石材JIS規格の種類と物理的性質による分類基準

石材JIS規格の種類と物理的性質による分類基準

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石材JIS規格による分類基準

石材JIS規格の基本分類
🏗️
岩石種類による6分類

花こう岩類、安山岩類、砂岩類、粘板岩類、凝灰岩類、大理石類及びじゃ紋岩類

📏
形状による4分類

角石、板石、間知石、割石の形状別分類と寸法規定

⚖️
物理的性質基準

見掛け比重、吸水率、圧縮強さによる硬石・準硬石・軟石の区別

石材JIS規格A5003の基本概要と適用範囲

JIS A 5003「石材」は、主として土木・建築に使用する天然産の石材について規定した日本産業規格です。この規格は1959年に制定され、現在まで数度の改正を経て、2021年に最新確認が行われています。
適用範囲には以下の特徴があります。

  • 🏗️ 対象:土木・建築工事で使用する天然石材
  • 除外項目:天然スレート、割ぐり石、軌道用敷石、道路用石材
  • 📋 規定内容:岩石の種類、形状・寸法、物理的性質、試験方法

建築工事においては、石材の等級は床用石材で2等品、その他では1等品が標準とされており、公共工事での材料規格としても広く採用されています。

石材JIS規格における岩石種類別分類システム

JIS A 5003では、岩石の地質学的特性に基づいた6つの分類が設定されています:
火成岩系統

  • 🗿 花こう岩類:深成岩の代表格で、耐久性と強度に優れる
  • 🌋 安山岩類:火山岩系で、中間的な硬度を持つ

堆積岩系統

  • 🏔️ 砂岩類:堆積岩で加工しやすく建築用途に適する
  • 📚 粘板岩類:薄く剥がれる性質を持つ層状岩石

その他の分類

  • 🏭 凝灰岩類:火山灰由来で軽量性を特徴とする
  • 大理石類及びじゃ紋岩類:変成岩で装飾用途に多用される

この分類システムにより、用途に応じた適切な石材選定が可能となり、構造物の安全性と耐久性確保に貢献しています。

 

石材JIS規格の形状分類と寸法基準詳細

石材の形状分類は、用途と施工方法に基づいて4つのカテゴリーに区分されています:
角石の規格

  • 📐 定義:幅が厚さの3倍未満で、ある長さを持つもの
  • 🔧 用途:構造材として使用される基本形状

板石の規格

  • 📏 寸法基準:厚さ15cm未満、かつ幅が厚さの3倍以上
  • 🏭 加工区分:荒加工の程度により4段階に細分化

間知石の詳細規格

  • 形状:面がほぼ方形に近い形状
  • 📊 控え長:面に直角に測った控えの長さが面の最小辺の1.5倍以上
  • 🔹 特徴:四方落としの控えを持つ

割石の構造基準

  • 🎯 基本形:面がほぼ方形に近い
  • 📏 控え比:面に直角に測った控えの長さが面の最小辺の1.2倍以上
  • 加工:二方落としの控え構造

国土交通省の資料によると、同じ規格でも地域によって形状に差異があり、正方形的な間知石と長方形的な間知石が存在することが指摘されています。

石材JIS規格の物理的性質基準と試験方法

石材の物理的性質は、構造物の安全性を確保するための重要な指標となります。JIS A 5003では以下の試験項目が規定されています:
基本物理特性の測定

  • ⚖️ 見掛け比重:乾燥質量を正味体積で除した値
  • 💧 吸水率:石材が水分を保持できる能力の質量百分率
  • 💪 圧縮強さ:100×100×200mmの供試体による強度試験

圧縮強さによる分類基準

  • 🔴 硬石:4,903N/cm²以上(見掛け密度約2.7~2.5g/cm³、吸水率5%未満)
  • 🟡 準硬石:981~4,903N/cm²未満(見掛け密度約2.5~2g/cm³、吸水率5~15%未満)
  • 🟢 軟石:981N/cm²未満(見掛け密度約2g/cm³未満、吸水率15%以上)

試験実施の注意点

  • 📏 供試体が入手困難な場合、50×50×100mmでの試験も可能(JIS準拠)
  • ⚡ 最大荷重が試験機能力を超える場合、破壊前での試験終了も認められる
  • 📊 圧縮強さは3本の供試体の平均値で評価される

石材JIS規格における等級判定と品質管理の実践的アプローチ

石材の等級判定は、構造物の用途と要求性能に基づいて実施されます。JIS A 5003では、石材の欠点として以下の項目が挙げられています:
品質欠点の評価項目

  • 📏 寸法の不正確:規定寸法からの逸脱
  • 📐 そり:平面性の不良
  • 🔍 き裂:構造的欠陥となる亀裂
  • 🎨 むら(色調の不揃い):外観品質への影響
  • ⚠️ その他の構造的欠陥

等級区分の実用的基準

  • 🥇 1等品:構造用途、外装用途に適用
  • 🥈 2等品:床材など、やや品質要求の緩い用途
  • 📋 特記仕様により、用途に応じた等級選定が行われる

現場での品質管理実践
近年の研究では、石材の選定において従来のJIS規格だけでは不十分な場合があることが指摘されています。特に、石積み構造物においては、JIS規格の範囲内でも様々な形状の石材が存在し、地域性による違いが施工品質に影響することが明らかになっています。
実務では、JIS規格に加えて以下の検討が重要です。

  • 🔧 施工性の考慮:石材形状と積み方の適合性
  • 🌍 地域特性の把握:地元石材の特徴と伝統的工法
  • 📊 総合的品質評価:規格値以外の実用性能の確認

建材試験センターでは、JIS A 5003に基づく標準試験に加えて、JASS9T規格による曲げ強さ試験やだぼ部の固定耐力試験も実施しており、より詳細な品質評価が可能となっています。
JIS A 5003:1995 石材の詳細規格内容
建材試験センターの石材試験項目と方法