性において、ものづくりの現場では欠かせない存在となっています。
参考)https://electrictoolboy.com/media/5643/

ノギスの多機能性と使い分け

ノギスは測定工具の中でも特に実用性の高い多機能な測定器です。 外側測定、内側測定、深さ測定、段差測定という4つの機能を1本で実現できるため、建築業の現場での即時的な寸法確認に適しています。
参考)https://www.monotaro.com/note/cocomite/085/

測定範囲は150mm、200mm、300mmなど選択肢があり、一般的な部品の測定には150mmの標準ノギスが使用されます。 大きな部品の場合は200mmや300mmのノギスが必要になりますが、50mm以上の大きな対象物ではそこまで高精度を求めないケースが多く、ノギスで十分対応できます。
参考)https://mecha-basic.com/nogisu/

標準式、デジタル式、ダイヤル式といったタイプがあり、デジタル式はLCD表示で数値を読み取れるため読み間違いがなく、作業効率が向上します。 建築業の現場では、測定する部品のサイズや形状、求められる精度に応じて適切なノギスを選定することが重要です。​

アッベの原理による精度の違い

マイクロメータがノギスよりも高精度な測定を実現できる理由は、「アッベの原理」に基づいた構造設計にあります。 アッベの原理とは、「測定対象物と測定器の目盛りを一直線上(同軸上)に配置した方が精度良く測定できる」という測定の基本原理です。
参考)https://d-monoweb.com/expert_column/what-abbes-principle/

ノギスは目盛りと測定対象物の位置が一直線ではなく、アッベの原理を満たしていません。 これに対してマイクロメータは測定対象物と目盛りが一直線上に配置されており、アッベの原理に従った構造となっています。
参考)https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/measurement-selection/basic/abbe-principle.jsp

このため、マイクロメータの最小目盛は0.01~0.001mmとなり、ノギスの0.05~0.02mmと比較して格段に高い精度を実現しています。 建築業の現場で精密な品質管理が求められる部品の測定では、この原理に基づいたマイクロメータの使用が推奨されます。
参考)https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/measurement-selection/type/micrometer.jsp

マイクロメータとノギスの校正と保管方法

測定工具の精度を維持するためには適切な校正と保管が不可欠です。 マイクロメータの校正には、使用前に行う「0点合わせ」と、半年に一度程度行う基準棒やゲージブロックを使った「精度確認」の2種類があります。
参考)https://shokunin-tenshoku.com/13306

マイクロメータは、0点測定時や基準棒測定時の誤差を記録しておき、実際の測定値に補正を加えることで、校正作業を省略することも可能です。 新品開封時、落下や衝撃を与えた時、測定値に違和感がある時は必ず校正を行うべきです。​
保管方法では、マイクロメータは測定面を若干量開いて保管し、クランプせずに保管することが重要です。 使用後は測定面に付着したホコリや汚れをきれいに拭き取り、油を塗布して防錆紙で包むか専用ケースに入れて保管します。 ノギスは閉じていても問題ありませんが、直射日光の当たる場所や高温・低温多湿な場所は避けて保管してください。
参考)https://www.sisco.kobelco.com/act/measurement/report06.html

建築業における測定工具の選び方と現場活用法

建築業の現場では、測定する対象物の精度要求に応じて適切な測定工具を選択することが品質管理の基本です。 1mm単位の精度が必要な場合はスケールや巻尺、0.1mm単位の精度が必要な場合はノギス、0.01mm単位の精度が必要な場合はマイクロメータやテストインジケータを使用します。
参考)https://www.kensatools.com/gage-selection/

一般的には図面の公差によって必要な測定精度が決まります。 建築用の金属製足場材料などの寸法確認では、ノギスやマイクロメータといった精密測定器が活用されています。
参考)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/02/02_06.htm

測定のしやすさは「効率性のよさ」と「誤差の小ささ」で決まります。 速度面では比較測定器が最も速く、次いでノギスやマイクロメータ、三次元測定機の順となります。 ただし精度の高い測定器は下位の測定精度にも使えるため、予算と測定対象に応じて柔軟に選択することが重要です。​
現場での実践的な使い分けとしては、簡易的な測定や多様な形状の部品測定にはノギス、高精度測定が必要なシャフト・ベアリング・ギアの測定にはマイクロメータを使用するという基準が有効です。 マイクロメータは測定力を一定にするためラチェット機構を備えていますが、操作のばらつきにより測定力もばらつくため、測定を3回程度繰り返して安定した数値を測定結果とする方法が推奨されます。
参考)https://mecha-basic.com/micro/

参考資料として、マイクロメータとノギスの基礎知識については以下のリンクが有用です。

 

ミツトヨ:マイクロメータの正しい使い方、読み方と注意点
マイクロメータの基本的な使用方法、目盛りの読み方、アッベの原理に基づいた高精度測定の仕組みについて詳しく解説されています。

 

ミツトヨ:ノギスの正しい使い方、読み方と注意点
ノギスの4つの測定機能(外側、内側、段差、深さ)の具体的な使用方法と読み取り方について写真付きで説明されています。

 

モノタロウ:マイクロメータの使い方
マイクロメータの25mm刻みの測定範囲の理由や、ノギスとの使い分けについて現場目線で解説されています。