
野縁受けのJIS規格寸法は、JIS A 6517で規定されており、天井下地材として統一された品質基準が定められています。
JIS規格野縁受け寸法一覧
区分記号 | 基準寸法(A×B) | 板厚(t) | 基準長さ | 材質 |
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CC-19 | 38×12mm | 1.2mm | 4.0m・5.0m | 溶融亜鉛めっき鋼板 |
CC-25 | 38×12mm | 1.6mm | 4.0m・5.0m | 溶融亜鉛めっき鋼板 |
CC-19とCC-25の違いは板厚にあり、CC-25の方が厚い1.6mmの板厚を持つため、より高い強度が要求される場合に使用されます。基準寸法の許容差は、幅(A)が±0.5mm、高さ(B)が±1.5mmと厳格に管理されており、施工時の品質確保に重要な役割を果たしています。
JIS規格品の野縁受けは、溶融亜鉛めっき鋼板(JIS G 3302 SGCC又はSGHC)で製造され、防錆性能が確保されています。長さについては、受渡当事者間の協定により4.0mと5.0mの上限内で調整可能となっており、現場の施工条件に合わせた柔軟な対応が可能です。
メーカー普及品の野縁受けは、JIS規格に加えて現場のニーズに対応した多様な寸法展開が特徴です。特に天井ふところが限られた空間での施工を考慮した小型サイズが充実しています。
メーカー普及品寸法一覧
分類 | 基準寸法(A×B) | 用途・特徴 |
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チャンネル38 | 38×12mm | 一般的な野縁受け(JIS規格相当) |
チャンネル25 | 25×10mm | 天井ふところが狭い場合用 |
チャンネル19 | 19×10mm | 天井ふところが狭い場合用 |
□-40×20×1.6 | 40×20mm | 高強度な野縁受けとして使用 |
チャンネル19とチャンネル25は、天井ふところが600mm以下の狭小空間で威力を発揮します。これらの小型野縁受けは、専用の小型ハンガーと組み合わせて使用され、マンションのリノベーション工事や既存建物の改修工事で頻繁に採用されています。
□-40×20×1.6の角パイプ型野縁受けは、通常のチャンネル型と比較して約2倍の断面二次モーメントを持ち、設計風圧力3,000N/㎡の仕様にも対応可能です。外部天井や大スパンの天井下地で特に重要な選択肢となります。
野縁受けの施工間隔は、天井仕上げ材の種類と施工方法によって厳格に規定されています。適切な間隔設定は、天井の耐久性と安全性を確保する上で極めて重要です。
野縁受け標準間隔
石膏ボードの寸法別野縁間隔基準では、910×1,820mm程度の2重張りの場合は野縁間隔360mm程度、1枚張りの場合は300mm程度となっています。455×910mm程度の小型ボードでは、野縁間隔225mm程度以下と、より密な配置が要求されます。
施工時の重要なポイントとして、設備器具やダクト吹出し口の開口により野縁が切断される場合は、野縁又は野縁受け同材での補強が必須です。野縁は野縁受けから150mm以上はね出さないことも、構造安全性確保のための重要な規定となっています。
野縁受けジョイントの配置は、千鳥状に約1.0m程度離して野縁受け近くに設け、同列配置やねじれ、目違いが生じないよう注意深い施工が求められます。
野縁受けの適切な選定は、天井下地の性能を左右する重要な要素です。建物用途、天井仕上げ材、施工環境を総合的に考慮した選定が不可欠です。
材質別選定基準
板厚選定では、CC-19(1.2mm)は一般的な住宅・事務所用途に適用され、CC-25(1.6mm)は商業施設や工場など、より高い荷重が想定される用途で選択されます。スパン長が3.0mを超える場合や、天井荷重が大きい場合は、断面性能の高い角パイプ型野縁受けの検討も必要です。
施工効率の観点では、メーカー普及品の採用により現場加工の手間を削減できます。特にチャンネル19・25は、天井ふところの制約がある改修工事で工期短縮効果が期待できます。
品質管理面では、JIS表示品の採用により品質の均一性が確保され、施工不良によるトラブルリスクを最小限に抑えることができます。コスト面でも、JIS規格品は競争原理により価格安定性が高く、予算管理の精度向上に寄与します。
特殊な施工条件や性能要求に対応するため、標準規格以外の野縁受けも各メーカーから提供されています。これらの特殊仕様品は、一般的な物件では見落としがちですが、適切な選定により大幅な施工効率向上が可能です。
機械加工対応寸法
通常曲げ(横曲げ)加工では、C-38×12×1.2(CC-19相当)で内R70~内R149の加工が可能です。チャンネルR加工により、曲面天井や意匠性を重視した天井下地にも対応できます。19形野縁用と25形野縁用で最小R値が異なるため、設計段階での確認が重要です。
高強度仕様寸法
設計風圧力3,000N/㎡対応のMCクリップ使用時は、野縁受け間隔を最大5,000mmまで拡大可能です。この場合の野縁間隔は600×600mmとなり、通常の900mm間隔と比較して部材使用量の大幅削減が実現できます。
ブレース補強システム
野縁受け間のブレース材として、C-38×12やC-40×30×10が使用されます。特に天井ふところが1,800mmを超える場合は、水平振れ止めブレースの設置が構造上必須となり、野縁受け選定時に考慮すべき重要な要素です。
ランナー野縁システムでは、C-65×30×10の専用チャンネルと組み合わせた特殊な配置方法も採用されており、従来工法と比較して施工精度の向上と工期短縮が期待できます。
これらの特殊仕様は、標準的な物件では採用機会が限られますが、大型商業施設や工場建築では必須の技術となっており、不動産開発や建築企画の段階から検討することで、総合的なコストパフォーマンスの向上を実現できます。