
SS400アングル材の基本規格は、等辺山形鋼(L型鋼)として日本工業規格(JIS G 3101)に規定されています。
等辺アングル標準寸法 📊
寸法(mm) | 厚さ(mm) | 重量(kg/m) | 用途 |
---|---|---|---|
20×20 | 3 | 0.885 | 軽構造物・補強材 |
25×25 | 3 | 1.12 | 小型フレーム・架台 |
30×30 | 3/5 | 1.36/2.16 | 一般構造物 |
40×40 | 3/5 | 1.83/2.95 | 建築架台・支柱 |
50×50 | 4/6 | 3.0/4.5 | 中型構造物 |
75×75 | 6/9 | 6.8/10.0 | 重構造物・橋梁 |
100×100 | 7/10 | 10.7/14.9 | 大型構造・建築骨組 |
実際の現場では、板厚の選択が構造計算に直結するため、設計荷重に応じた適切な断面を選定することが重要です。特に長期荷重と短期荷重の両方を考慮した安全率の確保が必須となります。
SS400鋼材の機械的性質は、炭素含有量0.15-0.20%を基準とした中炭素鋼の特性を持ちます。
機械的性質 ⚗️
断面性能については、L字形状の幾何学的特性により、以下の計算式で求められます。
ここで、b は辺長、t は板厚を表します。
実務では、座屈長さ係数やたわみ制限値を考慮した構造計算が必要で、特に細長比λの管理が重要になります。アングル材の場合、最小断面二次半径が小さいため、座屈に対する検討を十分に行う必要があります。
SS400アングル材は熱間圧延工程で製造され、製造過程での品質管理が最終製品の性能を左右します。
製造工程の特徴 🏭
製造時の重要管理項目。
品質証明書には、ミルシート(材料証明書)が添付され、化学成分分析値と機械試験結果が記載されます。特に構造用途では、シャルピー衝撃試験値の確認も重要です。
意外な事実として、SS400材の「400」は最小引張強度400N/mm²を意味しており、実際の引張強度は400-510N/mm²の範囲で管理されています。この余裕度が、様々な用途での安全性を確保しています。
SS400アングル材の溶接性は、炭素当量(Ceq)が0.35%以下という低炭素鋼の特性により、良好な溶接性を示します。
溶接施工のポイント 🔥
接合方法別の特徴。
アングル材特有の溶接課題として、L字断面による残留応力の偏在があります。特に長尺材では、溶接歪みによる反りや曲がりが発生しやすく、溶接順序や拘束方法の工夫が必要です。
実際の現場では、溶接部の非破壊検査(UT、MT、PT)により、内部欠陥や表面きずの検出を行い、構造物の安全性を確保しています。溶接熱影響部(HAZ)の硬化も最小限に抑えられるため、後処理の必要性は低いとされています。
SS400材は普通鋼であるため、防錆処理が長期耐久性の鍵となります。建築基準法施行令では、鋼材の防錆について具体的な規定があり、用途に応じた適切な処理が義務付けられています。
主要防錆処理方法 🛡️
環境条件別の推奨処理。
近年注目される技術として、ダクタイル亜鉛めっき鋼板の活用があります。従来の溶融亜鉛めっきに比べ、加工性と耐食性を両立させた新世代の表面処理技術です。
興味深い事実として、SS400アングル材の腐食速度は、一般大気環境下で年間約0.1mmとされており、適切な防錆処理により100年以上の耐久性確保も可能とされています。これは歴史的建造物の鉄骨構造が現在も健全性を保っていることからも実証されています。
定期点検における腐食度判定には、JIS Z 2371「塗膜の劣化度の評価方法」が用いられ、塗膜の膨れ、はがれ、さび、白亜化の4項目で評価されます。早期発見・早期補修により、大規模改修を避けることが可能です。