
ステンレス規格の中核を成すJIS規格において、SUSという記号が使用されます。SUSは「Steel Use Stainless」の頭文字で、錆びにくい特殊用途鋼を意味します。この記号は建築業界においても標準的に使用されており、材料選定における重要な指標となっています。
JIS規格では、主要なステンレス鋼材関連規格として以下が制定されています:
ステンレス規格は金属組織によって5つの系統に分類されます。各系統の特徴と規格数は以下の通りです:
オーステナイト系ステンレス(36規格材質)
フェライト系ステンレス(15規格材質)
オーステナイト・フェライト(二相)ステンレス(6規格材質)
マルテンサイト系ステンレス(6規格材質)
析出硬化系ステンレス(2規格材質)
建築分野において、ステンレス規格は用途別に細分化されています。建築構造用ステンレス鋼材として4種類が規格化されており、それぞれ特定の用途に最適化されています:
建築構造用規格
形鋼規格の種類
建築現場では、末尾記号により成形方法を区別できます。
-HF
:熱間成形形鋼
-CF
:冷間成形形鋼
ステンレス規格において、化学成分の違いが性能に大きく影響します。代表的なSUS202の例を見ると、ニッケル含有量を抑制し、マンガンと窒素を添加することで、コスト削減と特性向上を図っています。
機械的性質の比較
物理的特性
建築業界では、これらの特性値を基に構造計算や材料選定を行うため、正確な規格理解が必要不可欠です。
ステンレス規格では、表面仕上げと調質状態を詳細に規定しています。この規格体系は建築外装材の選定において特に重要な要素となります。
調質記号の種類
表面仕上げ規格
意外な特徴として、同一素材でもJIS G 4305(板材用)とJIS G 4313(ばね用)では、強度規格の適用範囲が異なります。建築用ばね材を使用する際は、-CSP記号を明記することで、より厳格な強度保証が得られます。
さらに、海外規格(ASTM等)との相互参照も重要で、国際プロジェクトでは規格番号の確認が欠かせません。これらの詳細な規格理解により、建築物の品質向上と長期耐久性の確保が実現できます。