石材調仕上げの種類と施工手順・塗替えの注意点

石材調仕上げの種類と施工手順・塗替えの注意点

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石材調仕上げの種類と施工・塗替えの正しい知識

サイディング外壁に石材調仕上げを施工すると、後で100万円超のカバー工法が必要になることがあります。


石材調仕上げ 3つのポイント
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種類の違いを把握する

御影石調・大理石調・自然石調など種類によって施工工程・単価・適用下地が大きく異なります。

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下地選定が最重要

RC・モルタル下地は適合しますが、窯業系サイディングへの施工は吸水・剥離トラブルの原因になります。

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塗替えは5〜6工程が必要

セラミック層の脆化後の塗替えは通常の3工程ではなく、2液型エポキシシーラーを含む5〜6工程が必要になります。


石材調仕上げとは何か:意匠性塗料の基礎知識


石材調仕上げとは、樹脂を主成分とするベース材の中に、細かく砕いたセラミック(陶磁器粉)・着色珪砂・天然石粒などの色彩骨材を配合した塗料を使い、外壁や基礎部分を本物の石材に似せて仕上げる工法です。「石調仕上げ」「石調塗装」「石材調塗装」「セラミック塗料」など、呼び方はメーカーや現場によってさまざまですが、指す内容はほぼ同じです。


意匠性塗料とも呼ばれ、一般的な色付きの単色塗料とは根本的に仕上がりが異なります。塗膜表面にセラミックや石粒が浮き出ることで、凹凸感と重厚感が生まれます。これが石材調仕上げの最大の特徴です。仕上がりの質感は、単色ローラー塗りでは絶対に再現できません。


石材調仕上げ塗材には、大きく分けて次の種類があります。


- 自然石調塗材:天然石粒やセラミックの骨材で重厚感を演出。御影石・砂岩などの質感が得られる。


- 大理石調塗材:細かな骨材と複数色の配合で大理石特有の流れ模様を再現。室内外の壁面に使われることが多い。


- 御影石調塗材:花崗岩のゴマ塩状の模様を複数色の骨材で表現。外壁・基礎・腰壁などに幅広く採用される。


つまり「石材調仕上げ」は一種類ではないということですね。選ぶ種類によって施工工程も費用も変わってきます。


代表的なメーカーとして、山本窯業化工の「カラーセラミックス」シリーズ、菊水化学工業の「キクスイスキンコート」、エスケー化研の「エレガンストーン」「グラニースタッコ」「サンドフレッシュSi」、日本ペイントの「ジキトーン御影」「ジキトーンセラローラー」、関西ペイントの「アレスシリコンストーン」などがあります。老舗・大手メーカーの製品は廃盤リスクが低く、施工事例が豊富なため、相見積もりの比較もしやすいという利点があります。


施工部位は外壁全面にとどまらず、基礎部分・腰壁・ベランダ手すり壁・エントランス周りなど、重厚感を求める箇所に局所的に採用されるケースも多くあります。特に戸建て住宅では「基礎の石材調仕上げ」が人気で、建物全体を引き締める効果があります。


外壁塗装駆け込み寺:セラミック塗料(石材調仕上げ)の種類・効果・メーカー一覧


石材調仕上げの施工手順と目地工法の選び方

石材調仕上げの施工手順は、一般的な外壁塗装(下塗り→中塗り→上塗りの3工程)よりも工程数がかなり多くなります。これが「石材調は手間がかかる」と言われる理由の根拠です。


基本的な施工の流れは次のとおりです。


1. 下地確認・下地調整:既存の下地の劣化状態を確認し、必要に応じてモルタル補修や樹脂モルタルによる下地調整を行う。


2. プライマー(下塗材)塗布:下地への密着性を高めるため、下地の種類に合わせたプライマーを選定して塗布する。


3. 墨出し・目地棒の貼り付け(目地工法の場合):仕上がりの基準線を引き、目地棒を正確に貼る。この作業に最も時間がかかる。


4. バインダー吹き付け(捨吹き):仕上げ材を2回まともに吹くと重くなりすぎるため、1回目は液体状のバインダーで下地を整える。


5. 主材(石材調塗材)の吹き付け:専用ガンでセラミック・天然石粒などを含む主材を吹き付ける。複数色の場合は色を変えて複数回行う。


6. ヘッドカット(任意):吹き付け直後にプラスチックローラーで凸部を押さえ、均一な表面を作る工程。御影石調によく使われる。


7. トップコート(クリヤー)塗布:主材を保護するため、つや消しまたはつや有りのクリヤーを塗布して完成。


工程数が多いため費用が高くなるのは当然です。たとえば日本ペイントの「ジキトーン御影」を複色仕上げ(江戸切り目地)で施工した場合、17工程に及び、施工単価は1㎡あたり17,890円に達します。一般的に使われる光触媒塗料でも4,000〜5,500円/㎡程度なので、その3倍以上の水準です。


工程数が多いため費用も高い、というのが基本です。


目地工法については、主に「一段目地工法」と「目地なし(ベタ吹き)工法」があります。目地工法は、目地棒で区画を作ることで石材を積み上げたような外観を演出できます。重厚感はベタ吹きより格段に上がりますが、目地棒の養生・取り外しに非常に手間がかかるため、施工単価も高くなります。昔は銀行やマンションエントランス、モルタル住宅に多く採用されましたが、現在は需要が減少しています。


トップコートの施工は絶対に省略してはいけません。クリヤー仕上げを省くと、数年以内にセラミック層がボロボロと剥がれ落ちます。また、トップコートを施工する際は「明るい環境・晴天時」に行うことが重要です。曇り空や夕方などの光量が少ない条件下では塗り残しが発生しやすく、後に黒い変色として現れることがあります。阪神佐藤興産の調査では、変色した部分はローラーの塗り跡の形状で発生しており、露出した中塗りの汚れが原因だったことが確認されています。


阪神佐藤興産:石材調仕上げでクリヤー塗り残しによる変色が発生したトラブル事例と原因分析


石材調仕上げを施工してはいけない下地とその理由

石材調仕上げで最も危険な落とし穴が「下地の選定ミス」です。この点を軽視すると、後に数十万〜100万円超の大規模補修が必要になることがあります。


石材調仕上げ(特に石調セラミック塗装)が適合する下地は、鉄筋コンクリート(RC)造の外壁・モルタル外壁ALC板 などです。これらは壁体そのものに透湿性・耐水性があり、セラミック層が水を吸っても下地への影響が比較的小さいです。


一方、窯業系サイディング(新築住宅で最も広く使われている外壁材) に石材調塗装を施工することは、推奨できません。理由は以下の通りです。


石材調塗装の最終層であるクリヤーコートは、経年劣化で5〜10年ほどで剥がれ始めます。クリヤーが剥がれると、その下のセラミック層が露出します。セラミック層は吸水性が非常に高く、水を吸うとぬれ色になるほど水分を蓄えます。その水分が窯業系サイディングにまで達すると、サイディング自体が水を含んで腐食・凍害が進行します。これが問題のある状態です。


さらに困るのは、この状態からの塗り替えが非常に難しいという点です。セラミック層が脆弱化してボロボロになっていると、上から塗料を塗っても密着できません。硬いブラシによる水洗浄とケレン(研磨)で脆弱なセラミックを除去し、2液型エポキシシーラーを1〜3回塗布して下地を固め直す必要があります。その後、中塗り・目止め・上塗り2回という手順で、合計5〜6工程が必要になります。通常の3工程では対応できないということですね。


実際に岐阜県の塗装業者・三輪塗装では、窯業系サイディングへの石調セラミック施工後10年で表面のクリヤーが消失し、非常に水を吸いやすい状態となった事例を報告しています。この事例では塗り替えが実質不可能と判断され、ガルバリウム鋼板によるカバー工法が採用されました。カバー工法の費用は30坪の住宅で140〜150万円前後が相場です。


カバー工法が必要になると出費は大きいですね。


「20〜30年持ちます」「断熱性も上がります」といったセールストークを訪問販売業者から受けた場合、現在の外壁が窯業系サイディングかどうかを必ず確認してください。新築から10〜20年の住宅で最もよく使われているのが窯業系サイディングです。仮に住宅の外壁材を確認する手段として、外壁の継ぎ目(目地)を見ると判断しやすく、一定間隔でシーリング(コーキング)が打たれていれば窯業系サイディングの可能性が高いです。


三輪塗装(プロタイムズ岐阜関店):窯業系サイディングへの石調セラミック施工トラブル実例と落とし穴の解説


石材調仕上げの塗替え:セラミック層の脆化と正しい工程

石材調仕上げを一度施工した建物を塗り替える場合、通常の外壁塗装の常識は通用しません。多くの施工業者が「石材調の塗替え」を難工事と判断する理由がここにあります。


セラミック塗料の一般的な耐久性は10〜15年程度です。耐久性の決め手はセラミックではなく、ベースとなる樹脂(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素など)の種類によって決まります。セラミックが入っているだけで長寿命になるわけではありません。この点は建築業従事者でも誤解していることがあります。


セラミック塗料が経年劣化してくると、セラミックの結合剤であるエマルション(樹脂成分)が劣化し、セラミックの結合が弱まります。結果として、手で触ると砂のようにサラサラと落ちる「脆化」が起こります。近隣にセラミックの砂粒が飛散する可能性もあり、近所への迷惑になりかねない問題です。


このような脆化状態の外壁を塗り替える場合、正しい工程は次のとおりです。


1. 高圧洗浄とケレン:脆弱なセラミックを高圧洗浄と研磨で可能な限り除去する。


2. 2液型エポキシシーラーの塗布(1〜3回):残存するセラミック層に浸透・固化させ、下地を補強する。


3. 中塗り(目止め):下地の凹凸を均す。


4. 上塗り(2回):仕上げ塗料を2回塗布して完成。


合計5〜6工程です。通常の外壁塗装が3工程で済むのに対し、約2倍の工程になります。その分、費用も高くなります。


以前「半永久的に塗り替え不要」と訴問販売で説明されセラミック塗料を選んだ施主が、15年以上経って塗り替えを依頼すると、通常より大幅に高い費用を求められるという状況が全国的に多発しています。当時のセールストークは全く正しくなかったということですね。


塗替えのタイミングの目安は約10年です。ただし、見た目では劣化が分かりにくいのが石材調仕上げの特徴でもあります。セラミック層に水をかけてみて、吸水してぬれ色になるようであれば、クリヤーが消失して劣化が進んでいるサインです。外観が問題なく見えても、この方法で確認すると早期発見につながります。


部分的なトラブルが発生した場合でも、安易に単色塗料で塗りつぶすことは避けてください。石目調の上に単色塗料を全面塗布すると、下地との密着不良が起きやすく、亀の子状に剥がれるトラブルになることが実際に確認されています。石材調仕上げのリペアには専用の同系統塗料を使うことが条件です。


小林塗装(名古屋):セラミック塗料(石材調塗料)の塗り替えに手間と費用が余分にかかる理由の詳細解説


石材調仕上げの施工単価・耐用年数・メーカー選定で失敗しないコツ

石材調仕上げは意匠性の高い工法ですが、費用・耐用年数・塗料選定のいずれかで判断を誤ると、投じたコストが無駄になりかねません。ここでは施工判断に直結する数字と選定基準を整理します。


施工単価の目安として、石調塗料を使った標準的な工事の費用相場は1㎡あたり4,000〜4,800円程度が一般的です。しかし、複数色仕上げや目地工法を採用する場合はこの数字を大幅に超えます。前述の通り、日本ペイント「ジキトーン御影」の複色仕上げ(江戸切り目地)では1㎡あたり17,890円という水準になります。これはローラー施工の一般塗料と比較すると3〜4倍の単価です。


耐用年数の目安は使用するベース樹脂によって変わります。


| ベース樹脂 | 耐用年数の目安 |
|------------|----------------|
| アクリル系 | 5〜7年 |
| ウレタン系 | 7〜10年 |
| シリコン系 | 10〜12年 |
| フッ素系 | 15〜20年 |
| 無機系 | 20年以上 |


石材調仕上げの耐用年数は一般に10〜12年が目安とされますが、これはシリコン系ベースの場合です。耐用年数を重視するならフッ素系や無機系ベースの石材調塗料を選ぶと長持ちします。


塗料メーカーの選定では、次の3点を満たすメーカーを選ぶことが安全です。まず多くの塗装業者が取り扱っていること、次にインターネットに価格が公開されており相場を調べられること、最後に老舗・大手メーカーで廃盤リスクが低いことです。山本窯業化工・菊水化学工業・エスケー化研・日本ペイント・関西ペイントはいずれも業歴が長く、こうした基準を満たしています。


これは使えそうな判断基準です。


業者選定で見落としがちなのが「吹き付け工法の実績」です。石材調仕上げの多くはガンスプレーによる吹き付けで施工されますが、近年はローラー工法が主流となったため、吹き付け施工の経験が少ない職人も増えています。吹き付け工法はローラー工法よりも技術差が出やすく、飛散養生の精度も要求されます。見積もり時に「石材調の吹き付け施工実績が何件あるか」を確認し、施工事例の写真を提示してもらうことが、仕上がりの品質を担保するために有効です。


見積書の確認時は、工程数の記載を必ずチェックしてください。石材調仕上げで「下塗り・中塗り・上塗り」の3工程しか記載されていない場合、トップコートや捨吹きが省略されている可能性があります。工程が少ない見積もりは一見安く見えますが、数年以内に剥離や変色が発生するリスクがあります。石材調仕上げの適切な工程数が記載されているかを確認するのが条件です。


日本建築仕上材工業会:建築用仕上塗材ハンドブック(石材調仕上塗材の塗替え仕様例を含む付録あり)




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