シロキサン系含浸撥水材の施工と下地と劣化

シロキサン系含浸撥水材の施工と下地と劣化

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シロキサン系含浸撥水材の施工と下地

シロキサン系含浸撥水材の要点
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狙うのは「水の侵入」だけを止めること

塗膜のように覆うのではなく、細孔表面を疎水化して吸水を抑えます(透湿性は残る考え方)。

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下地は「健全・乾燥・清浄」が成否を分ける

含水・レイタンス・油分・脆弱部があると浸透が阻害され、期待性能が出にくくなります。

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適用不可になりやすい条件がある

水が強制的に圧入される環境、水掛かりが強い部位、ひび割れ部などは材料特性上リスクが上がります。

シロキサン系含浸撥水材の特徴と撥水と透湿

シロキサン系含浸撥水材(実務上は「シラン・シロキサン系」の浸透性吸水防止剤として扱われることが多い)は、コンクリートや無機建材の細孔表面を疎水化し、液体水の侵入を抑えることで劣化因子の入り口を減らすタイプです。
ポイントは「表面に膜を作って塞ぐ」のではなく、細孔表面で反応して安定な結合(Si-O-Si など)を形成し、含浸層そのものが機能することにあります。
この系統は、液体水を抑えつつ内部の水分は水蒸気として放散しやすい(透湿性を阻害しにくい)という整理がされており、塗膜系で起きやすい“内側に水を閉じ込める”問題を回避したい場面で検討されます。
ただし「中性化を完全に止める」「ひび割れを埋める」といった万能材ではなく、目的機能(吸水防止・遮塩など)と適用条件を合わせる設計が必須です。


参考)「シラン・シロキサン系」コンクリート表面含浸材の特徴|ケイ酸…

また、シラン系(撥水型)と、けい酸塩系(緻密化型)は同じ“表面含浸”でも狙いが違い、ひび割れ閉塞性や水圧環境への適性が異なるため、同列比較で「どちらが上」という話にすると現場で事故が起きます。

「水は通しにくいが水蒸気は通す」という性質はメリットですが、逆に言えば“水が圧力で押し込まれる”条件では、細孔を塞がない分だけ弱点になり得る点が落とし穴です。

シロキサン系含浸撥水材の下地処理と含水と清掃

施工の成否は、材料選定よりも下地の「健全性」「清浄さ」「乾燥」に左右されます。
シラン系表面含浸材は、塗布面に疎水性が付与されることで吸水を抑えますが、その反面、表面が汚れていたり脆弱層が残っていたりすると“浸透できるべき細孔”に届かず、効果が薄くなります。
レイタンス、脆弱部、油分などの除去は、単なる見た目の問題ではなく、含浸層を連続して形成できるか(=撥水のムラが出ないか)に直結します。
含水についても、表面含浸材は“水と置き換わって浸透する”発想ではないため、施工面が湿っていると浸透深さが稼げず、結果として耐久性・遮塩性の期待値が落ちやすいです。

さらに、施工後に別工法(塗装、被覆、接着など)を重ねる計画がある場合、撥水性が「付着性能を阻害」し得る点が重要で、下地改質として安易に使うと後工程のトラブル要因になります。

現場では「今日は湿ってるけど、撥水材だから大丈夫」という誤解が起きやすいので、含水の測定・記録(写真・数値)が、品質管理の防波堤になります。

シロキサン系含浸撥水材の施工手順と塗布と養生

シロキサン系含浸撥水材の施工は、基本的に「下地処理 → 乾燥確認 → 規定量塗布 → 養生」の短工程で成立しやすく、表面被覆に比べて工期短縮が狙えるのが強みです。
ただし短工程=簡単ではなく、塗布量が不足すると“疎水化の連続層”が成立しにくく、逆に過剰でも性能が比例して伸びるわけではないため、メーカー規定(塗布量・塗り回数・希釈可否)を守ることが最優先です。
塗布はローラー・刷毛・噴霧など現場条件で選べますが、狙いは「濡れ色が出るほど塗って終わり」ではなく、基材が吸い込める範囲で均一に含浸させることです。
養生で見落とされがちなのが、施工直後の降雨・結露・夜間冷え込みです。

この系統は含浸層で性能を発現する整理がされている一方、施工中~施工直後に水が絡むと表層側で想定外の状態になり、白化やムラ、性能不足につながるリスクがあります。

「塗って終わり」ではなく、塗った後に“水を当てない工程設計”(天気読み、仮設、施工時間帯の工夫)が、品質の差になります。

シロキサン系含浸撥水材の適用部位と水掛かりとひび割れ

適用判断で最重要なのは、施工対象が「水がしみ込む(浸入)」環境か、「水が押し込まれる(圧入)」環境かの見極めです。
シラン系表面含浸材は、健全なコンクリートでは防水性(透水抑制)に優れる傾向が示される一方、水掛かり・ひび割れ部への適用性が低い、あるいは水圧環境では期待効果が得られない場合がある、と整理されています。
実務では、橋座面のように水分が滞留しやすい部位は“シラン系は厳しい”という位置付けが語られることがあり、こうした部位では別系統(けい酸塩系など)を含めて比較検討が必要になります。
さらに見落としやすいのが、ひび割れの扱いです。

シラン系はクラック充填を行わないため、ひび割れがあるとそこが“水の高速道路”になり、撥水層を作っても効果が相殺されやすく、場合によっては効果が小さい・期待できないとされます。

ひび割れが想定される場合は、先に補修(注入、充填など)を行ってから含浸撥水材を適用する、あるいは別工法を選ぶ、といった順序設計が必要です。

シロキサン系含浸撥水材の独自視点:凍害とASRと含水管理

意外に盲点になるのが、「撥水=水に強い=どこでも延命」という短絡です。
シラン系表面含浸材は、例えとして“表層に不透水の膜が形成される様な状態”と説明されることがあり、塗布面以外から水分供給がある条件では、コンクリートの含水量を増大させる恐れがある、という注意が示されています。
ここが重要で、含水量が上がると凍結融解のリスク評価や、反応性骨材が絡むASR(アルカリシリカ反応)の進行条件に影響し得るため、「水を止める」ことが別の劣化スイッチを押す可能性があります。
特に凍害環境では、表面含浸材の種類や試験条件によって“塗布で劣化が進行した”と読める事例整理もあり、水圧・浸漬のような環境ではシラン系塗布試験体が早期に剥離し劣化が進行した、という報告があります。

このため寒冷地や水が滞留・浸漬する部位は、「撥水材を塗る」より先に、排水計画(勾配・水切り・目地・ドレン)や、雨掛かり・凍結の発生メカニズムを潰す設計のほうが効くケースがあります。

含浸撥水材は“最後のひと押し”には強い一方、構造・納まりが作る水の滞留を放置すると、材料の良さが裏目に出ることがある、というのが現場的な結論です。

有用:シラン・シロキサン系浸透性吸水防止剤の作用機序(Si-O-Si結合)、撥水・透湿・遮塩など特長の整理(フォーラム資料)
https://www.j-cma.jp/j-cma-pics/10005539.pdf
有用:シラン系(撥水型)とけい酸塩系(緻密化型)の比較、適用部位(水掛かり・ひび割れ)と注意点、付着阻害などの実務論点
29.シラン系表面含浸材(撥水型)とけい酸塩系表面含浸材(緻…