PLP管規格完全ガイド ポリエチレン被覆鋼管種類と用途解説

PLP管規格完全ガイド ポリエチレン被覆鋼管種類と用途解説

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PLP管規格の基本知識

PLP管規格の重要ポイント
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JIS規格体系

JIS G 3469とJIS G 3477-2による分類体系

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種類と記号

P1H、P2S、PE1H、PE2Sの特徴と適用

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寸法・厚さ基準

外径15-2000mmの範囲と被覆厚さ規定

PLP管規格の概要とJIS規格体系

PLP管(ポリエチレン被覆鋼管)は、鋼管の外面にポリエチレン樹脂を被覆した配管材料で、主に地中埋設用として使用されます。この製品は昭和38年の販売開始以来、優れた防食性能により、ガス導管、石油パイプライン、ケーブル保護管など幅広い用途で活用されています。

 

現在のPLP管規格は、旧JIS G 3469から新JIS G 3477-2へと移行しており、より詳細な技術要求事項が規定されています。新規格では、ガス、油、水などの輸送用途で主に地中埋設用の外面ポリエチレン被覆鋼管について規定し、適用寸法範囲は外径15~2000mmとなっています。

 

規格体系の特徴として、被覆構造による分類が明確化されており、一層型と二層型の区別、アンダーコートの種類(接着剤・粘着剤)による性能差が規定されています。これにより、使用環境や要求性能に応じた適切な製品選択が可能となっています。

 

JFEスチールをはじめとする主要メーカーでは、これらの規格に準拠した製品を製造しており、品質管理体制も整備されています。特に、JISマーク認証を取得した製品は、第三者認証機関による品質保証が行われています。

 

PLP管の種類と記号による分類

PLP管の種類は、被覆構造とアンダーコートの種類により4つの主要な記号に分類されます。

 

P1H(PE1H)- 密着一層型
鋼管とポリエチレン被覆が完全かつ強固に密着している一層型で、アンダーコートに接着剤を使用します。JFEスチールのPLS製品がこの規格に該当し、埋設部・露出部を問わず外面防食性能が要求されるガス配管用途に最適です。被覆厚さは1.2mm以上と規定されており、優れた密着性を実現しています。

 

P2S(PE2S)- 二層型
防食層と保護層の二層構造を持ち、アンダーコートに粘着剤を使用する製品です。JFEスチールのPLP製品がこの規格の代表例で、外径27.2~762.0mmの幅広い寸法範囲に対応しています。管端形状はねじ付、ベベルエンド、プレンエンド、メカニカル継手用など多様な形状に対応可能です。

 

P1T型
P2Sの包装用材料のない製品として位置づけられ、粘着剤をアンダーコートとして使用します。

 

P1F型
異形管および直管の両方に適用可能な一層型で、特殊な継手部分の被覆にも対応しています。

 

これらの分類により、使用環境や施工条件に応じた最適な製品選択が可能となり、長期的な防食性能を確保できます。各メーカーでは、これらの規格記号に基づいた製品表示を行っており、現場での識別も容易になっています。

 

PLP管寸法規格と被覆厚さ基準

PLP管の寸法規格は、呼び径と外径の関係、被覆厚さの基準値により詳細に規定されています。

 

寸法範囲と呼び径対応

  • 小口径:外径21.7mm(15A)~114.3mm(100A)
  • 中大口径:外径139.8mm(125A)~762.0mm(750A)
  • 特大口径:外径~2000mm(規格適用範囲上限)

各呼び径に対する標準的な被覆厚さは以下のように規定されています。

  • 27.2~101.6mm:0.4mm以上
  • 114.3~139.8mm:0.6mm以上
  • 165.2mm:0.8mm以上
  • 216.3mm以上:0.9mm以上

被覆厚さの技術的意義
被覆厚さは防食性能に直結する重要な要素で、土壌条件や埋設深度、周辺環境の腐食性を考慮して設定されています。特に、電気防食との併用を前提とした場合、適切な被覆厚さにより電流密度の最適化が図られます。

 

ピール強度基準
P1H、P1F、P2H型では、ピール強度35N/10mm幅以上が要求されており、これは被覆と鋼管の密着性を保証する重要な指標です。ただし、受渡当事者間の協定により20N/10mm幅以上80N/10mm幅以下の範囲で調整も可能です。

 

管端処理の規格
溶接部の熱影響を考慮し、ベベルエンドおよびプレンエンドでは管端から100~150mm程度離れた位置まで被覆を施し、管端部は専用の被膜処理を行います。この処理により、現場溶接時の品質確保と長期的な防食性能維持を実現しています。

 

PLP管用途別規格選択のポイント

PLP管の用途別規格選択は、使用環境の腐食性、施工条件、維持管理要求により決定されます。

 

ガス導管用途
都市ガス配給では、P1H(PE1H)型の一層密着型が推奨されます。理由として、ガス漏洩の安全性確保、長期間の埋設使用、定期的な保守点検の制約などが挙げられます。特に住宅密集地では、より高い信頼性が要求されるため、JISマーク認証製品の使用が一般的です。

 

内面塗装の選択では、15A以上でフェノールエポキシ塗装(PR200)の適用により、内面からの腐食も防止できます。

 

石油パイプライン用途
長距離輸送用では、P2S(PE2S)型の二層構造が適用されることが多く、機械的強度と防食性能のバランスを重視します。特に海底配管では、海水による高い腐食環境に対応するため、被覆厚さを標準より厚く設定する場合があります。

 

上下水道用途
水道用途では、衛生性と耐久性の両立が要求されるため、内面塗装の選択が重要になります。また、水協検査証印が必要な場合もあり、規格適合性の確認が不可欠です。

 

ケーブル保護管用途
通信・電力ケーブルの保護では、機械的強度を重視したP2S型が選択され、特に交通荷重の影響を受ける箇所では保護層の厚さを増加させます。

 

環境条件による選択指針

  • 酸性土壌:より厚い被覆厚さと高いピール強度
  • 塩害地域:二層構造による多重防護
  • 寒冷地:低温性能を考慮した材料選択
  • 都市部:施工性と維持管理性を重視

PLP管規格適合性確認の実務手順

PLP管の規格適合性確認は、品質保証と長期使用における信頼性確保のため、体系的な手順により実施されます。

 

製品表示による一次確認
各管材には以下の表示が義務付けられています。

  • 商品名とJISマーク
  • 製造業者マークと事業所名
  • 種類の記号(P1H、P2S等)
  • 呼び径×長さ表示
  • 原管種類(SGP-B等)
  • 内面塗装区分(NO、PR200等)
  • 製造年月
  • 認証機関名略号と認証番号

寸法・外観検査
現場受入時の検査項目として、外径・被覆厚さの実測、被覆表面の目視検査、管端形状の確認を行います。特に被覆厚さは非破壊測定器により全数検査を実施し、規格値との適合性を確認します。

 

ピンホール試験
電気的欠陥検出により、被覆の完全性を確認します。この試験では火花を発生する欠陥があってはならず、埋設後の長期防食性能に直結する重要な検査項目です。

 

ピール強度試験
必要に応じて、被覆と鋼管の密着強度を測定します。P1H、P1F型では35N/10mm幅以上の値が要求され、この基準により被覆の剥離抵抗性を保証します。

 

認証書類の確認
JISマーク認証製品では、認証機関発行の品質証明書、試験成績書の確認が重要です。特に公共工事や重要インフラでは、これらの書類による品質保証が契約要件となる場合が多くあります。

 

トレーサビリティ管理
製造ロット番号による品質管理記録の追跡可能性を確保し、万一の不具合発生時の原因究明と対策実施を可能にします。

 

これらの確認手順により、PLP管の規格適合性と品質信頼性を総合的に保証し、長期間にわたる安全で確実な配管システムの構築が実現されます。