
ザグリ穴加工は六角穴付きボルト(キャップボルト)の頭部を隠すための重要な加工技術です。建築現場では美観性と機能性を両立するため、正確な寸法での加工が求められます11。
標準的なザグリ寸法一覧は以下の通りです。
ねじの呼び径 | キリ穴径(mm) | ザグリ径(mm) | ザグリ深さ(mm) |
---|---|---|---|
M3 | 3.4 | 6.5 | 3.3 |
M4 | 4.5 | 8.0 | 4.4 |
M5 | 5.5 | 9.5 | 5.4 |
M6 | 6.6 | 11.0 | 6.5 |
M8 | 9.0 | 14.0 | 8.6 |
M10 | 11.0 | 17.5 | 10.8 |
M12 | 14.0 | 20.0 | 13.0 |
M16 | 18.0 | 26.0 | 17.5 |
M20 | 22.0 | 32.0 | 21.5 |
M24 | 26.0 | 39.0 | 25.5 |
この寸法表は日本工業規格(JIS)に基づいて作成されており、各メーカーの六角穴付きボルトに対応しています。
ザグリ穴の構造は三つの要素から成り立っています。
特に重要なのは、この寸法を守ることでボルト頭部が表面から突出せず、安全で美しい仕上がりが実現できることです。
効率的なザグリ加工には適切な工具選択が不可欠です。現場で使用される主要な工具は以下の通りです。
専用ザグリカッター 🔧
段付きドリル ⚡
エンドミル加工 🎯
加工手順は以下のステップで行います。
加工時の注意点として、切削速度と送り速度の適切な設定が重要です。材質がアルミの場合は切削速度を上げ、ステンレスの場合は送り速度を重視することで、工具寿命を延ばしながら高品質な加工が可能になります。
図面でのザグリ指示は、JISB0001:2019機械製図規格に基づいて記載する必要があります。2019年の改訂により新JISが制定されましたが、現場では旧JIS表記も併用されているのが実情です。
新JIS記載方法 📋
⌴ 17.5 ⌣ 10.8
↓11 THRU
旧JIS記載方法 📝
C'BORE φ17.5 ⌣ 10.8
↓φ11 THRU
図面指示で重要なポイント。
「M10 ザグリ」とだけ記載されている場合は、標準寸法表の数値(φ11貫通、ザグリφ17.5深10.8)で加工することが業界の慣例となっています。
図面チェック時の確認項目。
建築現場では用途に応じて皿ザグリと通常ザグリを使い分ける必要があります。それぞれの特徴と適用場面を理解することで、適切な選択ができます。
通常ザグリ(キャップボルト用) 🔩
皿ザグリ(皿ねじ用) 🔧
皿ザグリの標準寸法例。
ねじ径 | 皿穴径(mm) | 皿穴深さ(mm) | キリ穴径(mm) |
---|---|---|---|
M3 | 6.72 | 1.86 | 3.4 |
M4 | 8.96 | 2.48 | 4.5 |
M5 | 11.2 | 3.1 | 5.5 |
M6 | 13.44 | 3.72 | 6.6 |
使い分けの判断基準。
皿ザグリ加工では、リーディングドリルや90°面取りカッターを使用します。加工角度の精度が仕上がりに直結するため、工具の刃先角度確認が重要です。
現場で発生しやすいザグリ加工の問題点と効果的な対策について解説します。長年の経験から得られた実践的なノウハウを紹介します。
寸法不良の主な原因と対策 ⚠️
材質別の加工トラブル対策 🛠️
ステンレス鋼の場合。
アルミニウム合金の場合。
鋳鉄の場合。
品質管理のポイント 📊
検査項目と許容範囲。
不良発生時の対応手順。
これらの対策により、ザグリ加工の品質向上と作業効率化が実現できます。定期的な工具メンテナンスと適切な加工条件設定が、長期的な品質安定の鍵となります。