登記所一覧と管轄の調べ方・建築業の実務ポイント

登記所一覧と管轄の調べ方・建築業の実務ポイント

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登記所の一覧と管轄・建築業で使う実務知識

建物完成後1ヶ月を過ぎると、過料10万円のリスクがあなたに降りかかります。


この記事でわかること
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登記所(法務局)の全国一覧と構造

全国50か所の法務局・地方法務局と、その下に置かれる支局・出張所の仕組みを整理。建築現場に合った管轄登記所を素早く見つける方法がわかります。

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建築業で発生する主な登記の種類と期限

新築・増築・解体それぞれで必要な登記の種類と、法律で定められた申請期限(1ヶ月以内)を確認。期限を超えると10万円以下の過料リスクがあります。

💻
オンライン申請・管轄外取得の活用法

「登記ねっと」を使えば平日21時まで申請可能で、手数料も窓口より安い。管轄外の法務局でも登記事項証明書が取得できる仕組みと、その使い方を解説します。


登記所一覧の全体構造:法務局・支局・出張所の違い

登記所」とは、不動産登記や商業登記などを取り扱う国の機関のことで、正式には「法務局」と呼ばれます。建築業に携わっていると、新築した建物の表題登記や、取り壊した建物の滅失登記などで登記所を利用する機会が必ず出てきます。どこに申請すればよいかを事前に把握しておくことが、スムーズな業務進行につながります。


法務局の組織構造は、大きく3つの階層に分かれています。まず最上位に「法務局(管区法務局)」が全国8か所に設置されています。具体的には、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の各法務局です。この8局の下に、都道府県を単位とする「地方法務局」が42か所置かれており、合計50の本局が全国をカバーしています。


さらに本局の下には、実務を担う「支局」と「出張所」が配置されています。これらを合計すると、370か所以上(2016年時点)の拠点が全国に存在します。かつては500を超える数でしたが、近年は統廃合が進んでいます。出張所では主に登記に関する事務を取り扱い、支局では登記に加えて戸籍や国籍などの業務も行っています。


つまり「どの登記所に行けばいいか」は、物件の所在地によって決まります。


各地域の管轄を確認する方法は、法務省が提供する「登記管轄一覧表」がもっとも確実です。以下のページでは、都道府県ごとに管轄する法務局・支局・出張所の一覧を確認できます。


法務局公式サイト「登記管轄一覧表・供託所一覧表」(各地方の法務局リンクが全掲載)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu.html


地方区分 法務局(管区) 主な対象都道府県
北海道 札幌法務局 北海道(函館・旭川・釧路の各地方法務局も)
東北 仙台法務局 宮城・福島・山形・岩手・秋田・青森
関東甲信越 東京法務局 東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬・静岡・山梨・長野・新潟
中部 名古屋法務局 愛知・三重・岐阜・福井・石川・富山
近畿 大阪法務局 大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山
中国 広島法務局 広島・山口・岡山・鳥取・島根
四国 高松法務局 香川・徳島・高知・愛媛
九州・沖縄 福岡法務局 福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・鹿児島・宮崎・沖縄


建築現場が複数の都道府県にまたがる業者の場合は、物件ごとに管轄が異なる点に注意が必要です。「いつも同じ法務局に持って行っていた」という感覚での申請は、思わぬトラブルの原因になります。管轄が原則です。


法務局のご案内(全国の法務局一覧・組織説明)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/enkaku_index.html


登記所の管轄を間違えると申請が却下になる仕組み

建築業者が特に注意すべきなのが、「管轄違い」による申請却下です。不動産登記法第25条第1号は、「申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき」は申請を却下すると明確に定めています。


却下されると何が起きるでしょうか? 申請書類がそのまま返却され、改めて正しい管轄の登記所へ再申請する手間が生じます。登記申請書の作成から添付書類の準備まで、一からやり直しになるケースもあります。これは時間コストだけでなく、場合によっては期限(1ヶ月以内)を超過してしまうリスクにも直結します。


ただし、例外として知っておきたいのが「2つの登記所の管轄区域にまたがって建てられた建物」のケースです。不動産登記事務取扱手続準則第5条では、建物の一部が甲登記所と乙登記所の両方の管轄区域にまたがる場合、法務大臣が管轄登記所を指定できると定められています。複数の市区町村にまたがる大規模建築物の場合は、担当司法書士や土地家屋調査士に事前に相談することが大切です。


正しい管轄の法務局を確認するには2つの方法があります。


- 法務省公式サイト「管轄のご案内」から、対象物件の住所がある都道府県・市区町村を選んで検索する方法
- 「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」でオンライン申請時に「オンライン物件検索」機能を使うと、登記所コードが自動入力される方法


管轄確認はひと手間ですが、却下リスクを防ぐ確実な行動です。


不動産登記の申請却下事由について(法務省)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji72.html


建築業者が直面する登記の種類と登記所への申請期限

建築業に関わる不動産登記の種類は、大きく分けて3つあります。それぞれに法定の申請期限が設けられており、期限を守らない場合は10万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。期限に注意が必要です。


① 建物表題登記(新築時)


新しい建物を完成させた際に必要な登記で、建物の所在・種類・構造・床面積などを初めて登記記録に記載するものです。不動産登記法第47条第1項により、所有権を取得した日(建物完成・引渡日)から1ヶ月以内に申請する義務があります。


費用の目安を挙げると、土地家屋調査士に依頼した場合は8万〜15万円前後(建物規模・地域によって変動)、自分で申請する場合はほぼ2,000〜5,000円程度で済みます。ただし、測量図面の作成など専門知識が必要なため、多くの実務では土地家屋調査士に委託されます。


② 建物表題変更登記(増築・改築時)


既存の建物を増築・改築して床面積や構造が変わった場合も、変更完了から1ヶ月以内に登記申請が必要です(不動産登記法第51条)。増築した部分を未登記のまま放置すると、建物の正確な評価が困難になり、売却や融資の際に支障が出ることがあります。


③ 建物滅失登記(解体・取り壊し時)


建物を取り壊した際は、取り壊しが完了した日から1ヶ月以内に滅失登記を申請します。これも不動産登記法第57条で義務化されています。注意点として、滅失登記は司法書士には依頼できません。表題部に関する登記であるため、土地家屋調査士の専管業務となっています。


費用相場は4万〜5万円程度が一般的です。


3種類とも「1ヶ月以内」が申請義務の目安です。建築工事の竣工から引渡しまでのスケジュールに、登記申請のタスクを必ず組み込んでおきましょう。


建物表題登記・変更登記・滅失登記の流れと費用の詳細(土地家屋調査士事務所の解説)
https://usuioffice.info/newconstruction/


登記事項証明書は管轄外の登記所でも取得できる

「登記所一覧を調べて管轄外の場所にわざわざ出向かなければならない」と思っている方は多いかもしれません。実はそれは古い常識です。


現在、不動産登記の電子化(コンピュータ化)が全国的に完了しており、登記事項証明書(旧・登記簿謄本)については、管轄外の法務局からでも取得できるようになっています。最寄りの法務局に行けば、全国どこの物件の登記事項証明書でも交付申請が可能です。


さらに、法務省の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を使えば、法務局の窓口に出向かなくても取得できます。受け取り方法は郵送と窓口の2択で、手数料は以下の通りです。


取得方法 手数料(1通) 受取方法
窓口申請(書面) 600円 その場で受取
オンライン申請→窓口受取 490円 法務局窓口
オンライン申請→郵送 520円 自宅・事務所へ郵送


窓口より100円前後安く、かつ申請受付時間も平日8時30分〜21時まで対応しているのがオンラインの強みです。複数物件の証明書を一度に取りたい建築業者にとっては、時間節約効果がとくに大きいでしょう。


なお、オンラインで登記情報の「閲覧」だけを目的とするなら、「登記情報提供サービス(有料)」も選択肢です。こちらは法的効力のある証明書ではありませんが、内容確認用として利用できます。


これは使えそうです。


登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)公式
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/first.html


登記情報提供サービス(オンラインで登記情報を確認)
https://www1.touki.or.jp/


建築業者だけが知っておきたい、登記所活用の独自視点

ここでは一般的な解説記事ではあまり触れられない、建築業ならではの実務的な視点をお伝えします。


「引渡証明書」と登記所の連携を知ると仕事が速くなる


建物表題登記の申請には、施工業者(建設会社)が発行する「引渡証明書」と、その会社の印鑑証明書が必要書類として求められます。つまり、建築業者自身が登記申請に直接関わる書類を発行する立場にあります。この流れを理解しておくと、施主(建て主)からの問い合わせに即座に対応できますし、引渡から登記までのスムーズな流れを施主にも提案できます。


複数現場を抱える場合の管轄マップ作成という発想


活動エリアに複数の管轄登記所が混在している業者は、現場住所ごとの管轄法務局をスプレッドシートなどでまとめておく「管轄マップ」を作成しておくと非常に便利です。法務省の公式ページで全国の管轄一覧が確認できるので、一度まとめておけばその後の確認コストが大幅に下がります。管轄マップを持つ業者は少数派です。


表題登記の申請義務は「施主本人」にある


あまり知られていませんが、建物表題登記の申請義務は建築業者ではなく、所有権を取得した「施主本人」に課せられています。ただし、1ヶ月という短い期限内に施主が手続きを完了させるためには、業者側から「登記の手続きについて土地家屋調査士に相談しましたか?」と声をかけることが実質的なサポートになります。施主への案内が業者の信頼にもつながります。


「未登記建物」を抱えたまま解体を引き受けるリスク


解体工事の依頼を受けた際、対象建物が未登記のケースがあります。未登記建物の場合でも滅失登記の申請は必要ですが、登記記録がないため手続きが複雑になることがあります。建物の所有者確認や固定資産税の課税台帳との照合が別途必要になる場合もあり、工事着手前に登記状況を確認しておくことが業者リスクの管理につながります。


不動産登記のよくある質問(法務局公式FAQ)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/fudousantouki.html