
足場板の寸法は労働安全衛生規則に基づいて定められており、材質によって標準的な規格が異なります。建築現場で使用される足場板は主に木製(杉)、アルミ製、スチール製の3種類に分類され、それぞれ用途や現場条件に応じて適切な寸法を選択する必要があります。
材質別の特徴比較表
材質 | 重量特性 | 耐久性 | コスト | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
木製(杉) | 軽量 | 中程度 | 低 | 一般建築工事 |
アルミ製 | 最軽量 | 高 | 高 | 内装・長期工事 |
スチール製 | 中重量 | 最高 | 中 | 重量作業・外装 |
仮設工業会認定の基準では、支持間隔1800mmを標準とし、アルミ製は長さ1m~4m、スチール製は長さ1m~4mの規格が定められています。近年、作業効率向上のため6mの長尺アルミ製足場板も製造されており、内装工事での支持間隔延長に対応しています。
意外にも、足場板の色分けには安全管理上の重要な意味があります。長さによって側面の色が異なり、2m(赤)、3m(ピンク)、4m(青)といった具合に視認性を高める工夫が施されています。
杉製足場板は日本の建築現場で最も一般的に使用される足場板です。国産杉材を使用し、貫通割れを防ぐため側面に波釘加工が施されているのが特徴です。
杉足場板の標準寸法一覧
長さ(mm) | 幅(mm) | 厚さ(mm) | 重量(kg) | 支持間隔別許容荷重 |
---|---|---|---|---|
2000 | 200 | 35-36 | 6.0 | 900mm: 185kg |
3000 | 200 | 35-36 | 9.0 | 1200mm: 140kg |
4000 | 200 | 35-36 | 12.0 | 1500mm: 110kg |
最も普及している2m仕様では、幅200mm×厚さ35mmの規格で重量6.0kgとなっています。支持間隔が短いほど許容荷重が増加し、900mm間隔では185kg(1,815N)まで耐荷重があります。
木製足場板には波釘有りと波釘無しの2種類があり、波釘有りは主に4m長尺品に採用されています。波釘無しは主に2m品で、幅のバリエーションが豊富で、150mm、180mm、210mm、240mmから選択可能です。
保管時の注意点として、空気の乾燥した風通しの良い場所での保管が必須で、湿気による反りや割れを防ぐ管理が重要です。また、敷板としての流用は安全上禁止されており、足場板専用として使用しなければなりません。
アルミ製足場板は軽量性と耐久性を兼ね備え、長期使用や内装工事で威力を発揮します。支持方式によって3点支持用と2点支持用に分類され、それぞれ異なる寸法規格が設定されています。
3点支持用アルミ足場板寸法
長さ(mm) | 幅(mm) | 厚さ(mm) | 重量(kg) | 許容荷重(kg) |
---|---|---|---|---|
1000 | 240 | 29 | 3.0 | 120 |
1500 | 240 | 29 | 4.2 | 120 |
2000 | 240 | 29 | 5.3 | 120 |
3000 | 240 | 29 | 7.9 | 120 |
4000 | 240 | 29 | 10.5 | 120 |
2点支持用アルミ足場板寸法(長尺対応)
長さ(mm) | 幅(mm) | 厚さ(mm) | 重量(kg) | 許容荷重(kg) |
---|---|---|---|---|
4000 | 240 | 47 | 13.0 | 140 |
6000 | 300 | 75 | 27.5 | 200 |
2点支持用の6m仕様は支点間隔5.4mまで対応し、表裏同形状で両面使用可能という特殊仕様になっています。内装工事では支持間隔を広げることで作業効率が大幅に向上するため、この長尺仕様の需要が増加しています。
アルミ製足場板には滑り止めのフランジ加工、水抜き加工、裏面のズレ止めビートが標準装備されています。市場価格は2m品で約6,149円、4m品で9,152円程度となっており、初期投資は高いものの長期使用での経済性に優れています。
特筆すべき技術として、最新のアルミ足場板では表面にバーリング加工を施し、滑り止め効果を高めた製品も登場しています。これにより雨天時の安全性が大幅に向上しています。
スチール製足場板はアルミ合金製並みの軽量化を実現しながら、荷重時の沈み込みがアルミ製よりも小さいという特徴があります。重量作業や外装工事で高い評価を得ており、路面滑り止めのバーリング加工が標準仕様となっています。
スチール足場板標準寸法
長さ(mm) | 幅(mm) | 厚さ(mm) | 重量(kg) | 許容荷重(kg) |
---|---|---|---|---|
2000 | 250 | 40 | 6.8 | 150 |
3000 | 250 | 40 | 10.1 | 150 |
4000 | 250 | 40 | 13.2 | 150 |
スチール製足場板の最大の特長は許容荷重150kgという高い耐荷重性能です。これはアルミ製(120kg)や木製の平均的な荷重を上回る数値で、重量物を扱う作業現場では安全性の向上に直結します。
側面の色分けシステムも特徴的で、2m品は青と赤、3m品は青とピンク、4m品は青単色と、長さの識別が容易になっています。この色分けは現場での取り違い防止と作業効率向上に大きく貢献しています。
スチール製足場板の製造技術では、軽量化と強度確保を両立するため、特殊な鋼材配合と成形技術が採用されています。表面のバーリング加工は機械的に突起を形成する技術で、従来の滑り止め加工よりも耐久性に優れています。
定尺型と伸縮型の選択肢もあり、現場の状況に応じて最適な仕様を選定できます。伸縮型は用途に合わせて長さ調整が可能で、限られたスペースでの作業に威力を発揮します。
足場板の寸法選定では、労働安全衛生規則に基づく制限積載荷重の計算式への適合が最重要課題となります。仮設工業会認定品はこれらの基準をクリアしており、現場での安全性が保証されています。
寸法選定の基本原則
支持間隔と許容荷重の関係は非線形で、間隔が1.5倍になると荷重は約20%低下します。例えば杉足場板2mでは、支持間隔900mmで185kg、1200mmで140kg、1500mmで110kgと段階的に減少します。
安全率の設定では、計算上の許容荷重に対して実際の使用荷重を70%以下に抑えることが推奨されています。これは材料の経年劣化、気象条件、作業動作による動的荷重を考慮した安全マージンです。
特に見落としがちな注意点として、足場板と敷板の混同があります。敷板(厚さ25mm程度)は足場板としての使用が禁止されており、安全上の重大な問題となる可能性があります。現場では材料の外観確認と仕様書照合を徹底することが重要です。
寸法選定の際の隠れたポイントとして、搬入経路と保管場所の制約があります。4m材は搬入時の取り回しが困難な場合があり、現場状況を事前調査した上で最適な長さを決定する必要があります。また、材質による保管方法の違いも考慮し、木製品では湿気対策、金属製品では錆防止対策を適切に実施することが長期使用の鍵となります。