
溶接継手寸法表は配管工事における設計と施工の両面で重要な役割を果たします。表の基本構成を理解することで、適切な継手選択と正確な施工が可能になります。
表の主要項目は以下の通りです。
寸法許容差についても重要な要素です。JIS B 2311では、径の呼び15~65mmの場合、端部外径の許容差は+1.6/-0.8mmと規定されています。これらの数値は品質管理と互換性確保のために厳格に守る必要があります。
実際の現場では、継手の端部がベベル加工によりエッジ状になっているため、取り扱い時の安全面にも十分注意が必要です。
日本の溶接継手は主にJIS規格によって分類され、用途に応じて適切な規格が選択されます。主要な規格は以下の通りです。
JIS B 2311(一般配管用鋼製突合せ溶接式継手)
使用圧力が比較的低い蒸気、水、油、ガス、空気などの一般配管に適用されます。この規格は最も汎用性が高く、多くの現場で採用されています。
JIS B 2312・B 2313(高圧配管用継手)
より高い圧力条件での使用を想定した規格で、寸法許容差がより厳格に設定されています。径の呼び15~65mmでは±0.8mm、80~100mmでは±1.6mmという高精度が要求されます。
各規格における継手形状の種類。
継手選定時は、使用圧力、温度、流体の種類を総合的に考慮し、適切なJIS規格を選択することが重要です。
突合せ溶接式継手は配管システムにおいて最も信頼性の高い接続方法の一つです。寸法許容差の理解は、品質の高い施工を実現するために不可欠です。
主要寸法の許容差規定
突合せ溶接式継手の寸法許容差は径の呼びによって段階的に設定されています。
角度許容差とエンドプレパレーション
90°エルボでは32.5°±2.5°、45°エルボでは22.5°±2.5°という角度許容差が設定されています。また、エンドプレパレーション(開先加工)では、ルート面の高さが1.6±0.8mmという厳密な規定があります。
これらの許容差は単なる品質基準ではなく、溶接作業の効率性と接続部の強度確保を両立させるために最適化された値です。現場では継手の検査時にこれらの数値を厳格にチェックすることが求められます。
厚さ寸法の特殊規定
継手の厚さについては、+規定しない/-12.5%という非対称な許容差が設定されています。これは強度確保の観点から、薄くなることは許容しても厚くなる分には制限を設けないという実用的な考え方に基づいています。
差込み溶接式継手は小径配管で特に効果を発揮する接続方法です。32A(1-1/4インチ)を例に、実務での活用ポイントを詳しく解説します。
Sch-80とSch-160の使い分け
32A差込み溶接式継手では、Schedule番号により寸法が異なります。
Schedule番号が高いほど肉厚が厚くなり、高圧用途に適用されます。現場では使用圧力に応じて適切なScheduleを選択することが重要です。
継手別の寸法特性
各継手形状における32Aサイズの主要寸法。
施工時の注意点
差込み溶接では差込み深さの管理が特に重要です。32Aでは18~19mmという限られた深さで確実な溶接を行う必要があります。差込み不足は強度不足を招き、差込み過ぎは溶接品質の低下につながります。
また、レジューサでは異径部の寸法管理が複雑になります。例えば32A×15Aレジューサでは、大径側43.2mm、小径側22.2mmという段差のある構造のため、溶接時の熱影響を考慮した施工順序が重要となります。
配管設計において継手選定は、単純な寸法合わせではなく、システム全体の性能と経済性を左右する重要な判断です。実務経験に基づく選定基準を解説します。
圧力条件による選定基準
流体特性による判断
腐食性流体では材質選定と同時に、継手形状も慎重に選択する必要があります。例えば、偏心レジューサは同心レジューサより流体滞留が少なく、腐食リスクを低減できます。
保守性を考慮した設計
将来のメンテナンス性を考慮し、分解可能なフランジ継手と溶接継手の使い分けが重要です。特に。
経済性と施工効率の両立
差込み溶接式継手は小径配管で施工時間を短縮できますが、材料コストは突合せ溶接より高くなります。プロジェクト全体のコストバランスを考慮した選定が求められます。
設計段階での検討事項
継手選定では以下の要素を総合的に評価します。
これらの判断基準を体系化することで、個々のプロジェクトに最適な継手選定が可能になり、長期的な設備運用の成功につながります。