
配管の呼び径は、実際の配管外径を分かりやすく表現するために定められた規格値です。金属加工現場では、この呼び径を正確に理解することが作業効率と品質に直結します。
A呼称の特徴
B呼称の特徴
俗称(通称)の実用性
現場では、B呼称の分母を8に固定した俗称が頻繁に使われます。例えば、B呼称「1/8」は「一分(いちぶ)」、「1/4」は「二分(にぶ)」と呼ばれ、作業者間のコミュニケーションを円滑にしています。
重要なのは、これら3つの表記方法は名称が異なるだけで、実際の配管外径は同一である点です。80Aも3インチも3インチ(俗称)も、すべて外径89.1mmの同じ配管を指します。
配管規格の選択は、プロジェクトの性質や使用環境によって決定されますが、JIS規格とANSI規格では微妙に外径寸法が異なるため注意が必要です。
JIS規格の特徴
ANSI規格との比較例
以下の表は、同一呼び径におけるJIS規格とANSI規格の外径差を示しています。
呼び径 | JIS規格(mm) | ANSI規格(mm) | ANSI規格(inch) |
---|---|---|---|
6A(1/8) | 10.5 | 10.3 | 0.405 |
15A(1/2) | 21.7 | 21.3 | 0.840 |
25A(1) | 34.0 | 33.4 | 1.315 |
50A(2) | 60.5 | 60.3 | 2.375 |
この寸法差は、継手やフランジ接続時に重要な影響を与えるため、規格統一を徹底する必要があります。
規格選択の判断基準
SGP管(Steel Gas Pipe)は、JIS G 3452に基づく配管用炭素鋼鋼管で、金属加工現場で最も汎用的に使用される配管材料の一つです。
SGP管の基本仕様
SGP管は「Steel Gas Pipe」の略称で、以下の特徴を持ちます。
代表的なSGP管サイズ一覧
A呼称 | B呼称 | 俗称 | 外径(mm) | 内径(mm) | 厚さ(mm) | 単位質量(kg/m) |
---|---|---|---|---|---|---|
15A | 1/2 | 4分 | 21.7 | 16.1 | 2.8 | 1.31 |
20A | 3/4 | 6分 | 27.2 | 21.6 | 2.8 | 1.68 |
25A | 1 | インチ | 34.0 | 27.6 | 3.2 | 2.43 |
50A | 2 | 2インチ | 60.5 | 52.9 | 3.8 | 5.31 |
80A | 3 | 3インチ | 89.1 | 80.7 | 4.2 | 8.79 |
100A | 4 | 4インチ | 114.3 | 105.3 | 4.5 | 12.2 |
重量計算の実践的応用
SGP管の重量計算式は以下の通りです。
単位質量(kg/m)× 長さ(m)= 重量(kg)
実例:SGP 25A × 6000mm の場合
2.43kg/m × 6.0m = 14.58kg
この計算は、運搬計画や構造計算において必須の知識です。特に大型プラントでは、配管重量が構造物の設計荷重に直接影響するため、正確な算出が求められます。
サイズ選定の判断要素
配管システムは、パイプ単体では機能せず、継手とバルブの適切な組み合わせによって完成します。これらの構成要素の選定は、システム全体の性能と信頼性を左右する重要な要素です。
配管継手の種類と用途
配管継手は、パイプ同士を接続して配管経路を自在に構成するための部品です。
バルブ選定の基本原則
バルブは流体制御の中核となる機器で、用途に応じた適切な選定が必要です。
グローブバルブ
ボールバルブ
ゲートバルブ
継手・バルブ選定時の注意事項
配管材質の選定は、使用環境や流体特性を総合的に判断して決定する必要があります。間違った材質選定は、腐食や破損による重大な事故につながる可能性があります。
用途別材質選定指針
ガス配管工事
衛生配管工事
空調配管工事
プラント配管工事
現場施工時の重要ポイント
寸法確認の徹底
接続部の品質管理
試運転前の検査項目
長期運用を見据えた配慮
配管システムは10年以上の長期使用が前提となるため、以下の点に配慮した設計・施工が重要です。
規格配管の適切な選定と施工は、金属加工現場の安全性と生産性に直結する重要な技術です。基礎知識を確実に習得し、現場での実践を通じて技能向上を図ることが、プロフェッショナルとしての成長につながります。