ステンレス規格の種類・記号・用途・選び方ガイド

ステンレス規格の種類・記号・用途・選び方ガイド

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ステンレス規格種類

ステンレス規格の基本情報
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JIS規格体系

日本工業規格に基づく系統的な分類と記号体系

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材料特性

各規格の化学成分と機械的性質の違い

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建築用途

構造材・建材としての使い分けと選定基準

ステンレス規格のJIS記号体系の基本

ステンレス規格の中核を成すJIS規格において、SUSという記号が使用されます。SUSは「Steel Use Stainless」の頭文字で、錆びにくい特殊用途鋼を意味します。この記号は建築業界においても標準的に使用されており、材料選定における重要な指標となっています。
JIS規格では、主要なステンレス鋼材関連規格として以下が制定されています:

  • JIS G 4303: ステンレス鋼棒
  • JIS G 4304: 熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯
  • JIS G 4305: 冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯
  • JIS G 4311: ステンレス鋼線
  • JIS G 4312: ステンレス鋼棒(溶接棒を含む)

ステンレス規格の系別分類と特徴

ステンレス規格は金属組織によって5つの系統に分類されます。各系統の特徴と規格数は以下の通りです:
オーステナイト系ステンレス(36規格材質)

  • 非磁性で優れた耐食性
  • 加工性が良好
  • 代表例:SUS304、SUS316

フェライト系ステンレス(15規格材質)

  • 磁性を持つ
  • 応力腐食割れに強い
  • 代表例:SUS430

オーステナイト・フェライト(二相)ステンレス(6規格材質)

  • 高強度と耐食性を兼備
  • 溶接性に優れる

マルテンサイト系ステンレス(6規格材質)

  • 高硬度・高強度
  • 刃物や工具に使用

析出硬化系ステンレス(2規格材質)

  • 熱処理により硬化
  • 高強度部品に適用

ステンレス規格の建築構造材料への応用

建築分野において、ステンレス規格は用途別に細分化されています。建築構造用ステンレス鋼材として4種類が規格化されており、それぞれ特定の用途に最適化されています:
建築構造用規格

  • SUS304A:一般構造用
  • SUS304N2A:高強度構造用
  • SUS316A:耐海塩性が必要な構造用
  • SCS13AA-CF:鋳造品

形鋼規格の種類

  • 熱間成形ステンレス鋼形鋼:17種類規定
  • 冷間成形ステンレス鋼形鋼:建材・構造材料として使用

建築現場では、末尾記号により成形方法を区別できます。

  • -HF:熱間成形形鋼
  • -CF:冷間成形形鋼

ステンレス規格の化学成分と機械的特性

ステンレス規格において、化学成分の違いが性能に大きく影響します。代表的なSUS202の例を見ると、ニッケル含有量を抑制し、マンガンと窒素を添加することで、コスト削減と特性向上を図っています。
機械的性質の比較

  • 耐力:SUS202 > SUS304
  • 引張強さ:同等レベル
  • 硬度:SUS202が高い値を示す
  • 加工性:SUS202は加工硬化しやすい特徴

物理的特性

  • 比重:7.93(各規格で共通)
  • 磁性:基本的に非磁性(加工部は微磁性)
  • 熱伝導率:規格により若干の差異

建築業界では、これらの特性値を基に構造計算や材料選定を行うため、正確な規格理解が必要不可欠です。

 

ステンレス規格の表面仕上げと調質記号システム

ステンレス規格では、表面仕上げと調質状態を詳細に規定しています。この規格体系は建築外装材の選定において特に重要な要素となります。
調質記号の種類

  • 1/4H:軽度の冷間加工
  • 1/2H:中程度の冷間加工
  • 3/4H:強度の冷間加工
  • H:最大限の冷間加工
  • EH、SEH:超高強度仕様

表面仕上げ規格

  • 表面粗さ(Ra & Rz):JIS B0601準拠
  • 光沢度:用途別に細分化
  • 製品別仕上げ:板材、管材で異なる基準

意外な特徴として、同一素材でもJIS G 4305(板材用)とJIS G 4313(ばね用)では、強度規格の適用範囲が異なります。建築用ばね材を使用する際は、-CSP記号を明記することで、より厳格な強度保証が得られます。

 

さらに、海外規格(ASTM等)との相互参照も重要で、国際プロジェクトでは規格番号の確認が欠かせません。これらの詳細な規格理解により、建築物の品質向上と長期耐久性の確保が実現できます。