

モルタル外壁で塗り替えのきっかけになる代表的な劣化サインは、ヘアクラック、構造クラック、チョーキング、塗膜の浮きや剥がれ、エフロレッセンス(白華)などです。これらは単に見た目が悪くなるだけでなく、クラックから浸水して鉄筋腐食や凍害を招き、補修費用が通常の約2倍に膨らむケースもあるため、早期診断が重要になります。
ひび割れ診断では、幅0.3mm前後までの細かいヘアクラックか、構造に関わる深いクラックかを見分け、Uカット・Vカットや樹脂注入など補修レベルを決めることがポイントです。あわせて、指でこすって白い粉が付くチョーキングの有無や、素地の中性化、含水状態を確認しておくと、その後のモルタル用塗料の選定や乾燥時間の見積もり精度が大きく変わってきます。daruma-paint+2
モルタル用塗料の設計では、「下塗り」と「上塗り」を分けて考えると整理しやすく、下塗りとしてはカチオンシーラー、微弾性フィラー、浸透性エポキシ系プライマーなどがよく使われます。カチオンシーラーはモルタルの吸い込みを抑えつつ、粉ふきや弱った下地の密着を高める用途に適しており、微弾性フィラーは細かいクラックへの追従性と肉厚形成で下地の段差をならしたいときに有効です。
上塗り材としては、水性アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、単層弾性塗料、複層弾性塗料などがあり、耐候性やコスト、意匠性に応じて組み合わせが変わります。複層弾性塗料は中塗りに高弾性塗料を2回、上塗りに自由なグレードの塗料を選べるため、クラック追従性と長期耐候性の両立を狙う外壁に向いており、微弾性塗材はコストを抑えつつ軽微なひび割れ対策をしたい物件で採用されることが多いです。spa-1999+1
ひび割れを含むモルタル外壁をモルタル用塗料で仕上げる場合、プロの現場では「①高圧洗浄→②下地調整→③養生→④下塗り→⑤中塗り→⑥上塗り→⑦完了検査」の7工程を基本とするケースが一般的です。高圧洗浄で汚れや脆弱な旧塗膜をしっかり落としてから、VカットやUカット後にシーリング材充填、場合によってはモルタル充填やエポキシ樹脂注入を行い、そのうえでカチオンシーラーや微弾性フィラーなどの下塗り材を使って塗装に備えます。
中塗り・上塗りでは、モルタル用塗料の設計に応じて、同一塗料を2回塗りする単層弾性仕様か、弾性中塗り+高耐候上塗りの複層弾性仕様かを選び、各層ごとの塗布量と乾燥インターバルを守ることが耐久性に直結します。完了検査では、膜厚計による塗膜厚さの確認だけでなく、補修部の追従状態や艶ムラ、立面ごとの色の見え方までチェックしておくと、引き渡し後のクレームリスクを大きく減らせます。zeenb.astecpaints+2
モルタル用塗料は、性能だけでなく意匠性の幅も広く、リシン、吹付タイル、ジョリパットなどの左官仕上げの上に塗装して質感をコントロールできます。たとえば、既存がリシン仕上げの場合は、シーラー処理後に玉吹きや弾性塗材の吹き付けを行い、その上にアクリル・ウレタン・シリコン・フッ素などの上塗りを2回塗りすることで、マットな質感からしっとりとした艶ありまで表情を変えられます。
色選びでは、モルタル特有の陰影と相性の良いグレイッシュトーンや、汚れが目立ちにくい中明度・中彩度の色が採用されることが多く、南面や道路面など汚れや紫外線の影響が大きい面には、同グレードでもワントーン暗めを提案するテクニックもあります。また、弾性塗材は経年で汚れを抱き込みやすいため、将来の塗り替えを見据えて、最初からセルフクリーニング機能を持つ高耐候型のモルタル用塗料を組み合わせる選択肢も検討する価値があります。zeenb.astecpaints+1
モルタル用塗料の失敗要因として意外と見落とされがちなのが、下地の含水率で、乾燥不足のまま塗装すると膨れや剥離、白華の再発を招きます。一般に外壁用の水性塗料では、下地含水率8~10%以下が目安とされることが多く、雨上がりや新設モルタルでは、季節や方位によって乾燥期間を数日から数週間単位で見込む必要があります。
一方で、地下壁やピット、受水槽など水の影響が大きい部位では、塗布型浸透性防水剤や水系エポキシ樹脂と専用無機質パウダーを組み合わせたハイドロモルタルEXのような材料を下地側で使い、その上に仕上げ用のモルタル用塗料を施工するケースもあります。このような浸透型防水材は、アルカリ分の析出が少なく上塗りの密着性を損ねにくいものもあり、単なる防水下地としてだけでなく、既存モルタルの耐久性を底上げする「長期修繕サイクルの土台」として活用する発想が、今後の大規模修繕やインフラ更新では重要になってきます。jikkou+1
外壁塗装で施したモルタルに合わせる塗料と色選びのポイントを詳しく解説している実務寄りの解説記事です(外壁デザインと色選びの参考リンク)。
外壁塗装で施したモルタルに合わせる塗料と色選び完全ガイド
参考)有限会社菅原塗装工房
モルタル下地の外壁塗装方法と、下塗り材・仕上げ材の組み合わせ例を多く掲載している専門コラムです(下塗り材・上塗り材選定の参考リンク)。
モルタル下地の外壁塗装方法と最適な塗料の選び方
参考)モルタル下地の外壁塗装方法と最適な塗料の選び方
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