単管やぐら組み方と安全な足場の基本手順

単管やぐら組み方と安全な足場の基本手順

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単管やぐら組み方の基本

この記事でわかること
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単管やぐらの基礎知識

単管パイプとクランプを使った安全なやぐらの組み立て方法

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必要な部材と工具

直交型・自在型クランプなど適切な金具の選び方

労働安全衛生規則の基準

法令で定められた寸法や設置間隔、作業床の幅などの安全基準

単管やぐらに必要な部材と工具

単管やぐらの組み立てには、外径48.6mmの単管パイプと専用の金具類が必要です。主な部材として、単管パイプ本体、接合用のクランプ(直交型・自在型)、ベース金具、敷板、六角レンチ(対辺5mm)などを準備します。
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クランプには用途に応じて複数の種類があります。直交型クランプは単管を90度に固定する最も基本的な金具で、引張強度1500kg以上、許容荷重500kgの高い強度を持ちます。自在型クランプは任意の角度で単管を接続できる構造ですが、引張強度1000kg以上、許容荷重350kgと直交型より耐荷重が低くなります。3連クランプは3本の単管を同時に締結できる便利な金具です。
参考)単管クランプの種類と特長 【通販モノタロウ】

部材の寸法や柱の本数は、設置場所と環境に合わせて調整が必要です。金具の締め付けが弱いと回転する可能性があるため、金具と単管パイプに穴を開けてドリルビス等で貫通させるとより安全性が高まります。​

単管やぐらの基礎設置手順

やぐら組み立ての最初の工程は、足場が滑ったり沈下したりするのを防ぐための基礎設置です。地面に敷板や敷角を設置し、その上に単管ベース(固定ベース)を配置します。基礎部分はしっかりと平らで安定した地面に設置し、必要に応じて土を掘り平らにするなどの整地を行います。
参考)単管足場とは?部材の名称・役割や組み方を解説

敷板や敷角の上の単管ベースを基準に、縦方向の単管パイプを支柱として組み立てていきます。支柱同士を連結させる際には、根がらみを使用して固定します。このとき、すべての縦管の高さが揃っているかどうかを確認するために水平器を使用することが推奨されます。
参考)DIY初心者にも分かる!足場の組み方完全ガイド #足場組み方…

労働安全衛生規則では、脚部にはベース金具を使用して敷板や敷角、根がらみ等を設けることが義務付けられています。足場の安定性は基礎の品質に大きく依存するため、この工程を丁寧に行うことが全体の安全性を確保する上で不可欠です。
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単管やぐらのクランプ締め付けと枠組み

支柱が立ったら、単管パイプ同士をクランプで接続して枠を組み立てます。特に重要なのがクランプの締め付けトルクで、標準値を意識して均一に締めることで枠組みの安定性が保たれます。​
締め付け強度の目安として、Lレンチで手締めする場合は約11~12Nm、トルクレンチを使用する場合は12~15Nmが推奨されています。手締めの場合の引き抜き強度は約380kg、トルクレンチ締め12Nmで約370kg、15Nmで約610kgと、締め付けトルクによって引き抜き強度が大きく変化します。
参考)パイプと金具のネジ締め付け強度(Nm)と引抜荷重の変化 LA…

クランプは使用しているうちに爪が減り、ナットが締まらなくなったり、締め過ぎによりクランプが滑ってしまう場合があります。また、スパナの長さによって締め付ける力が違ってくるため、必ず規定のスパナ(クランプ回し)を用いることが必要です。枠組みが完成したら、足場板を枠の上に渡して単管に固定していきます。​

単管やぐらの筋交いと補強方法

やぐらの倒壊を防ぐためには、筋交い(ブレス)の設置が重要です。筋交いは柱と柱の間に斜めに配置することで、地震や強風による変形やねじれを防止します。単管足場では8層8スパン以下ごとに筋交いの設置が必要です。
参考)足場の安全に必須な筋交いとは?設置を怠ると違法になる場合も

筋交いには設置場所により3つの種類があります。桁行筋交い(大筋交い)は足場の側面に配置し、足場の外面に垂直方向15m以下、水平方向16.5m以下の設置間隔ごとに交差2方向に設けます。はり間筋交いは正面に配置し、水平筋交いは水平の向きに側面で配置します。
参考)ー足場の筋交い(ブレス)の役割とは!?種類・設置方法ー

筋交いは水平に対しおおむね45度の角度で全層全スパンにわたって設置し、各構面ごとに交互に向きを変えて設置します。きれいな八の字で設置されているか工程ごとにチェックする必要があります。建物の外壁に沿って足場を組む場合は、壁繋ぎを使用して単管を固定し、倒壊を防ぐために筋交いを枠外へ斜めに固定するように設置して補強します。​

単管やぐら組み立ての安全基準

単管やぐらの組み立てには、労働安全衛生規則で定められた安全基準を遵守する必要があります。建地間隔は桁方向1.85m以下、はり間方向1.5m以下にすることが規定されています。地上第一の布は高さ2m以下の位置に設け、壁繋ぎは垂直方向5m以下、水平方向5.5m以下の間隔で設置します。
参考)単管足場の寸法・構成方法における設置基準と注意点とは

高さ2m以上の足場の作業場所では幅40cm以上の作業床を設ける必要があります。作業床の積載荷重は1スパン1層あたり400kg以下と定められており、床材の隙間は3cm以下、床材と建地との隙間は12cm未満にする必要があります。
参考)https://www.kasetsu.or.jp/education/publication/docs/ashiba_sekkei_naka.pdf

高さ85cm以上の丈夫な手すり、高さ35~50cmの中さん、高さ10cm以上の幅木を設けることが義務付けられています。つり足場や張り出し足場を高さ5m以上で組み立てる際には、足場組み立て等作業主任者を選任する必要があります。建地の最高部から31mを超える場合は銅管2本組にする必要がありますが、建地の下端に作用する荷重設計が最大使用荷重を超えない場合はこの限りではありません。
参考)【2025年最新版】作業床と手すり高さの安全基準|労働安全衛…

単管やぐら組み立て時のグラつき対策

やぐらを組み立てた際に予想以上にグラグラする場合、適切な補強が不足している可能性があります。グラつきを抑えるためには、筋交いの追加設置、壁繋ぎの増設、ベース部分の強化などの対策が効果的です。
参考)単管パイプでやぐらを組もうと思っています - この設計図通り…

建地間あたりの積載荷重は400kg以下にすることが法令で定められており、これを超えると足場の安定性が損なわれます。足場組立作業主任者は、材料や工具、安全帯などの点検を行い、作業方法の決定や安全帯などの使用状況を監視する責任があります。​
足場は倒れないように建物などでは一定間隔で壁繋ぎをして控えをとる必要があります。特に高所作業の場合、単管落下防止カバーなどの安全対策製品を使用することで、パイプサポート等の鋼管類の横からの落下を防ぐことができます。組み立て後は、労働安全衛生規則に基づき作業開始前、悪天候後、足場の組立・一部解体・変更後に点検を行うことが義務付けられています。
参考)単管落下防止カバー『SF GUARD』【現場での安全対策に】…