皿ネジ寸法ザグリ一覧：建築業界の加工寸法表

皿ネジ寸法とザグリ一覧

皿ネジの基本寸法規格表

建築現場で使用される皿ネジの寸法は、JIS B 1111（十字穴付き皿小ねじ）で厳密に規定されています。皿ネジは頭部を出っ張らせたくない箇所や、締結する部材と面一にしたい場合に使用される重要な締結部品です。

 

標準皿ネジ寸法一覧表

ねじの呼び径	頭部径(dk)	頭部高さ(k)	十字穴番号	呼び長さ範囲
M2	4.0mm	1.2mm	1	5～20mm
M2.5	5.0mm	1.45mm	1	6～30mm
M3	6.0mm	1.75mm	2	6～40mm
M4	8.0mm	2.3mm	2	8～50mm
M5	10.0mm	2.8mm	2	10～50mm
M6	12.0mm	3.4mm	3	12～60mm
M8	16.0mm	4.4mm	3	14～60mm

皿ネジの特徴として、呼び長さ（L寸法）は他のネジとは異なり、頭部からの全長を表します。これは施工時の寸法計算で重要な要素となるため、必ず確認が必要です。

 

また、皿ネジの座面は90度の円錐形状を採用していますが、アメリカ規格では80度となっているため、輸入部材を使用する際は注意が必要です。

 

ザグリ加工の寸法一覧と計算方法

皿ネジを正しく取り付けるためには、座面の円錐形に合わせたザグリ加工（皿もみ加工）が必要不可欠です。この加工が不十分だと、皿ネジの頭部が部材より出っ張ってしまい、建築の仕上がりに影響を与えます。

 

皿穴加工寸法一覧表

ねじの呼び径	皿穴径(最大)	通し穴径	皿の厚み	最小板厚
M2	4.4mm	2.4mm	1.2mm	1.2mm以上
M2.6	5.6mm	3.0mm	1.5mm	1.5mm以上
M3	6.3mm	3.5mm	1.75mm	1.75mm以上
M3.5	7.5mm	4.0mm	2.0mm	2.0mm以上
M4	8.6mm	4.5mm	2.3mm	2.3mm以上
M5	10.6mm	5.5mm	2.8mm	2.8mm以上
M6	12.8mm	6.6mm	3.4mm	3.4mm以上

ザグリ加工では、皿ネジが適切に沈み込むよう、皿穴径を正確に加工する必要があります。皿径の計算は、使用する皿ネジの頭部径より若干大きめに設定し、0.2mm程度の沈み代を考慮するのが一般的です。

 

マシニングセンターやボール盤を使用する際は、カウンターシンクバーを使用して90度の円錐加工を行います。回転数と送り速度の調整により、加工面の仕上がりが大きく左右されるため、試し加工での確認が重要です。

 

皿穴加工での注意点と最小板厚

皿ネジの施工で最も重要な注意点は、皿ビスの皿厚み（C）が板厚（t）を超えないようにすることです。この関係が適切でない場合、ビスが正しく取り付けできないため、取り付ける相手側に面取り加工を施すなどの対策が必要になります。

 

施工時の重要チェックポイント

• 皿厚み ≤ 板厚の関係を必ず確認する
• 材質に応じた下穴径を正確に計算する
• 座グリ加工の深さを適切に設定する
• 皿ネジの材質と母材の相性を考慮する
• 電食の可能性がある組み合わせを避ける

板厚が不足する場合の対処法として、相手側部材への面取り加工があります。この際、面取り角度は皿ネジの座面角度（90度）に合わせて加工し、十分な接触面積を確保する必要があります。

 

また、ステンレス製皿ネジを鉄系母材に使用する場合や、逆に鉄製皿ネジをアルミ系母材に使用する場合は、電食による腐食の進行に注意が必要です。屋外や湿度の高い環境では、同系材質の組み合わせを選択することが推奨されます。

 

特皿ネジの寸法と用途

一般的な皿ネジとは別に、特皿（特サラ）と呼ばれる小頭タイプの皿ネジも建築現場で使用されています。特皿ネジは頭部径が小さく設計されており、より目立たない仕上がりを実現できます。

 

特皿ネジ加工寸法一覧表

ねじの呼び径	穴径	皿径	皿の厚み
M3	3.4mm	5.8mm	1.20mm
M4	4.5mm	6.9mm	1.20mm
M5	5.5mm	9.0mm	1.75mm
M6	6.6mm	11.0mm	2.20mm
M8	9.0mm	13.2mm	2.10mm

特皿ネジの皿径設定では、小頭皿小ネジを入れたときに0.2mm沈むように調整されており、より精密な仕上がりが求められる箇所で活用されています。

 

建築現場での特皿ネジの主な用途には以下があります。

• 高級建具の金物取り付け
• 内装仕上げ材の固定
• 精密機器の筐体組み立て
• デザイン性を重視する外装材の固定

特皿ネジは通常の皿ネジと比較して調達コストが高くなる傾向にありますが、仕上がりの美観を重視する場合には効果的な選択肢となります。

 

皿ネジ寸法表の実務での活用法

建築現場において皿ネジ寸法表を効果的に活用するためには、施工段階に応じた事前準備と現場での迅速な判断が重要です。経験豊富な職人でも、複数の規格が混在する現場では寸法表の参照が不可欠となります。

 

現場での実践的活用方法
設計段階では、使用する皿ネジの規格を図面に明記し、必要な加工寸法を事前に計算しておくことで、施工効率の向上と品質の安定化を図れます。特に、異なる板厚の部材を組み合わせる場合は、各接合部での皿ネジ規格と加工寸法を詳細に検討する必要があります。

 

施工現場では、携帯可能な寸法表を常備し、材料の変更や設計変更に迅速に対応できる体制を整えることが重要です。現場で発生する寸法の微調整に対しても、基準となる寸法表があることで、適切な判断を下すことができます。

 

品質管理の観点では、皿ネジの取り付け状況を定期的にチェックし、頭部の沈み込み具合や接触面の状態を確認することで、長期的な建物の安全性と美観を維持できます。

 

また、メンテナンス時期の計画立案においても、使用している皿ネジの規格と材質を把握しておくことで、適切な交換部品の調達と作業計画の策定が可能になります。

 

建築業界の技術発展に伴い、新しい材質や表面処理技術が開発される中で、皿ネジの寸法規格は基本的な設計基準として変わらない重要性を持ち続けています。正確な寸法管理により、建築物の品質向上と施工効率の最適化を実現できるのです。