

設計外注の単価を調べると「相場」が先に出てきますが、相場は“図面作成の前提条件が揃ったときの目安”として扱うのが安全です。例えば、同じ「平面図」でも、計画段階のラフ図から起こすのか、意匠が確定した実施設計図として整えるのかで工数が変わり、単価も当然変動します。
実務で単価がブレる代表要因は、次の4つです。
「図面単価」の具体例として、建築図面・施工図作成の外注目安では、A3一枚あたり、展開図・建具表などが7,000~10,000円、平面図・立面図・断面図などが12,000~15,000円、平面詳細図・矩計図などが15,000~20,000円というレンジが提示されています。これは“図面の密度が上がるほど単価が上がる”ことを示す分かりやすいベンチマークになります。
ただし注意点として、上記は「一枚単価」で見やすい一方、発注側の要求が「一枚の範囲」を超えて膨らみやすい形式でもあります。たとえば「平面詳細図1枚」と言いつつ、納まり検討、仕上表の整合、建具表との突合、展開図の追加、軽微な意匠調整まで含めると、実質的には“詳細設計の一部一式”に近くなります。相場を参照するほど、逆に「どこまでを含めるか」を文章で確定させる必要が出てきます。
参考リンク(国の基準の全体像・ガイドラインの入手元)。
国土交通省|設計、工事監理等に係る業務報酬基準について(告示第8号・ガイドライン)
単価交渉を通しやすくするコツは、「単価=作図の値段」ではなく「単価=作図+調整+チェック+リスクの値段」と捉えることです。外注側が見積に含めがちな“見えない作業”を、発注側が分解して理解できると、単価の説明も、削れる部分も見えてきます。
図面作成の内訳を、現場で揉めやすい順に分けるとこうなります。
ここで「単価が安い外注」を選んだのに総額が上がる典型パターンは、整合・納まり・修正が増えるケースです。例えば、A3一枚単価が安くても、資料が粗い状態で投げると質疑が増え、発注側の対応工数も増えます。結果として、外注費だけでなく、社内工数(=間接コスト)が膨らんで、プロジェクト全体の採算が悪化します。
逆に、単価を抑えつつ品質を確保する現実的な方法は、「外注の得意領域に寄せる」ことです。具体的には、次のように切り分けます。
外注に“設計判断まで丸投げ”すると、単価が上がるのは当然です。一方、判断は社内、作業は外注に寄せるほど、単価は相場の下側に寄せやすくなります。
単価の説明や社内承認で強いのが、国土交通省が示す「業務報酬基準(告示第8号)」と、その運用の考え方をまとめたガイドラインです。国交省ページでは「業務報酬基準(令和6年国土交通省告示第8号)」や「業務報酬基準ガイドライン」が公開されており、報酬算定の位置づけや構成、略算の考え方などが整理されています。
ここで重要なのは、「告示8号=この金額で必ずやれ」ではなく、交渉の“共通言語”として機能する点です。発注側が「なぜこの単価なのか」を説明でき、受注側も「どの作業が増えたから上がるのか」を説明しやすくなります。特に複数社の見積比較で、仕様・範囲がズレたまま「安い高い」だけで選ぶ事故を減らせます。
告示8号の考え方を、設計外注の単価交渉に落とすときは、次のように使うと効きます。
参考リンク(告示8号・ガイドラインの公開元)。
国土交通省|設計、工事監理等に係る業務報酬基準について
設計外注の単価で揉める原因の多くは、相場ではなく「見積依頼書の情報不足」です。外注先が誠実でも、前提が曖昧だと見積は保守的(高め)になり、逆に安く出た見積は後から増額しやすくなります。
見積依頼の段階で、最低限そろえるべき要素をチェックリスト化すると、単価が安定します。
特に「修正条件」は、単価に直結します。おすすめは、次のように“回数”ではなく“状態”で定義する方法です。
こうしておくと、外注側も見積に根拠が持てて、発注側も「どこからが追加か」を説明できます。
また、単価を比較するときは、必ず「含まれる作業」を横並びにしてください。A3一枚単価が同じでも、片方は建具表まで含み、もう片方は別料金、ということは普通に起きます。単価比較の前に、比較条件を揃えるのが設計外注では最重要です。
検索上位の話題は「相場」や「料金表」に寄りがちですが、現場で効くのは“単価と品質を同時に上げる運用設計”です。意外と見落とされるのが、外注の品質は「スキル」だけでなく「情報の流れ」で決まる、という点です。つまり、単価を上げなくても、情報設計を整えるだけで、品質とスピードが上がるケースがあります。
単価と品質の両立に効く、少しマニアックだけど現実的な工夫を挙げます。
この中でも特に効くのが「図面の“正”を決める」です。例えば、建具寸法の最終判断が建具表なのか平面図なのかが曖昧だと、外注は都度確認が必要になり、工数も納期も伸びます。逆に「建具寸法は建具表優先、平面図は参照」などと決めておけば、外注は迷わず処理でき、同じ単価でもアウトプットが安定します。
最後に、単価交渉の場で効く一言は「単価を下げたい」ではなく、「単価が下がる前提条件を整える」です。支給資料、修正条件、責任分界、優先順位が整っていれば、外注先はリスクを織り込まずに済み、結果として“相場の下側”の単価でも成立しやすくなります。
参考リンク(図面外注の単価目安・図面種類の具体例)。
STUDIO UNBUILT|建築図面・施工図作成の依頼外注の料金相場

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