メーカー保証は購入者以外の施工業者が対象になる仕組みを解説

メーカー保証は購入者以外の施工業者が対象になる仕組みを解説

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メーカー保証は購入者以外にも及ぶ?建築業者が知るべき保証の構造

メーカー保証書を施主に渡せば終わりだと思って、あとで施主からクレームが来て自腹で修理費を払った業者が全国に一定数います。


この記事のポイント3選
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建材のメーカー保証は「施工業者」が対象

ニチハやアイジー工業などの建材メーカーは、保証の相手方を「元請会社(住宅会社・工務店)」と明記しています。施主は保証当事者ではありません。

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施主支給品はメーカー保証も施工保証も受けにくい

施主が自分で購入した設備を施工依頼した場合、工務店側は原則保証対象外とし、メーカー側も施工状況次第で保証を拒否するケースがあります。

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保証の「窓口」と「対象者」は別人

施主が不具合を感じたとき、直接メーカーに連絡しても動いてもらえないケースがほとんどです。施工業者が中間窓口として機能する仕組みを理解しておく必要があります。


メーカー保証の購入者以外への適用:保証の「対象者」とは誰か


建材や住宅設備を扱う際、多くの建築業従事者が無意識のうちに「保証書を施主に渡せばOK」と考えていないでしょうか。しかしこれは大きな誤解で、実際のメーカー保証の構造はかなり異なります。


たとえばニチハ株式会社は、窯業系サイディングの製品保証について「住宅会社様を対象に」と明記しています。また変色・褪色30年保証の公式ページにも「保証対象者は元請会社様(住宅会社様、工務店様)となります」と記載されています。つまり法的な保証の当事者は施主ではなく、製品を発注・施工した事業者側です。これが原則です。


同様に、アイジー工業の金属屋根材スーパーガルテクト」の製品保証ページにも「元請業者様に対して保証を実施しています」と明示されています。アイジールーフの場合、塗膜15年保証・赤さび20年保証・穴あき25年保証という長期保証が設定されていますが、この保証の受け手はあくまで施工を請け負った元請業者です。施主は、不具合が起きたときに直接メーカーへ連絡しても原則として動いてもらえません。


なぜこのような仕組みになっているのかというと、建材メーカーは製品の品質を保証する一方、実際の施工品質の管理責任は現場の施工業者が負うという役割分担があるからです。メーカーが全国の工事現場を逐一管理することは現実的に不可能です。全国に外壁・屋根塗装を請け負う業者は約5万社とも言われており、施工の均一な品質管理をメーカーが担うのは難しいという理由が背景にあります。


つまり保証の構図はこうです。


立場 役割 保証の窓口
メーカー 製品品質の保証 元請業者(施工会社)に対して
元請業者(工務店等) 施工品質・仲介窓口 施主への窓口役
施主 建物の所有者 保証の直接対象外


施主側が不具合を発見した場合は、まず施工業者に連絡し、施工業者がメーカーと連絡を取り合う、という流れが正規の手順です。保証の窓口と保証の最終受益者は別人であることを、建築業従事者として明確に理解しておく必要があります。


参考:ニチハ株式会社 変色・褪色30年保証 製品保証対象者の記載
ニチハ プレミアムシリーズ 変色・褪色30年保証|ニチハ株式会社 公式サイト


参考:アイジー工業 製品保証(元請業者対象・スーパーガルテクト保証規定)
製品保証|専門業者様向け資料|アイジー工業株式会社


メーカー保証が購入者以外に及ばないケース:施主支給品のリスクと実態

施主支給とは、施主が自分でネット通販や家電量販店などから製品を購入し、工務店や建築会社に「取り付けだけ」を依頼する形式です。一見するとコスト削減になりそうなこの方法ですが、保証の観点では二重のリスクを抱えることになります。


まず工務店側の保証についてです。「原則として、支給されたものに何か不具合が発生した場合、工務店や建築会社は保証しない。ノークレームを条件として受け入れる」という対応が業界標準となっています(SUUMOカウンター調べ)。施主支給品がモデルチェンジ前の商品だったり、施工条件に合わないサイズだったりした場合でも、施工会社はその製品の品質に関しては責任を持てないという立場をとります。


次にメーカー側の保証についてです。メーカー保証は、正規の販売ルート(メーカー→工務店や住宅会社→施主)で購入・設置された製品に適用される前提で設計されていることが多く、施主が独自ルートで購入した製品の施工状況についてはメーカーが品質を保証できません。ある事例では、施主支給のシステムキッチンに施工後1年以内に不具合が発生したにもかかわらず、調査費と修理費を施主が全額負担するという結果になりました。つまり施主支給品に問題が起きると、住宅会社の保証もメーカー保証も受けられず、費用を丸ごと自分で負担するリスクがあります。


これは建築業者にとっても他人事ではありません。施主支給品の取り付けを断った場合、施主との関係が悪化することもあります。しかし施工上のトラブルが起きたとき、現場の責任を問われるのは施工した業者側です。「施主が持ち込んだ製品だから」という主張が通るとは限らず、施工不良と製品不良の判定が難しい場面では、業者が費用を肩代わりするトラブルも現実に発生しています。


施主支給品を受け入れる場合は、事前に「施工保証の対象外であること」「メーカーへの問い合わせは施主が直接行うこと」を書面で明確にしておくことが不可欠です。口頭での確認では後になって「そんな話は聞いていない」というクレームにつながります。書面化が原則です。


メーカー保証で購入者以外が有利になるケース:建材保証の「元請特権」を活用する

ここまでの話を聞いて「保証の対象が元請業者なら、むしろ建築業者側が得をする場面もあるのでは?」と気づいた方もいるかもしれません。その通りです。


建材メーカーの保証において「元請業者」が保証対象者になっているということは、建築業者が保証申請の主導権を持っているということを意味します。施主よりも早く、より確実に保証を行使できるポジションにいるのです。これは使えそうです。


たとえばニチハの窯業系サイディングの製品本体保証(10年)では、外壁材本体の割れ・欠損・反りや塗膜の著しい剥離・変褐色が発生した場合、保証対象者である元請業者がメーカーへ直接連絡し、代替材の送付や再施工費の負担を求めることができます。施主を通さず直接動ける立場です。アイジー工業のアイジールーフについても、保証対象は「貴社(元請業者)が施工使用した製品本体」であり、塗り替え塗料の支給・再塗装工事費の負担・代替製品の支給・再施工工事費の負担という4つの補償方法をメーカーが負担してくれます。


この「元請特権」を最大限に活用するための前提条件として重要なのが、メーカーが定める施工仕様の厳守です。保証は施工仕様書通りに工事が行われたことを前提としているため、施工要領を外れた施工が確認された場合は保証が無効になります。たとえばニチハの場合、シーリング材は純正品を使うこと、メンテナンス工事は元請会社に依頼することなどが保証継続の条件として記載されています。保証を活用したければ仕様書の厳守が条件です。


また、アイジー工業のスーパーガルテクトで注意すべきなのは、製品の製造日から1年を経過してから施工した場合、保証の起算日が施工完了日ではなく製造日になる点です。倉庫に在庫として長期保管していた屋根材を使うと、実質的な保証期間が短くなります。「施工完了から25年の保証」と思っていたら実態は20年だった、というケースは珍しくありません。在庫管理と発注タイミングの見直しが必要です。


参考:アイジー工業 アイジールーフ 塗膜15年保証・保証規定の詳細
アイジールーフ 塗膜15年保証|アイジー工業株式会社


メーカー保証における購入者以外の扱い:保証継承の手続きと注意点

新築住宅を引き渡す際、工務店や建築会社が建材メーカーの保証対象者であることは前述のとおりです。しかし施主は住宅の所有者として、実際には建物のアフターメンテナンスを長年にわたり管理します。ここで問題になるのが、「メーカー保証をどう施主側に橋渡しするか」という実務上の課題です。


ニチハの保証書には「元請会社様が施主様に本保証内容を説明の上、愛用者カードを渡してください」という記述があります。つまりニチハの仕組みでは、元請業者が施主に対して保証内容を説明し、愛用者カードを交付することで、施主が不具合発生時に元請業者へ連絡できる流れを整えることが義務づけられています。単純に「保証書を渡す」だけでは不十分で、「誰に連絡すれば保証が動くのか」まで施主に説明しておく義務が業者側にあるということです。


一方、住宅設備(給湯器・キッチン・ユニットバスなど)については、メーカーが施主名義で保証書を発行するケースも多くあります。これらの設備は工務店が仕入れて設置するものの、保証の対象者が施主個人になっている場合が多く、施主が直接メーカーサポートを利用できる設計になっています。ただし「正規のルートで購入・設置されたこと」が前提条件です。施工不良が疑われる場合は、まず施工業者経由でのアプローチが効果的です。


引き渡し時には、以下の確認が最低限必要です。


  • 📄 使用した主要建材(外壁・屋根など)の保証書コピーを施主に渡す
  • 📞 不具合発生時の連絡先(元請業者 or メーカーカスタマー窓口)を明示する
  • 🗓️ 各保証の起算日と終了日を一覧化して施主に渡す
  • 🔧 保証継続に必要なメンテナンスの時期・内容を説明する
  • 📝 施主支給品がある場合は、保証対象外であることを書面で確認する


「渡したつもり」「説明したつもり」は通用しません。後日トラブルになった際に書面や記録がなければ、業者側が不利になります。引き渡し書類のチェックリストに保証関連の項目を標準で組み込んでおくことが、実務上のリスク管理として有効です。


参考:ニチハ 品質保証PDFに記載された元請会社への説明義務と愛用者カードの扱い
ニチハ 品質保証(PDF)|ニチハ株式会社


メーカー保証が購入者以外に及ばない理由と、建築業者が抱えるクレームリスク

メーカーが施主(建物の最終所有者)ではなく施工業者を保証対象とする最大の理由は、「施工品質の管理責任は施工業者にある」という考え方に基づいています。製品がどれほど優れていても、施工が適切でなければその性能は発揮されません。外壁材を例にとると、高圧洗浄の不足・下地処理の欠陥・シーリング材の選定ミス・施工後の乾燥時間不足など、職人の技量や現場管理の善し悪しで製品の耐用年数は大きく変わります。


塗料の場合はその傾向がさらに顕著です。国内トップシェアの塗料メーカー(N社・K社・S社)に確認したところ、いずれも「戸建て住宅では保証を行っておらず、施工の品質管理が難しいことが理由」と回答しています。メーカーとしては良い製品を開発することが本来の責務であり、全国5万社とも言われる塗装業者の施工品質を個別に管理・保証することは現実的に不可能というわけです。


この「施工業者責任」の原則が建築業従事者にとって直接のクレームリスクになります。たとえば施主が「外壁材はメーカー保証があるはずだ」と主張してきたとき、「保証の相手方は当社です。当社が確認してメーカーに申請します」と説明できれば問題ありません。しかし保証の仕組みを理解していない業者が「メーカーに直接連絡してください」と施主を突き放すと、後日「保証が受けられなかった」というクレームに発展します。施主はメーカー保証の対象外であり、業者経由でしか保証申請ができないからです。


このミスマッチを防ぐために有効なのが、住宅設備保証サービスの活用です。たとえばジャパンホームシールドが提供する「住宅設備保証」は、メーカー保証終了後の住宅設備の自然故障を対象にした保証サービスで、住宅会社が加入することで施主に対して手厚い保証を提供できます。こうした第三者保証を組み合わせることで、メーカー保証が届かない領域をカバーし、業者としての信頼性を高めることができます。


また建設業者が注意すべき点として、新築住宅には「住宅品質確保促進法(品確法)」に基づく10年の瑕疵担保責任が法定されています。これは建物の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に関するものですが、外壁サイディングや屋根材は雨水浸入防止と関連する場合もあり、メーカー保証と法的義務の両方が絡む複雑な状況になることがあります。メーカー保証が活用できた場合でも、施工業者としての法的責任が消えるわけではないことを忘れないでください。これが原則です。


  • 🔴 施主から保証申請を求められた場合:業者が窓口となりメーカーへ申請する
  • 🟡 製品不良か施工不良かの判定が難しい場合:第三者機関(ホームインスペクション等)を活用する
  • 🟢 メーカー保証の範囲外の設備トラブルには:住宅設備保証サービスで補完する


参考:国民生活センター 保証期間内の無償修理と販売店・施工業者の責任に関する解説
保証期間内なのに家電製品の無償修理を断られた!|国民生活センター


参考:ジャパンホームシールド 住宅設備保証サービスの概要
いま住宅設備保証が求められる理由|ジャパンホームシールド株式会社




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