
sgpは配管用炭素鋼鋼管(Carbon steel pipes for ordinary piping)の略称で、「Steel Gas Pipe」として知られています。JIS G 3452規格に基づいて製造される鋼管で、炭素鋼を主材料として使用し、鉄に少量の炭素を加えることで鉄よりも硬く、優れた耐久性を実現しています。
sgpの化学成分は厳格に管理されており、リン(P)と硫黄(S)の含有量はそれぞれ0.040%以下に制限されています。この化学成分の安定性により、取り扱いしやすい鋼管として評価されています。
機械的性質として、引張強さは290N/mm²以上の高い強度を持ち、伸び率は管軸方向で30%以上、管軸直角方向で25%以上の優れた延性を示します。曲げ試験では90度の曲げ角度に対応し、内側半径は管の外径の6倍まで許容されます。
製管方法には電気抵抗溶接(E)と鍛接(B)があり、仕上げ方法として熱間仕上げ(H)、冷間仕上げ(C)、電気抵抗溶接(G)が選択できます。例えば熱間仕上電気抵抗溶接鋼管の場合、SGP-E-Hと表記されます。
sgpには表面処理の有無により黒管と白管の2種類が存在し、それぞれ異なる用途に使用されています。
黒管の特徴と用途
黒管は表面処理を施していないsgpで、外観が黒く見えることから名付けられました。主な用途は以下の通りです。
黒管は耐食性が低いため、腐食環境での使用は避ける必要があります。
白管の特徴と用途
白管は内側と外側に熱処理による亜鉛メッキを施したsgpで、白色または銀色の外観が特徴です。亜鉛メッキにより耐食性が大幅に向上し、以下の用途に使用されます。
白管の亜鉛メッキ層は規定寸法以上の厚さを持ち、長期間の耐食性を確保しています。
使用温度と圧力の制限
sgpの使用範囲は温度-15°~350°、圧力1.0MPa以下に制限されています。この制限を超える用途では、より高性能な配管材料の選択が必要です。
sgpの接続には4つの主要な方法があり、用途や現場条件に応じて適切な方法を選択することが重要です。
1. 切削ねじ接合方法
最も古くから採用されている一般的な接合方法で、主に小口径管(15A~50A)に使用されます。鋼管の端部にねじを切削加工し、継手を使用して接続します。
2. 転造ねじ接合方法
切削ではなく圧延によりねじを成形する方法で、材料の切削による強度低下を防げます。
3. メカニカル接合方法
ハウジング管継手を使用した機械的接合法で、「機械的接合法」とも呼ばれます。熟練度をそれほど必要としない比較的簡単な接合方法です。
4. 溶接接合方法
最も強固な接合が可能な方法で、高圧配管や重要な配管に使用されます。
接合方法の選択は、使用圧力、流体の種類、メンテナンス性、コストを総合的に考慮して決定します。
sgpはJIS G 3452「配管用炭素鋼鋼管」規格に準拠して製造されており、寸法や性能が厳格に規定されています。
寸法規格の詳細
sgpの外径範囲は10.5mm~508.0mmと幅広く、様々な配管ニーズに対応できます。一般的なサイズとその用途は以下の通りです。
肉厚と強度の関係
sgpの肉厚は外径に応じて規定されており、使用圧力に対して十分な安全率を確保しています。肉厚が薄いほど軽量で経済的ですが、耐圧性能は低下します。
許容応力と安全率
sgpの設計には許容応力の概念が重要で、材料の引張強さに対して適切な安全率を設定しています。一般的に安全率は4~5倍程度設定され、長期使用での安全性を確保しています。
品質管理と検査項目
製造工程では以下の検査が実施されます。
これらの厳格な品質管理により、sgpの信頼性が保証されています。
金属加工の現場では、sgp以外にも様々な配管材料が使用されており、用途に応じた適切な材料選択が重要です。
ステンレス鋼管との比較
ステンレス鋼管(SUS)はsgpと比較して以下の特徴があります。
食品工業や化学プラントではSUSが選択されますが、一般建築ではsgpのコストメリットが重視されます。
塩化ビニル管(VP/VU)との比較
樹脂系配管材料との使い分けは以下の通りです。
銅管との比較
銅管は住宅設備で使用されることがありますが。
強化型sgpバリエーション
sgpを基に開発された強化型には以下があります。
これらの比較から、sgpは汎用性とコストバランスに優れた配管材料として、今後も幅広い用途で使用され続けると予想されます。特に金属加工業界では、sgpの加工性の良さと入手の容易さが重要な選択要因となっています。