座ぐり寸法一覧|建築現場で使うボルト穴加工基準

座ぐり寸法一覧|建築現場で使うボルト穴加工基準

記事内に広告を含む場合があります。

座ぐり寸法一覧と加工基準

座ぐり加工の基本知識
📏
JIS規格準拠の寸法表

六角穴付きボルトから皿ねじまで、正確な寸法基準を提供

🔧
加工時の注意点

深さ計算や面取り加工など、現場で重要なポイント

⚠️
トラブル回避法

よくある失敗事例と対策方法を具体的に解説

座ぐり加工の基本寸法とJIS規格

座ぐり加工は、ボルトの頭部を材料表面より沈めるための重要な加工技術です。JIS B 1001:1985では、ボルト穴径及びざぐり径の標準寸法が詳細に規定されており、建築現場での正確な加工には欠かせない基準となっています。

 

JIS規格による基本的な座ぐり寸法表

ねじの呼び径 ボルト穴径(2級) ざぐり径 面取り
M3 3.4mm 9mm 0.3mm
M4 4.5mm 11mm 0.4mm
M5 5.5mm 13mm 0.4mm
M6 6.6mm 15mm 0.4mm
M8 9mm 20mm 0.6mm
M10 11mm 24mm 0.6mm
M12 13.5mm 28mm 1.1mm
M14 15.5mm 32mm 1.1mm
M16 17.5mm 35mm 1.1mm
M20 22mm 43mm 1.2mm
M24 26mm 50mm 1.2mm

この表に示されている寸法は、一般的な建築用ボルトの座ぐり加工で最も頻繁に使用される基準値です。特に注目すべきは、ねじの呼び径が大きくなるにつれて、ざぐり径との比率が変化することです。

 

座ぐり面は穴の中心線に対して直角となるように加工し、深さは一般に黒皮がとれる程度とすることが重要です。また、穴の面取りは必要に応じて行い、その角度は原則として90度とします。

 

六角穴付きボルトの座ぐり寸法表

六角穴付きボルト(キャップスクリュー)は建築現場で美観を重視する箇所によく使用されます。このボルトの特徴は、頭部を材料表面と同一レベルまたはそれ以下に沈めることができる点です。

 

六角穴付きボルト用座ぐり寸法詳細表

ねじの呼び 通し穴径 座ぐり径 座ぐり深さ ボルト頭高さ
M3 3.4mm 6.5mm 3.5mm 3.0mm
M4 4.5mm 8.0mm 4.5mm 4.0mm
M5 5.5mm 9.5mm 5.5mm 5.0mm
M6 6.6mm 11.0mm 6.5mm 6.0mm
M8 9.0mm 14.0mm 9.0mm 8.0mm
M10 11.0mm 17.5mm 11.0mm 10.0mm
M12 14.0mm 20.0mm 14.0mm 12.0mm
M14 16.0mm 23.0mm 16.0mm 14.0mm
M16 18.0mm 26.0mm 18.0mm 16.0mm
M20 22.0mm 32.0mm 22.0mm 20.0mm
M24 26.0mm 39.0mm 26.0mm 24.0mm

六角穴付きボルトの場合、特筆すべき点は頭の高さがネジサイズと同じになることです。つまり、M8のボルトであれば頭の高さは8.0mmとなります。これにより、設計時に沈め加工する際は、ネジ径以上の深さを確保しておけばボルトが表面から飛び出すことを防げます。

 

また、六角穴のサイズも規格化されており、M3は2mm、M4は3mm、M5は4mm、M6は5mm、M8は6mmという具合に、おおよそねじ径の3分の2程度のサイズとなっています。

 

皿ねじ用座ぐり穴の寸法基準

皿ねじは頭部が平らで、座ぐり加工により完全に材料表面と同一レベルにできる特徴があります。建築の仕上げ工事では特に重要な締結部品です。

 

皿ねじ用座ぐり寸法表

ねじの呼び径 皿穴径(最大値) 通し穴径 最小板厚 皿の厚み
M2 4.4mm 2.4mm 1.2mm以上 1.2mm
M2.6 5.6mm 3.0mm 1.5mm以上 1.5mm
M3 6.3mm 3.5mm 1.75mm以上 1.75mm
M3.5 7.5mm 4.0mm 2.0mm以上 2.0mm
M4 8.6mm 4.5mm 2.3mm以上 2.3mm
M5 10.6mm 5.5mm 2.8mm以上 2.8mm
M6 12.8mm 6.6mm 3.4mm以上 3.4mm

皿ねじ加工で最も注意すべき点は、皿ビスの皿厚み(C)が板厚(t)を超える場合はビスが取付できないことです。この場合、取付ける相手側に面取り加工をするなどの対策が必要になります。

 

皿穴の角度は通常90度で加工されますが、使用する皿ねじの頭部角度と一致させることが重要です。角度が合わないと、ねじが完全に沈まなかったり、逆に深く沈みすぎて締付力が不足する可能性があります。

 

座ぐり深さの計算方法と注意点

座ぐり深さの正確な計算は、建築現場での品質確保に直結する重要な要素です。深さが不足するとボルトが表面から突出し、深すぎると強度に影響を与える可能性があります。

 

座ぐり深さ計算の基本公式
座ぐり深さ = ボルト頭高さ + 沈み代(0.5〜1.0mm)
この計算において、沈み代は材料の種類や用途によって調整します。

  • 木材の場合:0.5〜1.0mm
  • 鋼材の場合:0.3〜0.8mm
  • アルミ材の場合:0.5〜1.2mm

加工時の重要な注意点
座ぐり加工では以下の点に特に注意が必要です。

  • ドリルの回転数と送り速度の適切な調整
  • 加工熱による材料変形の防止
  • 切りくずの適切な除去
  • 加工面の仕上がり精度の確保

特に薄板材の加工では、裏面のバリ発生を防ぐため、当て板の使用や段階的な加工が推奨されます。また、硬質材料では切削油の使用により、工具寿命の延長と加工精度の向上が期待できます。

 

JIS規格に基づく座ぐり径は、ボルト頭径に対して適切な隙間を確保した寸法となっています。この隙間により、ボルトの挿入性と位置決め精度のバランスが保たれています。

 

建築現場での座ぐり加工トラブル回避法

建築現場における座ぐり加工では、図面通りの寸法であっても実際の施工で問題が発生することがあります11。これらのトラブルを未然に防ぐための実践的な対策を解説します。

 

よくあるトラブル事例と対策
🔸 寸法不良による再加工
現場でよく発生するのが、座ぐり径や深さの寸法不良です。特に以下の点で問題となります。

  • ボルト頭が座ぐり穴に入らない → 径の再確認と規格表との照合
  • ボルトが沈みすぎる → 深さ管理用のストッパー使用
  • 偏心による締付不良 → 加工前のマーキング精度向上

🔸 材料別の加工注意点
木材では繊維方向による割れ、鋼材では加工硬化、アルミ材では溶着などの問題が発生しやすくなります。これらを防ぐため、材料特性に応じた工具選択と加工条件の設定が重要です。

 

🔸 品質管理のポイント
現場での座ぐり加工品質を確保するため、以下のチェック項目を設定することを推奨します。

  • 加工前:図面寸法の確認、使用ボルトとの適合性確認
  • 加工中:深さゲージによる深さ管理、径の途中確認
  • 加工後:ボルトの仮組み確認、表面仕上がり確認

特に重要な接合部では、加工完了後に実際のボルトを用いた仮組みテストを行い、締付状態と仕上がり面の確認を実施します。これにより、本組み立て時のトラブルを大幅に減らすことができます。

 

また、複数の作業者が関わる現場では、寸法表の共有と加工手順の標準化により、品質のばらつきを最小限に抑えることが可能です。