
土留め工事は、高低差のある敷地で土砂の崩れを防ぐために欠かせない工事です。費用は採用する工法や施工長さ、現場環境によって大きく変動しますが、土留めブロック4段積み(高さ80cm)で基礎工事を含めた場合、1mあたり40,000円~が一般的な相場となっています。全体的な工事費用の目安は30万円~で、重機の使用可否や運搬車の進入条件も費用に影響を与えます。建築事業者として適切な工法選定と業者選びを行うことで、コストを抑えながら安全性の高い土留めを実現できます。
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土留めブロック工事の費用は、使用するブロックの種類と施工範囲によって変動します。化粧ブロック12cm積みの場合、施工単価は1本あたり384円、1㎡あたり4,800円となり、ブロック製品費は別途必要です。スタンダードな重量ブロック12cm積みでは、製品費込みで1本あたり640円、1㎡あたり8,000円が標準的な価格設定となっています。
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具体的な工事費用の内訳としては、ブロック代、丁張・水遣工、ブロック積み代、土留め基礎工事代、重機運搬費、埋戻し工事、仮枠組払共などが含まれます。これらの費用は業者によって単価の算出方法が異なるため、見積もりに差が出ることがあります。DIYで施工した事例では、L字コンクリートブロック16個で56,000円、L字コーナーブロック2個で13,600円、連結ボルトや砕石などを含めて総額80,584円で完成した実績もあります。
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土留め工事をどの範囲で行うかによっても費用は大きく変動するため、適正な費用を知りたい場合は複数の業者から見積もりを取ることが重要です。
擁壁工事の費用は工法によって大きく異なり、1㎡あたりの単価で比較すると明確な価格差があります。間知ブロック擁壁は1㎡あたり25,000~50,000円と比較的リーズナブルで、RC擁壁(鉄筋コンクリート式)は25,000~100,000円、プレキャスト擁壁は30,000~130,000円が相場となっています。
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より詳細な種類別の費用相場を見ると、鉄筋コンクリート式は40,000~70,000円/㎡で強度と耐久性に優れており、コンクリートブロック式は30,000~50,000円/㎡で施工が容易ですが災害対策としてはやや不安が残ります。自然石を使用した擁壁は70,000~100,000円/㎡と高額ですが、施工技術が必要で材料の運搬費がかかるためです。
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具体的な施工例として、高さ3m×幅10mのRC擁壁で約400万円、高さ1.4m×幅約40mで約170万円、高さ1m×幅約8mで約80万円といった実績があります。幅10mの擁壁を想定した場合、高さ2mで50万~200万円、高さ3mで75万~300万円、高さ5mで125万~500万円が目安となります。
土留め工事の費用を適正に抑えるためには、複数の業者から見積もりを取り比較検討することが最も効果的です。業者選定では建設業許可の有無と種類、経営事項審査の評点といった基本的な確認事項に加え、技術者の資格保有率や所有機材の種類と数、類似工事の施工実績件数など具体的な評価項目をチェックする必要があります。
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可能であれば実際の施工現場を訪問して、品質管理や安全対策の状況を確認することが推奨されます。整理整頓された現場や作業員の規律ある行動は、業者の管理能力の高さを示す指標となります。また、施工中の近隣対応や緊急時の連絡体制などコミュニケーション面での対応力も重要な判断材料です。
重機の使用可否や運搬車の進入が可能かどうかといった現場条件も費用に大きく影響するため、事前の現地調査を丁寧に行うことで想定外のコスト増加を防ぐことができます。ネット上での口コミや評判を参考にしつつ、信頼できる業者を選定することが納得のいく工事を行うためのポイントとなります。
土留め工事において排水設計は安全性を左右する極めて重要な要素です。高さ2m以上の擁壁には、3㎡に1箇所の割合で内径7.5cm以上の水抜き穴を設けることが宅地造成等規制法施行令で義務付けられています。これは土圧以上に水圧が擁壁を圧迫し滑り出すことを防ぐための配慮で、2m未満の土留めであっても水抜き穴は有効です。
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水抜き穴がない土留めでは地中の水分量が多くなり、地盤が軟弱化したり擁壁を外側へ押し倒そうとする圧力が高まったりします。適切な排水設計として、水抜き穴の設置に加えて砕石や砂利を裏側に敷いて排水層を作ることが重要です。水が溜まるとどんなに頑丈な構造でも押し出されて崩れるリスクがあるため、水はけの確保は地盤の安定性にも直結します。
参考)https://www.jiban.co.jp/tips/advice/consal/qa/qa001.htm
既存の土留めに水抜き穴がない場合は、穴を開けて水が流通するようにした上で、穴が目詰まりしないよう土留めの背面の土を十数センチの幅で砂利と置換してフィルターの役目をさせる対策が有効です。
土留め工事における失敗の多くは、設計段階での地盤調査不足や施工時の安全管理の欠如に起因します。ある失敗事例では、土留め壁を設置する際に十分な強度計算がされず、再三にわたり土留め壁の位置を変更したものの安全性を十分に検討せず組立図もないまま施工した結果、土圧等が土留めの耐力を上回り崩壊に至りました。
参考)失敗事例 href="https://www.shippai.org/fkd/cf/CD0000045.html" target="_blank">https://www.shippai.org/fkd/cf/CD0000045.htmlgt; 斜面に設けた土留め壁が崩壊
地盤調査では対象地点から15m以上離れたボーリング位置のデータのみに頼ると、実際の地盤との差異により不具合が発生する可能性があります。地盤にはバラツキがあるという点を十分に認識し、追加の地盤調査や試験施工を事前に行うことが推奨されます。また、仮設設計においてもリスクマネジメントの観点から、コスト最優先の最適設計ではなく改良径や改良層厚等の設定に余裕代を見込むことが望ましいとされています。
参考)ConCom
施工中の監視体制も重要で、過度の変位が発生していないか適切な計測機器を設置して継続的にチェックすることが、重大な事故を未然に防ぐために不可欠です。豪雨時には仮設土留めの背面盛土に多量の雨水が浸透し水圧が増大するリスクもあるため、気象条件に応じた安全管理も必要となります。
参考)https://www.matec-conferences.org/articles/matecconf/pdf/2018/88/matecconf_icdm2018_03014.pdf
土留め工事の詳細な手順と費用を解説 - ヒライエクステリア
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